今、健康経営が注目されている4つのワケ
近年、健康経営が企業の課題の一つとして注目されています。そもそも健康経営とは、アメリカのロバート・H・ローゼン氏により提唱され、「従業員の健康が将来的な生産性向上につながる」という概念をもとに、従業員の健康管理を戦略的に実践する取り組みを意味します。
「なぜ今、健康経営がクローズアップされているのか」、その理由は大きく分けて4つあると考えられます。
① 社会保障費の増大
② 少子高齢化に伴う人材不足
③ 長時間労働・職場ストレスによるリスクマネジメント
④ 働き方、ライフスタイルの変化
ひとつひとつ、詳しく見ていきましょう。
① 社会保障費の増大
年々拡大し続けている社会保障費は、国の財政を圧迫する大きな要因となっています。中でも医療給付費は2025年には54兆円にも達する見通しで、従業員の不健康からの医療費の増大は会社の負担も大きくすることになります。この近年の国の財政のひっ迫が健康経営増進のきっかけとなり、政府は「健康経営優良法人認定制度」「健康経営銘柄」などの認定制度により優良な法人を「見える化」するなどの対策をはじめたのです。
② 少子高齢化に伴う人材不足
少子高齢化が進行している日本では、働き手となる労働力不足の問題に多くの企業が直面するといわれています。そのため、「従業員一人当たりの生産性を高めること」はどの企業でもマストな課題といえます。企業として従業員の健康を守り、働きやすい職場を目指すことは少子高齢化が現在進行形で進んでいる日本において当たり前に取り組まなくてはいけないことなのです。
③ 長時間労働・職場ストレスによるリスクマネジメント
従業員の疾病、障害、死亡に関して企業は責任を取らなければなりません。加えて、過労死などがあった場合、企業イメージが損なわれることのデメリットも予想されます。貴重な人材が突然の体調不良、休職や退職で失われる。企業にとっては戦力ダウンになるだけでなく、新たな人材を採用・育成するコストも発生します。
従業員の健康が損なわれることで起こるリスクを減らすには、企業が積極的に社員の健康にかかわり、リスク管理として健康経営を進めなければならないのです。
④ 働き方、ライフスタイルの変化
従来の終身雇用制は減り、転職が当たり前の時代になりつつあります。「やりたいことを見つけるために転職を前提に入社した」「転職してキャリアアップしていく時代だと思う」など近年、働き方は大きく変容しつつあります。
就職先を選ぶ際の決め手として「働きやすさ」を挙げる人が増えています。また、ワークエンゲージメントを高めることも重要になっています。(ワークエンゲージメントについて知りたい方はこちら⇒モチベーションの高い従業員を増やす取り組み?!)健康経営に取り組むことで、社員を大事にする企業というイメージを広めることは、優秀な人材を集めるうえで必要不可欠になるかもしれません。
上記で挙げたような背景から「健康経営をしないと生き残れない」時代が近づいていると考えられます。企業・社員の双方をいたわるためにもできる範囲から健康経営を取り入れてみてはいかかでしょうか。
参考文献
なぜ健康経営が注目されているのか?事例から探るその効果とは
働き方改革のポイントは「健康経営」なぜ今注目されているの?
終身雇用はもはや過去の話|定年まで同じ会社で働きたい人はたった3割
健康経営とは?企業が取り入れるメリットや取り組み方法を徹底解説