『佐藤栄作 最後の密使――日中交渉秘史』

実は入手したばかりで全てを読んではいない。しかし、既に略略三分の二程度は読んでいる。それは、本編の約三分の二は既に視聴したNHK・BS1スペシャル「日中“密使外交"の全貌」の内容だからだ。

本編は、その後の筆者の取材結果を反映させたものだ。先週末の日経新聞広告に掲載されており、普段はケチで古本になるまで待って購入するのに、即座にアマゾンで「ポチ」ってしまった。

その理由は、本編の主人公の一人である西垣昭元大蔵事務次官との接触機会があったからである。

今を去る約30年前、私は所謂“円借款”業務に従事していた。これを所管する海外経済協力基金(OECF)の総裁であったのが西垣昭氏だ。

当時、OECFの総裁は大蔵事務次官経験者の「指定席」で、30才そこそこの民間人であった私にとっては、天下りの総裁などは円借款の実務には関係ない、ある意味「どうでもよい」方であった。

というのも、面談議事録のドラフトに対して『時候の挨拶が言った通りに記載されていない』というような面談の内容とは全く関係のない指示を下すなど、個人的には「役所に就職しなくて良かった」、と確信を深めさせる御仁であったからだ。

さらには中華人民共和国について全くリテラシーの欠如した、若い私から見れば「無知」としか考えられない発言の数々には幻滅以外の何の感覚も感じられなかった。

しかし、NHK・BS1スペシャル「日中“密使外交"の全貌」を視聴したことにより、彼が佐藤栄作の名代として、最終的には田中角栄政権で実現する中華人民共和国との国交樹立の前提となる“汗かき”役を果たしていたことを知り、衝撃を受けた。

ここまでDeep Insightに関与していて「無知」であるはずはない。

そして、こう考えざるを得ないのだ。

彼は、日中国交回復事案と同様に佐藤栄作が関与した“too sensitive”な場面に多く関与しており、墓場まで持って行って封印させるまでは疑念を持たれぬよう、馬鹿を装う必要があったのではないか?

急いで「ポチ」ってしまったが、ゆっくりと読みたい。パラパラとめくったが、李先念に来日歴があるなど、超弩級の驚愕の記載が見える。(酔って幻覚見たかな・・・)

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