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日本の教師よ、スト権を奪還せよ

 Facebookのあるグループで、私は次のように書いた。

<米兵が来ているのは、東アジアを反共のとりでにするためです。そのために朝鮮戦争があり、韓国も維持され、日本国内では公務員のストが非合法だから、労働運動は連合なんかになって、反共オテモヤンが天下で、教師はストが出来ないから、生徒に憲法、労働法、近現代史を教えられず、いまやなり手もいなくなる状況。隣の国が当たり前に近現代史を子どもに教えるのを反日とか呼んでる。そういうことのために、米兵は来ている。>

すると、こんな反論が来た。

<<教員が憲法、労働法規!近現代史を教えられないというのは事実ですか?日本国内のお話ですか?
 私は、ある県の高等学校の地歴・公民科(かつては社会科という名称でしたが)の教員として40年ほど働いていました。専門の政治経済や現代社会の授業では、教科書や副教材の資料集にもたくさん記述されていますし、近代民主政治の基本原理の単元で当然扱います。労働運動の歴史概要やいわゆる労働三法を学ぶ授業も当然行います。地歴科の日本史でも世界史でも近現代史の単元は授業や補習で取り扱います。(やらないと大学入試に対応できません。)
 国家公務員法及び地方公務員法で規定する労働基本権の制約は、国際人権規約の規定に反するので、日本国政府は批准していませんが、このことと学校におけるカリキュラム及び授業内容や教員志望者の減少に相関関係があるのですか?>>

 これには驚いた。

 そこで反論した。

<<<あなたの書かれたものはお読みして申し上げているのです。あなたは元高校教員ですね。私は、憲法、労働法、近現代史を中学で、と言っているのです。

 教材のほんの一部に書いてある程度のことではなく、学校を卒業したら必要になる、民主国家の国民として最低限必要な心得として教えるのでなければ意味をなさないのではありませんか。
 あなたは、電通の高橋まつりさんのような悲惨な自殺は、彼女だけの特殊な例だと思いますか? 不当な上司の酷使に、ついに心を病んで自殺したあのひとは東大出ですよ。中学できちんと近現代史を教えていたら、NHK大河ドラマなんて長々とやってられますか?

 日本の中学高校の多くでは、憲法、労働法をきちんと教えていないということを、私はあちこちで言っており、聞くひと、読むひとのなかには教員の方もおられて、私の言う通りだと言っていますよ。

 あなたの言う異常なカリキュラムというのは、極右の教育をやる学校のことでしょうが、私はそんなものはもちろん度外視しています。

 考えてみてください。韓国では近現代史を教わります。屈辱と、国民一致団結しての闘いと、勝利の栄光の歴史をともに学ぶのは当然です。それを、日本は反日教育と言い、国民の圧倒的多数がうなずいているのは、なぜですか。学校できちんと近現代史をやらないからではありませんか。

 アフリカのひとたちも独立の歴史を学んでいるのですが、フランスや英国がそれを反仏教育だの反英教育などと罵った例を私は知りません。

 彼我の差は何によるものでしょうか。>>>

 元教員氏は無反応だ。そこで、以下のように追加した。

<<<<いま、教師になり手がなくなっていますよね。労働時間、給与のことももちろん問題ですが、そういう教師の待遇が、どうして改善されないのか、あなたは考えたことがおありでしょうか?

 大矢英子さんという、カリフォルニアの大学で教えているひとが、東京新聞の本音のコラムに「学生にしかられてしまった」というタイトルで、米国での教員ストのことを書いたことがあります。
 待遇改善のための教員のストを学生たちも支持したのです。全学討論会とでもいった場で、大矢さんに学生が、日本ではどうなのかと質問、大矢さんが、日本では教員はストができないのだと答えたら、呆れられたそうです。

 あなたは、なぜ、日本がそんなことになっているのか、お考えになったことはあるでしょうか。これについて、あなたや私が妥当な考えをもてるということこそが、近現代史を知るということだとはお思いになりませんか?

 すみませんが、あなたのコメントを読んだら、いっそう日本の教育に絶望的になりました。高校では歴史も倫理社会も政治経済も選択ですよね。やらなくてもいいのです。民主国家の国民として必須のもののはずなのに、そんな扱いなのです。それをあなたはなんとも思っていらっしゃらない。いったいどういうことですか。

 しかも、高校の学習資料に憲法のことなどが書いてあれば、それでいいとしておられる。あなたの知るどこの高校(できれば中学)の先生が、憲法に盛り込まれた思想を具体的日常卑近の事例をあげながら、生徒に説明し、生徒の疑問を引き出し、ともに答えを追求したというのですか。

 まるで、倫理社会にサルトルの実存主義と書いてあれば高校生はみな実存主義を理解できるとでも言わんばかりではありませんか。そんな思想理解ってありますか? 逆にそんな、ほんの話のとっかかりみたいなものでも、そこにいろいろの考えを盛り込み、皆でともに疑問をもち、追求するということがなされるなら、何か実を結ぶでしょうが、日本の高校って、そんなところですか? ブラック校則などを振りかざすような水準の教師ばかりで、生徒と共に深く考えるなんて、あり得ない話ではありませんか。

 <国家公務員法及び地方公務員法で規定する労働基本権の制約は、国際人権規約の規定に反するので、日本国政府は批准していませんが、このことと学校におけるカリキュラム及び授業内容や教員志望者の減少に相関関係があるのですか?> と述べていらっしゃいますが、私は、上の大矢英子さんのコラムに言及したことで、これへの答えを書いたつもりです。

 ご意見がおありなら、是非お聞かせ頂きたいものです。このことも、私はあちこちで書いて、学校教員の方から反論はありません。反論はあなたが初めてです。地方公務員法の規定は公立学校の教員を根本的に束縛するものです。それが、教員の待遇、カリキュラム作成権に関わりがないと、どうして言えるのですか?>>>>

 これに対する元教員氏からの答えはない。彼の人生を否定することになったかと、気が重いのだが、日本人みなが考えるべきことではないか?

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