【読書録】豆腐色戦記(白)

 封筒は茶色、豆腐色は白を塗布しろと。

 ふうろいとに憑りつかれておる。もともとは、ドゥルーズの『千のプラトー』を読んでいて、狼男の章を読んだ時に、元ネタを読んでおくべきだと考えて開いたフロイト全集だったが、そこから逸れるようにして開いた西谷修の『不死のワンダーランド』にも、「〈不安〉から〈不気味なもの〉へ」と題して、またしてもフロイトを読めと促される。フロイトならもう読んだよ、と、「夢判断」を読み、「快感原則の彼岸」を読んで、「自我論」と「エロス論集」を全て読んで、いや、この中の一部だったか、「快感原則の彼岸」は、それから一つは症例を、と「あるヒステリー分析の断片」を読み、他の評判から「トーテムとタブー」、「モーセと一神教」を読み、「幻想の未来」を読み、その他雑多な著作も目は通したと思う、さあとりあえず、共著である「ヒステリー研究」なんかは読めてはいないけれども、もう十分だろう、他の作家に、といってフロイトの本を置いてしばらくたった。こうして目の前にフロイトの陰がまた近寄って来るにつけ、彼独特の、反転した運命論みたいなものを信じざるを得なくなってきた。
 ドゥルーズはガタリと一緒にフロイトを完全に葬り去ろうとして「アンチ・オイディプス」を書いたのだろうし、ラカンはフロイトの骨組みを利用して自分色の理論を組み上げたように見える。しかし、卒業するには、完全に踏み抜かなくてはならないらしい。まだ踏んでいない箇所がある。大体どんな口調なのか想像はつく。今後は、患者側の声を聞くべきなんだろうか、と『千のプラトー』を部分的に読んで思ったりもする。しかし、まずは踏み抜かなくてはいけないらしい。
 症例「狼男」と「不気味なもの」。

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