【日記】ラーメン
ちょっと遠出をして、その地域で有名なラーメン屋に入った。
いわゆる家系で、スープは豚骨醤油、麺は太めの縮れ麺、具はシンプルにほうれん草と海苔とメンマとチャーシューと味玉。基本構造はこれだ。
家系は、その他ルールでもあるかのように、細かいことも共通している。壺に刻みニンニクと辛味噌が入っている。ライスが無料でつけられ、場所によってはおかわり自由。
そのような基本のレールがありつつ、店によって他では見ない工夫をしている所もある。その店では、トッピングに岩のりがあり、僕はラーメンについている海苔が異様に好きなので、入れてみた。岩のりは山盛りで来て、溶かすとぜんぶ沈んだ。
店主は関西の人なのか、タイガースの応援ユニホームが飾ってあった。しかし今の時期だといつどこを回してもオリンピック競技しかやっていない。その時はテニスかなんかがテレビで流れていた。店主は、お客が見るのとは別のテレビで、何か見ていた。よく見たわけではないので、お客用のテレビと同じものを見ていたのか違うものを見ていたのか、わからなかった。
麺を茹でる釜は、茹でる麺がなくても常に沸騰させていた。蒸発する分の水が、蛇口をひねるかひねらないかくらいの、水滴の状態で、ポタポタとずっと補充されていた。
途中で、僕がほとんど食べ終わったくらいの所で、奥さんと思しき人が帰ってきた。店主は、なんのことだかわからないが、「あそこで買っちゃだめだよ」みたいな意味のことを言っていた。はっきりと喋るタイプの人ではなかった。
スープをほとんど飲み干して、席を立った。
扉はかつて自動ドアだったらしいが、今は機能していなかった。片方の引き戸を開けると、ちょうど同じだけもう片方の扉が動いた。どういう仕組みになっているのか、見ただけではわからなかった。
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