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コロナ禍で起こった変化を整理してみる

こんにちは、QoiQoiの大橋悠太です。
今回から自分も考えたことなどを共有していこうと思いますので、よろしくお願いします。
今日は、コロナ禍で起こった世間の変化・自分の変化を整理してみようと思います。10分ほどで読める文量を目指します。

ではいきます。

目次
1、コロナによってもたらされたアーティストへの影響
2、自分への影響を考えてみる
3、コロナをチャンスに変えられたか?
4、まとめ


1、コロナによってもたらされたアーティストへの影響
オリンピックの年に起きた、数百年に一度の世界的大流行。それによってさまざまな業界での活動がストップし、経済活動に大打撃となりました。ここでは特にアートや芸術の分野への影響を考えてみます。
コロナによる影響で一番大きかったのは展覧会や舞台公演の中止でしょう。それまでの準備に掛けたすべての資金が回収できない損失になってしまいました。自分たちの懐から捻出している小劇場演劇や個人のアーティストなどは立ち直れない程の損失でしたし、スポンサーがつくような大きな展覧会・公演では数億円もの損失が出たところも少なくありません。

そうした損失から団体の解散やアーティスト活動そのものを辞める人々も多くいました。私の周りでもそうした決断をした団体やアーティストが少なからずいました。この状況下で業界に起こった変化としては、リモート配信による公演などの増加やYouTube等への参入の増加です。キャッシュレス決済の普及や投げ銭方式の採用、普段舞台や展覧会へ足を運ばない層へのアプローチになったというポジティブな変化もありましたが、基本的にはリモート配信の増加は、単純なアーティストの手助けにはなっていないように思います。理由は単純でリモート配信には熟練度が如実に表れていて、大抵の団体がクオリティーの低いものしか作れなかったこと。そもそも実際にお客さんを迎え入れる為のプロモーション程度でしかなかったため、それをメインコンテンツにするだけの力がある団体が少なかったように思われます。

YouTubeでの活動もやはり苦戦する団体や個人が多い。既に成功しているYouTuberの後追いになってしまい、逆に有名YouTuberにお客を提供することにもつながってしまう。収益化するには、結局は一からの努力をするしかありません。
こうした状況の整理として、生き残れている個人・団体はすべからく【ファン】がしっかり存在していた、ように思います。世の中のお客さんは【顧客】と【ファン】に分けられます。
【顧客】=サービスを買う人
【ファン】=サービス提供者を応援する人
です。
コロナ禍では結果的に【顧客】に支えられていたサービスは淘汰され強者しか生き残れず、【ファン】に支えられていたサービスは生き残る割合が高かった。
どんなにいい作品を作っていたとしても、満足してくれる【顧客】がたくさんいたとしても、コロナ禍ではそれが全く力にならなかった。クラウドファンディングなども増えましたが思う結果が出ないのは、いかに【ファン】を獲得する活動をしていたか、がカギになっていたと思います。
この辺りの話は長くなりそうなので、また別の機会に。


2、自分たちへの影響を考えてみる
私たちの団体QoiQoiも2020年8月公演を控えていましたが、コロナウイルスの大流行を受け2021年3月への延期を決定しました。しかしその決断は簡単ではありませんでした。公演の準備のため劇場の仮予約は済んでいましたし、8月までは他の仕事も入れずに稽古のためスケジュールを空けていました。それが急に何もなくなるというのはさすがに恐ろしさに震えたのを覚えています。そして何より8月公演のその後の展開も考えていた自分たちにとっては、半年以上の延期と言うのもだいぶ応えました。制作スピードを上げて作品と共に団体の認知獲得を狙っていたのですが、それも一旦保留し他の選択肢、生き残る方法をまずは探らねばなりませんでした。

さまざまな方法を検討しましたが、駆け出しで実績もない自分たちには当然【ファン】と呼べるお客さんは少なく、できる手段が限られていましたし、作品制作だけで活動を守ることは厳しい状況でした。そこで自粛期間中に時間を割いたのが、国の制度を利用することでした。相方である吉次匠生の親御さんの助言もあり、持続化給付金や補助金制度、緊急小口融資などの国や自治体の支援に目を向けることが出来ました。

それまで漠然と、そうした制度は自分のような食えないアーティストには適用されないと〈勝手に〉思い込んでいましたが、調べてみればそのような事はなく、程度の差はあれど利用できる制度は存在しました。自分たちはまず確定申告を覚え、給付金を申請し、その後も補助金などの申請方法をとにかく調べました。「団体を守る」ということをあれほど考えたのは初めてだったように思いますし、これほど必死に勉強するのもいつぶりだろうという状況でした。
その知識を活かし、自分たちの周りのアーティストや友人などにも話を聞きつつ、制度の紹介や申請の手伝いをしてきました。できうる範囲で今後も続けていきたいと思っています。
コロナによって団体での活動の仕方や、今まで見えていなかった制度や知識に手を伸ばせたことは自分たちの成長に繋がったように思います。


3、コロナをチャンスに変えられたか?
コロナは良くも悪くも、多くの人に【変わらなければ死ぬ】という状況を与えました。これは平等に与えられて、冗談抜きに生きるか死ぬかという選択肢を叩きつけてきました。そこで今までの状態を捨てて変化に適応した者は生き残り、そうでない者は業界を去る決断をせざるを得ない状態になりました。
逆にこの状況を逆手に取り、ネットの活用やリモート配信やYouTube等を活用してコロナ以前ではできなかった表現や活動方法を確立している団体や個人もいます。
私にとっては本当に多くの成長の機会を与えてくれた側面がありました。(もちろん奪われたものも多いけどね!)そのおかげで、いまこうして自分たちの活動や考えを、文章にして発信するという試みに挑戦することが出来ています。
これ以外にもさまざまな事に挑戦していくフットワークが、以前よりはるかに軽くなりました。変化に飛び込むことが怖くなくなったとも言えるかもしれません。


4、まとめ
いかがでしたか?
まとめると、「コロナ禍の業界への大損害。そして大きな変化として【顧客】相手の活動から、【ファン】相手の活動へのパラダイムシフトがより加速し、それに合わせて変化できる団体や個人と、そうでなかった者との結果が明確に出ているよね」というお話でした。
その中を駆け抜けた自分の体験も併せて書いてみました。
今後も活動を続けながら、気付きや考えたことを共有できればと思っています。
ではまた。

QoiQoi 大橋悠太


QoiQoiプロフィール
2018年2月9日に大橋悠太と吉次匠生によって結成されたアートユニット。 当初はano(アノ)として活動していたが、2020年10月1日より団体名を改めQoiQoi(コイコイ)として新たな活動を始めている。

また、「想像力を創造する」をモットーに演劇、映像、インスタレーションなどさざまな分野を飛び越え作品制作を行う。団体名のQoiQoiもquality of imaginationが由来である。 また、社会問題から個人の体験まで幅広い事象を可視化し、常に観客に「当事者性」を提示する作品作りが特徴である。

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