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Google広告のオークション分析の読み解き方を分かっていない人が多いので解説するよ

Google広告では数多の指標を確認することができますが、絶対に見ることができないものがあります。

それは競合の動向です。

広告運用者であれば競合の動向は喉から手が出るほど欲しい情報ですよね。

そんな時役立つのが!ぱっぱかぱんぱんぱーん

オークションぶんせきぃぃ~~


と思うかもしれませんが、実はオークション分析を眺めるだけでは競合の動向を掴むことは極めて難しいです。

この記事ではその理由を紐解きつつ、オークション分析の効果的な見方について解説します。

ちなみにこんなnoteも書いているので、興味あればぜひ読んでください。


オークション分析の概要

オークション分析にある指標

まずは基礎的な内容として、オークション分析の概要を紹介します。

オークション分析は、自社と同じオークションに参加している他社のざっくりとした傾向を掴むことができるレポートです。

具体的には「分析情報とレポート」>「オークション分析」で確認することができます。

オークション分析のミカタ

オークション分析で確認できる指標は以下の指標です。

  • インプレッションシェア

  • 重複率

  • 上位掲載率

  • 上部表示率

  • 最上部表示率

  • 優位表示シェア

今回はそれぞれの指標の意味について詳しくは解説しません。管理画面上でマウスオーバーすれば指標の説明が読めるよ。

オークション分析の誤解と仕組み

オークション分析を見て「よっしゃ!競合より勝ってる!」と判断するのは多くの場合間違いです。

その理由を知るためには、オークション分析の仕組みをきちんと理解する必要があります。

オークション分析の仕組みは、ご丁寧に公式ヘルプの一文目に記載されています。

オークション分析レポートを使って、同じオークションに参加している他の広告主様と掲載結果を比較できます。

オークション分析レポートでパフォーマンスを比較する

オークション分析では、「同じオークション」に参加している他の広告主(競合)との結果を表示しているんです。

裏を返せば別のオークションに参加している広告主の結果は表示されない、ということになります。

これが何を意味するのか、具体的な例を挙げて説明します。

整体屋さんAがリスティング広告を八王子で出稿しているとします。競合は同じ地域の整体屋さんBです。

整体屋さんAはキーワードを絞って「八王子 整体」などのキーワードを完全一致で登録しています。

一方で整体屋さんBは、Googleの方に言われた通り「八王子 整体」はもちろんのこと、「八王子 猫背矯正」や「八王子駅 マッサージ」など様々なキーワードをインテントマッチ(部分一致)で登録しています。

さて整体屋さんAのオークション分析では、整体屋さんBの動向がどのように表示されているでしょうか。

アカウント戦略は会社によって異なる

実際のLPや入札状況の前提は置いておいて、一般的に完全一致のキーワードの方がCPCは高くなります

それは決して悪いことではなく、「完全一致だから高くなる」というわけでもなく、完全一致で登録するような語句はコンバージョンにつながりやすいため(そうじゃないと完全一致で登録しない)、

  1. オークション上で他社と競合しやすい

  2. 高いCPCで張ってもCVRも高いからCPAが見合う

という理由があるからです。決して「完全一致だから高くなる」わけではありません。(大事なことなので2回言いました)

さて、整体屋さんAは限定的な検索語句に対して入札をかけているため、ここで整体屋さんBに負けるわけにはいきません。広告オークションでは整体屋さんAの方が上位表示できる可能性の方が高くなるかもしれません。(実際は分かりませんが)

そのような状態でオークション分析を見ると、整体屋さんAの方がインプレッションシェア・最上位表示率等々の指標が良く見えるかもしれません。

しかし実は整体屋さんAは悩んでいました。狙うべきキーワードは完全一致で登録しているのにCPAが良くならない・・・整体屋さんBにもオークション分析上では勝てているのに・・・

一方で整体屋さんBの様子はどうでしょうか。

整体屋さんBは、整体屋さんAが入札をしていない様々なオークションに参加しています。中には無関係な語句にも掲載しているため、インプレッションシェアは低く表示されているかもしれません。

にも関わらず、Googleの言いつけを守ってインテントマッチ(部分一致)を活用したおかげで、「マッサージ」や「リラクゼーション」などの検索語句でもコンバージョンにつながって、集客は絶好調です。

このように、オークション分析だけで競合他社の動向を予見するのは非常に危険です。

極端なことを言えば、競合他社と全く同じキーワード・ターゲット設定をしていれば、オークション分析の結果を真に受けてもOKです。しかし世の中にはそんなことができているアカウントはありません。

大企業が業界のシェア争いをしているような成熟したアカウント同士であれば、ある程度参考にはなります。

しかし殆どの場合そうではありません。

では、オークション分析を元にどのような洞察を得ればよいのでしょうか。

ビジネスモデルの問題

本題に入る前に、もう一つだけ抑えておきたいポイントをお伝えします。

それは広告ランクの決定要素に入札単価が含まれているということです。

先ほどの整体屋の話を再度掘り起こすと、例えばAは平均単価が5,000円前後の一般的な整体屋で、Bは外装や施術、体験にこだわりがある平均単価が20,000円前後の整体屋だった場合どのようなオークションが想定されるでしょうか。

整体屋AはCPA1,500円程度を目指して運用をする必要がありますが、整体屋BはCPA6,000円程度まで費用をかけられる、となると整体屋Bの方がオークションに参加する際の入札単価は高く設定することができます。

つまりオークション分析は、ビジネスモデルが大きく異なっている場合でも参考になりづらいのです。

このことを踏まえて、オークション分析の読み解き方を説明します。

オークション分析の読み解き方

私が考えるオークション分析の読み解き方は大きく3つです。(他にもあればコメント下さい)

  1. オークション分析をそのまま見る

  2. キーワードごとにオークション分析を確認する

  3. 自社のブランドワードが侵されていないか確認する

オークション分析をそのまま見る

ここまで「オークション分析を真に受けるな」的な説明してきたのに、どういうことだってばよ。って感じですよね。

要はこれまで説明してきたことを踏まえてオークション分析を見よということです。

噛み砕けば、競合のビジネス状況を把握した上でオークション分析を確認しようということです。

例えば、競合と全く同じビジネスモデルでインプレッションシェアが負けている場合、競合が特定のキーワードに注力している可能性はありつつ、広告ランク(入札や品質)で負けている可能性があるかもしれないね、ということです。

ぶっちゃけオークション分析では、それ以上のことは分かりません。

広告ランクで負けている可能性があると言っても、それが入札起因なのか、品質起因なのかは分かりません。

もしこのような状況であれば、競合の広告(見出しやLP)と自社の広告を比較してみると良いかもしれません。

もしそこまで顕著な差が見受けられなかったら、競合の方がLTVが高い or 新規顧客のシェアを拡大したい等の背景があるかもしれません。

オークション分析で得られるインサイトというのは、このような新しい気付き程度です。

オークション分析は決定的な原因を突き止めるものではなく、あくまでヒントになりそうな切り口を見つける程度だと認識しておきましょう。

キーワードごとにオークション分析を確認する

私が考えるオークション分析のもっとも有効的な使い方はキーワードごとにオークション分析を確認するという方法です。

アカウント全体で見ると、設定されているキーワード等によってオークション分析の内容と実態が乖離してしまう可能性がありますが、キーワード単位で見ることで、その乖離をなくすことができます

確認方法は、見たいキーワードを選択すると「オークション分析」というメニューが出てきます。

キーワードごとのオークション分析

この方法であれば実態との乖離は最大限なくすことができます。

注意点は、この方法でも実態との乖離をゼロにはできないことです。

ゼロにできない背景は以下の要素があります。

  • 除外キーワード

  • 広告の関連性

除外キーワードの設定によって、同じキーワードでも参加するオークションの幅は変わってしまいます。広告の関連性でも同じことが言えます。

なので自社のインプレッションシェアが高くても、「単に他社が除外しているような検索語句のシェアが高いだけ」という可能性もあるので注意しましょう。

ただ自社でもガチガチに除外設定している中でインプレッションシェアが競合よりも勝っているのであれば、それはポジティブに捉えても良いかもしれませんね。

自社のブランドワードが侵されていないか確認する

他社が自社のブランドワードに入札をしているとムカつきますよね。

よく「商標権の侵害なので除外設定してください」と連絡をする人がいますが、競合名をキーワードとして設定することは商標権の侵害になりません。(ただし広告はNG)

次に該当する場合、商標の使用は制限されません。
商標をキーワードとして使用する
商標を広告の表示 URL のセカンドレベル ドメインに使用する

https://support.google.com/adspolicy/answer/6118?hl=ja

まぁなので「商標権の侵害なので除外設定してください」は、このことを知らない人に対する脅しです。脅迫罪で訴えましょう。(脅迫罪も成立しないと思いますが)

とはいえ業界によりますが、競合ワードを入札しても良いことは殆ど無いので、除外依頼には極力応じるようにしましょう。

話を戻すと、他社からの除外依頼に応じるだけではなく、自分たちから他社に除外してくれと依頼するのも、リスティング広告の運用の1つです。

毎日自社のブランド名で検索するでも良いのですが、それではオークションの状況によって競合の出稿を捉えられないこともあります。

そのためオークション分析も併用して競合の出稿状況を確認するようにしましょう。

まとめ

ということで今回はオークション分析の読み解き方について解説しました。

オークション分析はあくまで自社が参加しているオークションにおける状況であるため、自社・他社の設定状況によって見え方が変わり、それに応じて解釈の幅を持たせなくてはなりません。

もし広告主の立場で代理店がオークション分析について浅いことを言ってきたら、この記事片手に言い返してやりましょう。

「それってあなたの感想ですよね?」



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