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演劇系大学の個性の違い

こんにちはQoiQoi の吉次匠生です。
僕は日本大学芸術学部演劇学科演技コースの卒業生です。
今日はそんな僕が、演劇系大学の学生(俳優志望)の個性について独断と偏見で語っていこうと思います。
これから大学で演劇を学びたいという方や、お子様の大学進学を応援している親御さんなどの参考になればと思います。

演大連

僕は大学三年生の時「演大連」という学習カリキュラムに参加していました。
演大連については詳しく書いた記事がありますので、気になる方はそちらをご覧ください!

簡単に説明すると、日芸、多摩美、桜美林、玉川、桐朋の五つの大学の学生が集まり共同で作品を作るという企画です。
僕は演大連の第3回多摩美が主催校の年にキャストとして出演しました。演出は野上絹代さんで、作品は野田秀樹さんの『カノン』舞台は東京芸術劇場のシアターイーストという学生には豪華すぎる体験をさせていただきました。
そんな中で1ヶ月間他校の学生と毎日顔を合わせ稽古をしてきたなかで、僕が感じた各校の学生たちの特徴を話していきたいと思います。あくまで日芸しか通っていませんが、他の大学の学生から聞いた教育カリキュラムも交えながら頑張って話していこうと思います。ではいきましょう!

日本大学芸術学部(日芸)

特徴

僕の母校の日芸生の特徴としては、良くも悪くもベースがしっかりしているということです。ポケモンで言うと水、草タイプです。
日芸は演劇学科の3.4年生からしか演大連に受験資格がないため、同期と先輩を含めみんな演技は素晴らしかったです。
また、日芸生は1、2年の時には舞台に立つ実習はほぼありません。身体作りや戯曲解釈、役作りの仕方などひたすら基礎固めに時間を当てられるので、自然と演技が安定している実力のある学生が多くなる傾向があるしょう。(自分に当てはまる自信はありませんが、、、)
逆にいうとずっと講師の指導にそって芝居を学んでいくので、正解を求める演技になり、おもいきりがなくなるというデメリットもあります。

出身劇団

・ままごと
・東京デスロック
・ロロ など


多摩美術大学

特徴

多摩美は僕の感覚的に発想お化けとセンスの塊という印象があります。ポケモンでいうとエスパー、電気タイプです。
1番日芸と真逆の大学かもしれません。多摩美の教育の方針は一言でいえば放任主義(現在は学科が夜間部から昼間部に変わりカリキュラムも変更したので違うかもしれません)です。
当時の学生に聞いたところ、教育の方針として「なんでもいいから何か作れ!」「とにかく手を動かせ」という方針らしく、その後にできたものを講師が添削するスタイルらしいです。
よって自分で物を作るクリエイター気質の学生が揃っている傾向がありました。
逆にデメリットとしては、演技の勉強を日芸ほど専門的にやってないらしく、日芸ほど安定して芝居をしている印象はありませんでした。
日芸生みたいに70点80点の芝居をするのではなく、めちゃくちゃ面白いかめちゃくちゃつまらないかの、120点か10点かの演技になりがちです。型破りな分ハマった時の爆発力がすごいのが多摩美の魅力です。


出身劇団

・快快
・シラカン  など


桜美林大学

特徴

桜美林大学の学生の特徴としては、フィジカルモンスターという感じでした。ポケモンで言うと格闘、飛行タイプです。
桜美林は演劇だけではなくダンスにも力を入れているらしく、役者をしながらダンスの授業も受けられるみたいです。中でも演大連の時に僕もお世話になった木佐貫邦子先生が持っているコンテンポラリーダンスの授業を受けられるのは、それだけで桜美林に行く価値あるな〜と当時思ったこともあります。木佐貫先生は野田地図のアンサンブル振り付けとかもしてるので、めっちゃ羨ましい!!
稽古場でも休憩中にも関わらず何故かずっと踊ったり身体動かしていました。普段から身体を動かすことが多いせいか、身体のきく学生が多く、アンサンブルなどをやらせたら1番上手な学校かもしれません。演技もダンスも学びたいと思う人に向いてる大学だと思います。

出身劇団

•マームとジプシー
•範宙遊泳 など


玉川大学

特徴

玉川大学の印象は何でも屋です。僕が受けた演大連の年は玉川のキャストは2人しかいなかったので、1番情報が少ないのですが記憶ではスタッフが多かった気がします。ポケモンで言うとノーマルタイプです。
玉川の特徴として役者がスタッフをするというところです。日芸はキャストとスタッフでそれぞれコースに分かれており、それぞれ専門で学ぶのですが、玉川大学は在学中に役者とスタッフ両方を学ぶことができるそうです。
スタッフの気持ちがわかったり、照明や音響などテクニカルに理解があるのは演技をする上でとても助けになります。なので、スタッフを学べるのは魅力の一つでしょう。
あらゆる状況に対応でき心強い学生が多かった玉川大学ですが、演劇を幅広く学びたいと方へ向いてる大学だと思います。

出身劇団

出身劇団としてはあまり有名な劇団はない印象です。
しかし
・宮本亜門さん
・西岡徳馬さん
・篠山輝信さん
など個々人で活躍している方がおおくいます。


桐朋学園芸術短期大学

特徴

桐朋の特徴はなんと言っても短大というところです。そして桐朋の学生は発声がしっかりしていた印象です。ポケモンでいうと炎、地面タイプです。
桐朋はおそらくですが、新劇をベースに学んでるような学生が多かった気がします。「新劇」についてはいつかどこかでやるかもしれませんが、一般の方が1番イメージしやすいお芝居だと思います。養成所や俳優訓練所で演技を学ぶ時は、腹式呼吸などを必ず学ぶと思います。これも新劇をやる上で必要になってくる要素の一つです。
発声がしっかりしているので、大きな舞台でもセリフがしっかり観客に届き舞台映えする学生が特色だと思います。
また短大なので、学問というより実践的な演技訓練所として演劇に携わりながら学んでいきたい方へおすすめです。

出身劇団

・二兎社
・地点
・ハイバイ など





まとめ

ここまで話してきてどうでしょうか?
同じ演劇を学んでいる大学でもそれぞれ武器となる特色が違うことがわかりますね。
僕は日芸しか通ってなく、他の大学はごく数人の学生しか見ていないし、全ての学生が書いたことに当てはまる訳ではないと思います。
あまりにも独断と偏見なので、今回この記事を書くことはすごく悩みました。
しかし、オープンキャンパスや大学のホームページ以外に内部で現場を見てきた人間の意見があってもいいのでは? と思ってこの記事を書きました。
大学選びに迷ってる方は少しでも参考になれば幸いです。
また、これはあくまで参考です。
大学に入ってどうなるかはその人次第だし、卒業してからの人生もその人次第です。大学は必ずしも教育のクオリティを確約された場所ではありません。(ある一定ラインは確約してて欲しいのですが)せっかく受かったなら受け身で通うより、ぜひ能動的に学生生活を送ってほしいです。そのための参考にしてください。

僕は何歳になっても未来を切り開くのは環境ではなく自分自身の行動力だと思います。

長くなりましたので今回はこの辺で切り上げさせていただきます。ではまた。


QoiQoi 吉次匠生


QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。

また、「想像力を創造する」を信念に演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。

このnoteでは作品制作のことを中心に、被災地のことや原発のこと、その他考えたことなど、読んでくれている方へなるべく為になるような記事や僕らをより知っていただける記事を書いていくことを目指しています。
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