「開業当時の自分に伝えたいこと」を聞いてみた /コンサルタント 川田哲也
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「開業当時の自分に伝えたいこと」を聞いてみた /コンサルタント 川田哲也

開業1年目の方に向けた本インタビュー企画。

インタビューでは個人事業主やフリーランスとして活躍されている先輩方に、開業当時の思い出や苦労、そこからの学びなどを尋ねます。
普段あまり知られることのない開業、そして個人事業成功の秘訣とは何か?を探っていきます。
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今回は、IT業界で20年にわたり外資・国内企業のマーケティングや営業を経験してきた川田哲也さん。川田さんは50歳を目前に独立を決意しました。会社を辞めて個人事業主になることは、人によっては大きな勇気が必要です。何が川田さんの背中を押したのでしょう。

また、フリーランスの大きな関心ごとの一つに「営業」があります。川田さんは仕事のツテがない状態で独立し、仕事を獲得してきました。その手法は、すでにフリーランスになっている人・今後独立を考えている人のどちらにも参考になる点があります。

フリーランスの魅力や、逆に不安に思う点、フリーランスであれば誰もが向き合わなければならない確定申告についても詳しくお話を伺いました。自分の得意分野を活かして事業を軌道に乗せた川田さんのお話を通して、その成功の要因についてご紹介していきます。

聞き手:工藤京平(freee株式会社)

IT業界でのマーケティング・営業経験を活かして独立

工藤
まず、これまでのキャリアや独立の経緯について教えてください。

川田さん
大学卒業後、新卒で入社したアパレルメーカーで百貨店向けの営業をしていました。4年半くらい勤め、20代後半に差しかかった頃、Windows 95が登場しインターネットが普及。これからITが伸びてくるんだなと感じたのを覚えています。

僕が勤めていた会社はアパレルでしたが、システム部の人と話す機会もあって、ITへの興味が高まっていきました。

27・28歳くらいの時に転職を決意したのですが、何しろ、パソコンもまともに使えないようなレベルでしたので、まずはパソコンスクールに通いました(笑)その後、学習を進めるうちにシステム作りに面白さを感じ、その分野でキャリアを積もうと考えるようになりました。

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工藤
転職先はどんな会社だったんですか?

川田さん
システム開発会社で、主にお客様先に常駐してプログラマーの仕事をしていました。ただ、2年ほど勤めた結果やはり自分は営業が好きだと気づいたんです。何しろ、土日の休みに誰からも頼まれてもいないのに、営業改善企画を考えて、上司に訴えていましたので(笑)そこで、アパレル営業経験とITでのプログラマー経験を活かし、IT業界の営業職に転職し、そこからはマーケティング・営業の仕事をずっと続けています。

現在もメインの仕事はマーケティングコンサルティングで、そしてもう一つ、怒りをどのようにマネジメントするのかというアンガーマネジメントのコンサルティングもしています。もともと僕はあまり怒る方ではなかったのですが、会社員時代に怒りやイラつきを感じたことがきっかけで強い興味を持ったんです。

アンガーマネジメントという言葉は知っていたので、勉強のため書籍を購入したのですが、それが一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事の著作でした。同協会のアンガーマネジメントファシリテーター養成講座も受講し、勉強を深めていったら面白くてどんどんハマってしまって。協会認定資格も取得しており、今後、重点的に取り組んでいきたいと思っています。

独立の理由は会社員としての閉塞感。自分で人生に責任を持ちたかった。

工藤
マーケティングやアンガーマネジメントのどのような部分に魅力を感じ、独立されたのですか?

川田さん
魅力を感じたというより、会社員としての限界や閉塞感を感じていました。果たしてこのまま正社員として働き続けることが自分にとって良いのか疑問に思っていたんです。

工藤
危機感があって、独立を決めたんですね。人によっては50歳を目前に独立することにかなりの勇気がいると思います。川田さんは、どうして独立を決断できたのでしょう。

川田さん
会社や他の誰かに自分の将来を左右されるのではなく、自分で自分の人生に責任を持ちたかったんです。幸いにも独立当初、扶養する子供もおらず妻も経済的に独立していたため、自分が食べていけるお金が稼げればなんとかなるだろうと思っていました。

人生一度きり、自分のやりたいようにやってみよう。そして上手くいかなかったら、その時に考えようと思っていました。

工藤
独立する際に心配事や不安はありませんでしたか?

川田さん
食っていけるかなという不安はもちろんありました。仕事のあてがあって独立した訳ではなかったので。ただその不安よりも、会社員を続ける違和感の方が大きかったですね。
その気持ちのほうが不安より少しだけ優っていました。

工藤
不安を受け入れた上で、それでも独立への思いが強かったんですね。

見通しゼロで独立。「人の縁」が仕事を呼んだ

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工藤
お仕事の内容について詳しく伺ってもいいですか?

川田さん
現在、国の関係機関で中小企業や個人事業主の販路開拓支援の仕事に携わっています。具体的には、先進的な技術や製品・サービスを持っている中小企業などと、自社でカバーしきれない課題を持っている大企業などのニーズをマッチングさせる仕事です。大企業は自社にないノウハウ活用ができ、中小企業は販路開拓ができます。

また、個人や企業向けにアンガーマネジメントコンサルティングや研修などもおこなっています。この分野については、今後注力して広げていきたいと考えています。

工藤
取引はどのように始まったのですか?

川田さん
国関係の仕事に関しては、セミナーをきっかけにWebサイトを閲覧したところ、公募があったので応募しました。基本的には年間契約で、開業して半年くらいの時から続いています。

工藤
その仕事を獲得するまでは、どうなさっていたのですか?

川田さん
WebマーケティングやWebサイト構築など単発でのマーケティングの仕事を請けていました。アンガーマネジメントについては、個人・企業向けの研修やコンサルティングサービスを提供しています。

工藤
それらの案件はどうやって獲得したんですか?

川田さん
どれも紹介ですね。実は独立時に何も準備していなかったんです。とりあえず開業届を出した後、色んな人に挨拶回りをしました。そしたらある企業の社長さんから「実はこんな依頼がきたんだけどできないか」って話が来たり。

工藤
それは、これまでのお仕事のつながりからですか?

川田さん
会社の名刺でつながった人は一切ないですね。興味があって参加した勉強会やセミナー、以前通学していたビジネススクールのつながりなどです。

そこで繋がった友人にもフリーランスや社長がいるので、仕事に繋がることもあります。今までは何にも意識せずに、面白い人がいるなって繋がっていって仕事になりました。でも今後は、これまでの繋がり以外にも営業していきたいと思っています。

工藤
戦略的に案件を取りに行ったのではなく人との繋がりが仕事になったんですね。

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工藤
今後、こんな風にお仕事を取っていこうという計画はありますか?

川田さん
マスに向けてではなく、自分が本当に伝えたいことを理解してくれるお客さんを大事にしたいです。ボクが本当に伝えたいことを共感(理解)してくれているような質の高いお客さんは、質の高いお客さんを連れてきてくれます。量を追いかけるのではなく、質を高めていきたいです。質の高いお客さんに応えられるように、自分自身も質の高いサービスを提供していけば結果は後からついてくると思っています

工藤
ご自身がやりたい仕事を通じて、ご共感いただける人を見つけたいということですね。

川田さん
そうですね。上手くいけば、その仕事が広がっていくかもしれませんし。質の高いサービスを提供すれば、少なくとも自分一人食えるくらいのお金は集まるでしょう。売上規模を追いかけるよりも、どうやったらみんなに喜んでもらえるかを考えていきたいです。

あとは、先が見えない世の中なので、変化には敏感でいたいと思っています。もちろん計画は立てますけど、日々変わることに対応していきたいです。

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裁量の大きさがフリーランスの魅力。ポイントはすべき仕事の見極め

工藤
開業してみて良かったことはありますか?

川田さん
一番はやっぱりひとりで何でも決められることです。会社では組織メンバーの総意も大事ですが、フリーランスは良くも悪くも自分で全て決められます。特に今のように先行き不透明な時代に、自分で決めてすぐ動けるのは自分にとってすごく重要です。あとは、時間の自由度。時間を全部自分で采配できます。

工藤
フリーランスの悩みとして時間管理が難しいとか、私生活と仕事のバランスが取れないなどがあります。仕事も様々なことを同時にこなさないといけないので、管理が難しいという悩みもありますが、工夫されていることはありますか?

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川田さん
以前は、いかに仕事を速く・効率的にこなす方法を考えていました。今は10個タスクがあったとしたら、まず本当に10個やる必要あるのかを考え、削っていきますね。やることはキリがないので。自分でやらなくていいと思ったらやめます。

工藤
やらなくていい仕事の判断基準はどういうところにあるのでしょうか。

川田さん
以下のようなマトリックスで考えています。縦軸に「a:緊急性がある、b:緊急性がない」、横軸に「c:自分がやりたいこと、d:自分がやりたくないこと(自分以外でもできること)」。

まず手をつけるのは、「ac:緊急性があって、自分がやりたいこと」。これは当然ですよね。次は、「bc:緊急性はないけど、自分がやりたいこと」。自分としてはやりたいことなんだけど、すぐには手がつけられないことは、どうしても後回しになりがちです。しかし、このゾーンは将来とても大切になるところなので、意識的に手をつけていく必要があります。

そして、「ad:緊急性があって、自分がやりたくないこと」、この類のタスクが僕にとっては1番の悩みどころです。ここのタスクは費用対効果を考えながら、どうにかして他人の力を借りれないかを考える必要があります。できるのであれば、すぐやることも大事です。例えば日々の経費精算などは、iPhoneのfreeeアプリを使って、なるべくその場でサクサク終わらせていきます。僕の場合、やりたくないことが溜まっていくともう何もしたくなるので(笑)

最後に、「bd:緊急性はなく、自分がやりたくないこと」。これは、とりあえず放っておきます。タスクリストにも書きません。以前は書いていましたが、結局やった試しがない。なので、タスクリストにあって残っているのも精神衛生上良くないので、書くのもやめました。

僕の場合、自分がやりたいことしか基本しないことにしているので、逆にどうにかして、「やりたいこと」ゾーンに入れるかがポイントです。確定申告で言えば、日々アプリを使って、サクサク精算してしまうことで、達成感が生まれ、それが自分の楽しさ(=やりたいこと)に変化してしてきました。

これは人それぞれでなので、人のやり方をそのまま真似しても上手くいかないと思います。自分のやり方を試行錯誤しながら見つけていく。何事にも通じることですよね。


工藤
他に意識されていることはありますか?

川田さん
今は健康を一番に考えています。自分が倒れたら代わりはいないので。
また、身体が健康じゃないと良い意思決定ができないし、パフォーマンスも発揮できません。良いアウトプットもできないでしょう。スキルや勉強も大切ですが、何より自分が健全で気持ちいい状態でいることが一番です。

工藤
悩みやご苦労はありますか?

川田さん
今のところはやりたいことやっているので、苦労があるとすれば運転資金繰りくらいです。ただ健康であればなんとかなるだろうと思っています。

仕事において自分で食べていく自信がなければどれだけ貯金があっても怖いでしょうし、逆にこれだったら大丈夫と自信があれば、仮に貯金ゼロだとしても怖くないと思います。

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開業後すぐに必要な環境を整え、本業に集中

工藤
開業freeeを利用した経緯を教えていただけますか?

川田さん
開業届についてネットで調べて見つけました。無料だし、簡単にできそうだなと。入力で分からないところが出てくるかなととも思ったのですが、予想よりも簡単でした。経費処理や確定申告は自分でやるつもりでしたので、開業freeeを使って開業届と青色申告承認申請書を作成し、その流れで会計freeeのアカウント登録もしました。

工藤
どうして会計ソフトを利用しようと思ったのですか?

川田さん
一番は、確定申告です。IT関連の仕事をしてきたので、エクセルで何かを管理する面倒さは知っていました。経理が専門ではないし、会計ソフトの力を借りないといけないなと。

工藤
会計freeeをどんな風に使われていたんですか?

川田さん
主に請求書と見積書の作成です。エクセルでもいいと思っていたのですが、使ってみたら便利で。ただ、確定申告に向けた経費登録等は全くしていませんでした。実際にやり始めたのは12月、1月くらいです。それまでは月ごとにレシートを分けて溜めていたくらいです。

僕はフリーランスになった当初、環境を先に揃えようと思ったんです。開業届の提出や会計ソフトのセットアップなど、先にやらなければならないことは、1・2ヶ月くらいの間に全部片付けました。

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独立した1年半前の自分に。「よくやった」と褒めてあげたい。

工藤
開業したタイミングの自分に伝えたいことはありますか?

川田さん
1年半前に独立を決断しことを「よくやった」と褒めてあげたいです。コロナウイルスで不安定な今の時期に会社員だったら、僕はチャレンジできる勇気があったかわかりません。

あとは、隙間時間を作って日々の経理をルーティン化した方がいいと伝えたい。
確定申告期、友人にも手伝ってもらい一週間ずっと入力をして、これはもう二度と繰り返したくないと思いました(笑)。今はその反省を生かし小まめにやっています。小まめにやれば楽です。スマホからも簡単にできますし、あんな苦労をせずにもっと有意義に時間を使えると思いました。

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開業して一番にやらないといけないことは、僕の場合は提供するサービス内容を研ぎ澄ますことでした。そういう意味で、経費精算はメインの仕事ではありません。だからルーティン化して早めにやっておくべきです。

フリーランスのリソースは自分一人しかいません。得意なことにフォーカスするためにも、苦手なことは費用をかけて会計ソフトを使うなど、どんどん外に出したほうがいい。

工藤
得意なことに集中するために、苦手なことは先回りしてアウトソーシングするということですね。

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工藤
最後に、今後のお仕事の展望について教えてください。

川田さん
今までは友人知人に恵まれて仕事をしてきました。どちらかというと受け身だったので、自分から積極的に発信して仕事を獲得していきたいです。

工藤
お話ありがとうございました。


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freee株式会社で、開業freeeのマーケティングを担当しています。中華料理をよく作ります。