【日記】マイルス・デイヴィス

 マイルス・デイヴィスの曲を、改めて聞き直している。
 自分が注目しているのは、中・後期の音で、これも師匠の受け売りみたいで気恥ずかしいけれども、「オン・ザ・コーナー」のサウンドが一番いいと思っている。
 エレクトリック・マイルスと呼ばれる時期がある。とくにロックだろう、その他いろんなジャンルの音楽を呑み込んだであろう末に生まれたサウンドだと、僕は思っている。
「マイルス・イン・ザ・スカイ」というアルバムもある。これを聞き直したら、展開の巧みさにぶっ飛んだ。
 他にもいろいろと要素はあるだろうが、分かりやすいので、ドラムのパートに絞って、流れを自分なりに言語化してみた。
 基本となるフレーズは、あまりにもと言っていいほど、単調である。四つ打ちに近い、頭にアクセントのあるリズム。伴うメロディーも、何となく気抜けするような、だが捉えどころのないものだ。それが、だんだん乱れてくる。乱れて、バランスを失してきた……と思った瞬間に、目が覚めるように、冒頭のフレーズに戻る。単調な四つ打ち。これが不規則に来るので、いわゆるジャズの定番の流れを期待して聞いている人は、あたかもカフカの短篇でも読んでいるように、期待をどんどん外されるような心地になるのではないだろうか。
 今まで、「オン・ザ・コーナー」と、いくつかの同時期のアルバムしか聞いておらず、それも教条的というか、ぜんぜん批判的ではなく、構造を理解することもなく聞いてきたので、もう少し聞き込む必要を感じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?