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映画「バズ」から学ぶ協調性


映画 バズ・ライトイヤーの感想
※ネタバレ注意


7月1日。映画好きの人は毎月1日はわくわくするものです。
ファーストデーなので。
かくいう私も話題の映画から自分しか知らないんじゃないか? と思えるようなマイナーなものまでいろいろと観ています。
今回は公開日真っ先に気になっていた「バズ・ライトイヤー」を観てきました。


バズはアンディの好きな映画の主人公


最初のアナウンスで「バズはアンディの大好きな映画の主人公。これはその物語である」というようなグッとくるナレーションと共に宇宙世界に引きずり込まれていきます。
アンディのようなローテーィーン(10歳以下の少年少女)にとって
果てしない宇宙・ロボット・悪の宇宙人との闘い・宇宙船・せわしなく光るボタン・機能がたくさんある宇宙服・押してはいけないDENGERやWARNINGと書かれたレバー
「バズ」の映画には男の子がわくわくして仕方ない要素が詰まっています。
トイストーリーを知らない令和のキッズも楽しめると信じています。

映画「バズ」のあらすじは以下の通り。

スターコマンドのスペースレンジャーであるバズ・ライトイヤーと、彼の指揮官であり親友であるアリーシャ・ホーソーンは、新隊員のフェザリンガムスタンとともに、居住可能な惑星であるT'KaniPrimeを探索する。彼らは、惑星が敵対的な生命体をホストしていることを発見した後、探査船へ撤退するが、バズは撤退中に船に損傷を与えてしまい、修理を行い旅を続けるために乗組員を避難させる。

1年後、乗組員達は修理を行うために必要なインフラストラクチャとともに初期のコロニーを建設する。バズは、修理の重要な要素であるハイパースペース燃料をテストするボランティアをしていた。しかし、4分間のテストの後、彼は、相対論的な速度で移動したことによる時間の遅れの影響により、T'KaniPrimeが4年経過したことに気付く。バズはロボット猫のソックスに紹介され、ハイパースペース燃料のテストを続けるが、全てのテストでT'Kani Primeはさらに4年が経過し、最終的に62年以上が経過してしまう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

物語の前半は、バズが自分の力だけで地球に戻ろうと足掻けば足掻くほど、彼の周りの時間がどんどん進んでいき、あらすじにある通りバズは4分だけ過ぎた世界は60年以上経過していきます。
ここで私はバズに対して意図せず人外になっていく過程を見出して喜んでいます。ピクサーに性癖を見出すオタクが誕生しました。

アリーシャ・ホーソーンの設定について


映画「バズ」の序盤でえ? ってなった人もいるし、よくやった! と拍手したい人も出ていてもおかしくない。物語に大きくかかわる女上司にしてデキる指揮官アリーシャは同性愛者(レズビアン)であることをバズに明かして、妊娠もして(精子バンクみたいな?)、孫までいます。
アリーシャが同性愛者であったとしても、アリーシャの子供はそれを否定しないし、バズ自身も否定しない。私はそれが作品からの1種のメッセージのように思えました。
実際、イスラム圏の映画館では同性間のキスシーンが問題となり、「バズ」は上映中止になっています。
アンディが映画「バズ」を見ていた当時90年代末期にこんな堂々とした同性愛の表現をしてOKなのか? アンディはこれをよしとしたのだろうか。
そんなことを考えてしまうくらいには結構根深い問題です。
アリーシャは同性愛者である以前にも有色人種で女性、アメリカの歴史をかじった人なら彼女の存在が「フィクション」だから許されるのかな。と考えてしまいます。
アンディ、「でも幸せならOKです」の精神でもあったのかしら。


未来の世界でバズが得たもの


アリーシャの死後の世界に到達してしまったものの、ウラシマ効果(自分以外の時がすごく進んでしまうこと)によってバズの知識は未来に順応していません。
特徴的なのはサンドイッチのシーン。バズの目の前に出されたのは肉をパンで挟んだものではなく「まったく逆」の食べ物でした。
それをうまいうまいと食べる周りに眉をしかめるも意外と食べたらうまいと逆サンドを受け入れます。

アリーシャの孫イジーとその仲間とチームを組んだバズは、最初は自分が一人でなんとかすると奮闘するものの、毎回自分の立てた計画は最後にドミノ倒しのように崩れてしまいます。
バズのように責任感が強く、自分でなんとかしよう、他の人は能力的にも頼れない、いない方が進みやすいと考える人ほどうつ病に拍車がかかっていくので、どっかでバズのメンタルが本当に爆発したりしないだろうかと勝手に心配していました。
バズのメンタル安定に一役買ったのは、間違いなく猫型ロボットの「ソックス」でしょう。(足のみ白色の猫なので、靴下を履いているように見える=ソックス)
ソックスはバズの話し相手になろうとし、時には内蔵されているUSBから情報を抜いたりハッキングしたりとバズがやってほしいことを率先してやっています。
かつて自分が担当した新人飛行士「フェザリンガムスタン」が「何かやることありますか?」と聞いたときに「何もない、座ってろ」と突き放していたこともあり、他人とのコミュニケーションに難があるプライドと使命感・責任感で生きてきた男がいざ誰かとチームを組むことを強いられることのストレスは尋常じゃないのだろうな、と勝手に想像してしまいます。

イジーの他にモー、ダービーという戦闘力皆無おじさんと受刑者おばあちゃんがでてきます。一見バズのように彼らが物語にどんな役割を果たしてくれるのか、とこちらに疑問を投げかけてきます。
最近完結した漫画『ゴールデンカムイ』の「天から役目なしに降ろされた者はいない」というように、彼らも終盤にバズに負けない活躍をしています。
ピクサー映画はちゃんとそういう一人ひとりの見せ場(カタルシス)を見せてくれるので本当にありがたい。
そして最終的にバズは62年後の世界の上官から一部隊の隊長を任じられる名誉を断って、「私にはもう仲間がいます」と笑って物語は終わります。


映画「バズ」を通してのメッセージ


ヒーローは一人では解決できない問題もある、だから仲間は必要なんだ。

これが私がバズから受け取ったメッセージです。

バズは最初一人で解決しがち、独りよがりな男でした。
人間関係も上下関係、自分をサポートしてくれる人という認識で、実際作中では上司のアリーシャ、部下(後輩)、サポートしてくれる航空士、ソックスのようなコミュニケーションロボットなどはいるものの対等に歩いてくれる存在はいません。

長い時間旅行を経て、バズの人間関係はリセットされます。
それでも一人で地球に戻ろう、使命を果たそうとした結果がザーグになったバズ。仲間を得て今いる星で共に生きていこうとしたのが現在のバズ。
幾度とない危機をのりこえて、バズの中に「仲間が必要」という意識が生まれたのは大きな成長です。

また、バズは特定の人と恋愛関係にならず、後半からメインヒロインとなったイジーとも対等な仲間として扱っていたのもよかったです。
パシフィック・リムのような爽快さのある男女の関係が好きな人はバズを観てください。




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