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リスティング広告の改善方法を分かってない人が多いので解説するよ
まえがき
2024年現在ではデジタル広告の運用はほぼ自動化されており、昔のようにキーワード単位でポチポチ入札を管理することはなくなりました。
私が初めて広告運用をした2015年頃は、自動入札はまだ「コンバージョン数の最大化」とか「tCPA」ではなく、コンバージョンオプティマイザーという名称でした。
さらに言えば当時はアカウント内でデバイスごとの入札調整ができなかったので、デバイスごとにアカウントを用意するという今では考えられない運用をしていました。(マッチタイプごとに広告グループ分けるとかもね。)
昔に比べて非常に運用の手間がなくなり、おまけに機械学習で勝手に効果を良くしてくれる。代理店の存在意義とは!?みたいなことはここ数年ずっと言われてきているのですが、実は代理店の存在意義問題について頭を抱えているのはリテラシーが高い大企業を相手にしている大手の広告代理店だけなんじゃないかと思う今日この頃です。
つまりリテラシーが高くない企業には、リスティング広告を運用している代理店のことを「何しているかよく分からないけど熱心に運用してくれている」と盲信しているケースが意外にも多いのです。
というのも最近、運用を任せてもらったり、アドバイスがほしいなどと、他社が運用しているアカウントを見る機会が増えた中で、「うわ、、全然ダメじゃん。。」と思うことが非常に多いのです。
前置きが長くなりましたが、今回は超初歩的な内容ですが、リスティング広告の改善方法について紹介したいと思います。
知ってる人からすると「なんだよ!そんなの常識じゃん!」って思う内容だと思います。
プロフィール
ってかお前誰やねん、って人のために、簡単な私のプロフィールです。
運用は2015年からGMO NIKKOで4年間やってました。
これまで運用したことがある媒体はGoogle・Yahoo・Bing・Meta・X・LINE・TikTok・Criteo・その他アドネットワークの有象無象。
GMO NIKKO退職後はGoogleの大企業向け営業組織で、たくさんのアカウントを見てきました。(当時見ていたアカウントは大手代理店が運用するピカピカのアカウント)
ついでにデジマナビというオンライン学習サービスも運営しています。
一部業務委託の方に手伝ってもらいましたが、ほぼ1人で開発しました。
Python(Django)とVue.jsでできています。
今日紹介する内容もデジマナビで話している内容です。
今は株式会社Qooxという法人の代表をしています。運用型広告専門ではなく、サイト制作や分析(GA4・MMMなど)、SEO、システムの保守管理などなど、IT何でも屋です。
YTMが嫌いで、2017年くらいからずっとGTM使ってます。
余談
「Google広告についてもっと勉強したい」と私に相談しに来た時、いつもコレ読めって話してるnoteを紹介します。
若干情報は古いものの、大枠の仕組みや思想は同じなので、参考にしてみてください。
私も「あれ?こういう場合ってどうなるんだ?」ってなった時、今でもたまに読んでます。
リスティング広告の改善方法の前提
リスティング広告の運用レバー
まず改善するための考え方として、どのレバーを引けば広告効果が変わるのかをきちんと理解しておく必要があります。
リスティング広告(というか、他の運用型広告全般にいえる)の運用レバーは3つだけです。
アカウント構造・入札(機械学習がうまく働く仕組み作り)
キーワード(誰に出すか)
広告(どんな訴求をするか)
さらに細分化すればLPや広告アセット(旧広告表示オプションなど)の話になっていくのですが、大まかに分類するとこの3つに集約できます。
運用の現場にいると、「LPが~」とか「マッチタイプが~」という細かい話になりがちで、木を見て森を見ず、地図も見ずに森を駆け回る状態になっていることが多いです。
CPA改善の基本原理
次にCPAを良くするための基本原理です。
結論からいうと、「いかに安く誘導して、高確率でコンバージョンさせるか」です。
![CPAの計算式](https://assets.st-note.com/img/1716560597426-8YjoPrLmCX.png?width=800)
めっちゃ普通のこと言ってますけど、これを理解していない人も意外に多いです。
「あれ?そもそもCPAって、費用÷コンバージョンじゃないの?」って思ってる人もいるかもしれません。
これは私がGMO NIKKOに入社して1週間目くらいで学んだことなので、皆さんにもおすそ分けします。
まず、CPCを変換します。いわゆる方程式の「移項」ってやつです。
そうすると、費用 = CPC × CLICKと表現できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1716560793316-NNFdPv6fB1.png?width=800)
次に、CVRも変換します。
同じく移項すると、CV(コンバージョン)= CVR × CLICKと表現できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1716560880595-koiCe0fRcX.png?width=800)
最後にCPAの通常の計算式である 費用 ÷ CV に、先ほど変換した数式「費用 = CPC × CLICK」と「CV= CVR × CLICK」を「代入」します。
![](https://assets.st-note.com/img/1716560920533-Vy5FnY5u2A.png?width=800)
そうすると、CPA = CPC ÷ CVRとなります。
CPAを下げるためには、分子であるCPCの値を小さくするか、分母であるCVRの値を大きくするかしかありません。
4/5より、2/5の方が小さい数ですよね?
1/2より、1/10の方が小さい数ですよね?
この2つの前提を踏まえて、どのようにリスティング広告を改善していくのか説明していきます。
アカウント構造・入札
機械学習の仕組み
具体的な改善方法を理解する前に、機械学習の仕組みの理解は必要不可欠です。
ChatGPTなどAI関連分野が目まぐるしく成長している要因の一つとして「データの処理速度の改善」が挙げられます。
何が言いたいかというと機械学習・AIは大量のデータを元に学習しているということです。
![](https://assets.st-note.com/img/1716561530188-2nfKXVt0MG.png?width=800)
逆に機械学習・AIはデータ量が少ないと、「正解」を導くことができなくなります。リスティング広告に置き換えれば「CVしそうなユーザーを見つけられない」ということになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1716561595854-CxAGBoLdIi.png?width=800)
このような機械学習やAIの学習に用いるデータを「教師データ」と呼んだりします。
このことを踏まえて、機械学習が働きやすいアカウント構造 = 一箇所にデータが集まるようなアカウント構造 を目指す必要があります。
Hagakure
次にリスティング広告における機械学習はどこで動いているか、です。
それはキャンペーンです。キャンペーン単位で入札戦略を設定しますよね?
なので改善するためにはキャンペーンは作りすぎないことが重要です。
キャンペーンを分割するための基準は、キャンペーン単位でしか設定できない項目の設定を分けたい時のみです。具体的には以下です。
入札戦略(キャンペーンの目的)
エリア
キャンペーンタイプ(P-MAXなど)
予算
「どうしてもレポーティングの都合上キャンペーンを分けたい」という場合は、ポートフォリオ入札戦略を使いましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1716567874995-v5lXUBRXqm.png?width=800)
次に広告グループですが、別のLP(ランディングページ)を利用したい等の理由がなければ1つでOKです。
「いやいや、キーワードごとに広告を出し分けたいんだよ」っていう人もいるかもしれませんが、それはレスポンシブ検索広告で上手いことやるか、後述する広告カスタマイザーを利用してください。
2015年~2016年頃、Googleの日本支社はこの機械学習が働きやすい構造を目指す取り組みのことをHagakureと呼び、界隈ではHagakure構造とか呼ばれたりしてました。
その頃から1広告グループ1コンテンツ(LP)と言われていたので、令和の時代にわざわざ広告グループを分ける必要はありません。
ただ広告カスタマイザーは設定がかなり複雑なので、工数的に・・・という場合は広告グループを複数作っても良いと思います。
コンバージョンの質・量を担保する
最後に機械学習における「教師データ」の部分であるコンバージョンについてです。
コンバージョンは事業のKPIに近ければ近いほどよいです。
GA4のデータをKPIにしているのであれば、GA4と連携しましょう。
SalesforceのデータをKPIにしているのであれば、Salesforceと連携しましょう。
ただし注意点として、十分なコンバージョンボリュームを担保しましょう。
先述した通り、機械学習をうまく働かせるためには十分な教師データが必要です。
1ヶ月あたり30CV以上あるとハッピーとGoogleは言ってるので、もし広告タグだと30CV以上あるけど、GA4にしたら10CVくらいしかない、という場合は広告タグの方で運用したほうがいいかもしれません。
また「そもそも月30CVもないよ!」という場合はMCV(MicroCV)も検討しましょう。
MicroCVとは、フォーム到達など、コンバージョンの一歩手前のアクションをコンバージョンとみなすものです。
ただ最終的には事業のKPIに近い指標で運用した方が効果は改善されます。(軌道に乗ればMicroCVを外したほうが効果が良くなります)
キーワード戦略
キーワードの役割
キーワードの話になると、部分一致信者と完全一致信者が激突しがちです。一旦落ち着けって。
そもそもキーワードって何なのかをまず理解しましょう。
キーワードは、「どんな検索をされた時に表示させたいか」を決めるターゲティングです。
マッチタイプは、そのターゲティングの幅を広げるか、狭めるかでしかありません。
一応今はパフォーマンス部分一致といって、部分一致の方が機械学習で使用するシグナルが多いとされているので、完全一致信者はこのドキュメント読んでから出直してください。(ただ完全一致が悪いわけではない)
で、基本的に効果を改善したいならターゲティングはまず広げるべきです。
極端な例で説明すると、例えば不用品回収のリスティング広告を実施していたとして、「不用品回収」という完全一致のキーワードだけに入札してたら、一生CVは増えません。
なので、CVを増やすためにはまずキーワードを増やしていく=ターゲティングを広げていく必要があります。
また、ユーザーの実際の検索語句とキーワードは異なります。
よくある運用のオペレーションとして、効果が悪いキーワードを停止するというものがありますが、これは多くの場合間違いです。
効果の悪いキーワードを停止するのではなく、効果が悪い検索語句を除外しましょう。
「キーワードを広げた上で、除外して精度を高める」というのが正しい改善プロセスです。
![](https://assets.st-note.com/img/1716564475991-dKWSNEZeq6.png?width=800)
ターゲティングを広げて、入札額を下げる
ターゲティングを広げるということは、その分クリックが増加し、費用の増加にもつながります。
予算が潤沢にあればそれでOKですが、多くの企業の広告費はある程度固定されています。
![](https://assets.st-note.com/img/1716563884359-6l9e4rUL9g.png?width=800)
故に「効果が悪いキーワードを停止して予算の消化を抑える」という間違ったオペレーションを取りがちなのですが、予算の消化を抑えたいなら入札を抑えればよいです。
![](https://assets.st-note.com/img/1716563945492-aMnjcan2cD.png?width=800)
入札を抑えればCPCは下がるので、配信費用を抑えながらコンバージョンを増加させることができます。
「CPA改善の基本原理」でも紹介した通り、CPAを改善するためにはCPCを下げるか、CVRを上げるかです。
この図の通りいけば、CPAも改善されているはずです。
この例では、キーワードの追加によってCVRが変化しなかった前提ですが、実際の運用シーンではCVRが下がらないように、先述の通り無関係な検索語句は除外していく必要があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1716564085039-fwC97Ok4BD.png?width=800)
「じゃあどういう時にキーワードを止めるの?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。
それは除外しなければいけない検索語句があまりにも多い時です。
あまりにも除外しなければいけない検索語句が多いというのは、そもそもそのキーワード(ターゲティング)設定が的外れということです。
ただ部分一致を使う場合は、それなりの数を除外しなければいけないので覚悟しておきましょう。
私が遭遇したものだと、BtoBのサービスなのに、なぜかTRPGのサービスが部分一致で拾っていたケースがありました。
部分一致で効果が出ないと言っている輩は、殆どの場合、検索語句の除外ができていないからです。
広告の評価を高める
広告を評価するのは「ユーザー」と「Google」
「良い広告を作ろう!」となると、ユーザー視点のベネフィットを考えがちですが、リスティング広告においてはGoogleからの評価も重要です。
Googleの評価は、最終的にユーザーからの評価に帰結するのですが、意識しておいて損はありません。
ここで広告ランクの話をすると、あと10,000文字くらい書かないといけないので割愛しますが、端的にいえばキーワードと広告の関連性を高めることが大事です。
具体的にはキーワードとして設定している語句を、広告文においても利用したり、ランディングページでも利用することが大事です。
実際ランディングページがどれくらい考慮されているのかはGoogle出身の私でも分からないのですが、(機械学習関連の情報は、基本的にエンジニア以外アクセスできない)いずれにせよユーザー視点では重要なので、ランディングページとの親和性も高めておいて損はないです。
管理画面上でレスポンシブ検索広告で「広告の有効性」という指標が見れるので、少なくとも「高い」「非常に高い」を目指すようにしましょう。
またよく広告の評価をCTRでおこなうケースがありますが、これでは50点です。
CTRはあくまで「ユーザーからの評価」であり、Googleからの評価ではありません。
Googleからの評価は推定クリック率との・・・うぁあああ長くなるので割愛します。
広告カスタマイザーを使おう
広告カスタマイザーとは広告文の一部のパーツ、もしくは全てをキーワードに応じて変更することができる機能です。
例えば「山梨 不用品処分」というキーワードに対して、「山梨の不用品処分なら」といった感じで広告を生成することができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1716565565760-cUp8DXWxVq.png?width=800)
故に、「アカウント構造・入札」のパートで広告グループは1つで良いという説明をしました。だってキーワードごとに広告を分けられるんだもん。
他にもキーワードの挿入機能や、地域の挿入機能など、様々な広告生成方法があるので、必ずどれか1つは使いましょうね。
広告表示オプションとか、全部設定しろよ
普通に、広告表示オプションとか設定できるもんは全部設定しろよ。
あ、今では広告アセットって呼ぶんだっけ。
以上。早く設定しろ。
まとめ
ということで、リスティング広告の改善方法についてまとめました。
最後に、この3つのレバーで、どのように代理店の「色」が出るか紹介します。この基本は抑えているという前提でね。
アカウント構造・入札
オフラインコンバージョンのインポートやカスタマーマッチなどはシステム開発が必要なケースがあったり、Google広告の仕組みをレベル高く理解している必要があります。
システム開発に明るい会社だと、そういったテクニカルな取り組みがスムーズに実装できます。
キーワード
キーワードは基本的に「追加」と「除外」です。
この対応をオペレーティブに行えるかが重要で、オークションの仕組みを理解した上で、「追加」「除外」を頻度高く実行できているのは、いわゆる「運用に強い」代理店といえます。
広告
たぶん一番色が出るのが広告です。
広告は、広告アセットの作成だけでなく、LPの制作も重要です。
LPは唯一、Googleのシステムの範囲外にあるため(正確にはクロールされてんだけどさ)、運用が自動化されていくにつれて、LPの重要性が高まっているような気がしています。
ただLPの制作に強い系の代理店は、あんまり検証設計が立てられなかったり、運用に弱いイメージがあります。
最後に
本当はもっと言いたいことあるんですけど、1つのnoteでは書ききれないのでところどころ割愛しました。
広告ランクにも触れてしまうと終わりが見えないので、もし興味があれば「スキ」をください。たくさん貰えたら書こうかな。
最後に宣伝すると、今回紹介したように現在では殆ど運用の差が出ないというのが実情なので、弊社では格安で運用代行をしています。まじで格安です。
今の代理店より確実に手数料が安くなるので、その分確実にCPAも下がりますよ。
興味あればご連絡ください。
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