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アメリカで映像ディレクターとしてアーティストビザとった話 その2:取った理由


今回は、なぜアーティストビザを取得することにしたのかをお話しします〜

アーティストビザの前に持っていたビザ

それまで私が持っていたのはジャーナリストビザでした。ジャーナリストビザとは、アメリカでの取材活動を目的としてアメリカに滞在するために必要なビザで、新聞・雑誌の記者や編集者、テレビの記者、ディレクター、撮影クルーなどがとることができます。つまり、ジャーナリストビザをもっていれば、アメリカに長期滞在・そして働くことはできます。ただ、この場合、アメリカ国外(私の場合は日本)からの仕事でのみでしか、お給料やギャラをもらってはいけません。アメリカの会社から、お給料やギャラをもらうことはできないビザ。つまりジャーナリストビザは、アメリカでの就労許可のあるビザではないということです。

なぜジャーナリストビザじゃだめなのか?

日本からの仕事をいただけているし、長期滞在できるし、ジャーナリストビザのままででもよかったんです。アメリカにいる分には。
しかし、私が、本来やりたいこと、アメリカに来た理由は、アメリカの映画現場で働くことでした。
しかし、アメリカの映画業界は、就労許可のあるビザを持っていないと、外国人は働くことはできません。また、インターンとして無給労働をするとしても、就労許可のあるビザを持っていないと基本的には働けないのだそうです。これに関しては非常に厳格であり、アメリカのドラマ撮影現場で働いている現役助監督さんに言われました。
つまり、英語が流暢に話せても、十分な実践経験があっても、なんならコネがあっても、就労ビザがないと、そもそもアメリカの映画業界では働けないということなのです。そのために、就労許可のあるアーティストビザを取らないといけない、ということを理解したのでした。
※後述しますが、アーティストビザは、限定的な就労ビザで、自分の職業に関連した仕事以外は働けません

じゃあ、最初からアーティストビザをとればよかったのでは?

私は、大学院の学生として学生ビザを取得して渡米しました。卒業後にOPT(Optional Practical Training:大学や大学院での学位の取得後、専攻した分野と関連のある職種であれば最長1年間の就労を可としている制度)をとり、その間に次の長期滞在ビザをとる手立てを考える必要が出てきました。

この時、アーティストビザの存在は知っていましたが、どうやってとるのか、また取るにあたり必要なもの、必要な経歴などはよくわかっていませんでした。
私は、日本で報道番組やドキュメンタリー、映像プロダクションで10年ほど働いていました。就労経験は十分にあるのですが、就労経験があるだけで、輝かしい賞歴などがあったわけではありません。また、映画制作などといった一般的にいうクリエイティブな映像のディレクターとしての経験は、大学院での制作活動のみ。とはいえ、大学院で制作した短編映画は、映画祭で選ばれたり、なんなら賞も取っていたので、もしかしたらいけるかも?と思っていました。
そこで、ロサンゼルスの移民に強い弁護士事務所を知人に紹介してもらい、アーティストビザの取得について無料相談をしていただきました。
無料相談の結果、弁護士からは、私の経歴が卓越した能力をもつという証拠がなく、取得が難しいだろうと言われてしまったのです。映画祭で賞をとっていたとて、その映画祭の規模が小さすぎて、”卓越した能力”を証明するに値するクレジットにはならないと。誰もが知っている映画祭で賞をとったり、ディレクターとしてメディアに取り上げられたり、そういうレベルのディレクターじゃないと、映像ディレクターとしてアーティストビザはとれない、と言われてしまいました。
この場合、取得は無理だろうといわれても、お金を払えば弁護士に依頼はできます。しかし、取得ができなくても、依頼料は返金されないので、無駄足になります。また、一度ビザの取得を失敗すると、他のビザも含めてビザの取得が全版的に難しくなると言われているので、この時点でのアーティストビザへの挑戦は、リスクが高すぎる、という決断になりました。

また映像業界で事務方として働いている日本人の知り合いの方にも、アーティストビザは、大学院を卒業しただけの人が取れるようなビザではない、多分、今のあなたでは取れないと思う、と言われ、この時点でアーティストビザの選択肢は完全になくなっていたのでした。

おまけ:そしてジャーナリストビザの取得へ

日本の報道番組やプロダクションで長いこと働いていたので、この経験値があればジャーナリストビザはとれるのでは?というアドバイスを、ジャーナリストビザを持ってる方から頂きまして、早速トライ。特に大きな問題もなく、結構簡単にジャーナリストビザを取得したのでした。
(ジャーナリストビザの取得についてはどこかでお話をしようと思っています)


次はいよいよ、ディレクターとしてアーティストビザをどうやって取得したのか編です

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