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裁判傍聴:常習蓄犯窃盗その3

常習蓄犯窃盗 道路交通違反
(わ)第681号

被告は、前科18犯。
出所した後、大阪の福祉施設で世話になっていた。
が!
1ヶ月後に女性を連れ込み、規則を破ったとして施設を追い出される。
行き場所に困った被告は、無免許にもかかわらず、目に付いた森永牛乳のトラックを盗み、2日間乗り回す。

パトカーで巡回中の警察が、盗難届けが出されていた森永牛乳のトラックを発見する。
警察は車から降りるよう促すが、被告は投降すること無く、警察との派手なカーチェイスを繰り広げた。
このカーチェイスで、森永牛乳に90万の被害を負わす。
そして、捕まった時に0.05mlのアルコールも検出された。

通常、裁かれる被告は出来るだけ罪を軽くして貰おうと、演技炸裂で、どこまでもしおらしく、時には涙を絞り出すことも多い。
しかしこの被告は、前科18犯。
裁判に慣れていて、姑息な演技をすることも無く、質問にも正直に答える。


検察官、呆れ顔で
『何で盗んだの?』

被告
『足がダルくなったから、車で休もうと思ってな。
車にカギが付いとったから、まっええか~と思ってな。
大阪かえろ~思うたら、間違って岡山に来たんじゃ』

検察官
『今回の除いて、同じようなの何回やったの?』

被告
『覚えているのは、8回か9回!』

検察官、笑みを浮かべながら
『どうしようも無いね』

被告も
『どうしようも無いね』
と他人事のように笑う

検察官、軽い口調で
『また出て来たら、また盗んじゃうよね』

被告
『はい』
素直に答える。

検察官
『以上です』


正直を通り越して、ただのバカタレである



次に裁判官からの質問が始まる。
裁判官
『10年中、1年くらいしか外で生活していませんよね。
もう少し我慢できないんですか?』

被告、苦笑いしながら
『悪いのは分かってるのに、やめれんのじゃ』

裁判官
『この事をどのように思っていますか?』

被告
『どうしょうもないバカです』

被告は執行猶予中なので、何を言っても懲役を食らうのは確定している。
今回で、前科19犯になった被告。
検察官も、裁判官も、これからも刑務所を出たり入ったりすると思っているのだろう。
ふわぁ~んと裁判が終る。

被告の更正へ道は
天竺(てんじく)よりも遠い
がんだぁ~ら♪
がんだぁ~ら♪

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