【読書録】フロイト全集14 2 フロイト節

 フロイトの書いているものを、内容を理解し、感じる為に飲み込まなければいけない、フロイト節のようなものがある。
 一つは、無駄にではないだろうが、回りくどいこと。いや、半ばは無駄なんじゃないかと思う。「私はもしかしたら読者の疑念を招いてしまうかもしれない、それは……」という感じの、エクスキューズが多く、厳密でありすぎることに読んでいると疲れを覚えてくる。
 もう一つは、多く感じるところかもしれないが、話の収束するところが、シモのことになることだ。いや、シモがそれほど多いわけではないけれども、幼少期というものに全て収斂させる感じとか、とにかく過剰に還元しすぎていて、どこか多様性を考慮してほしいと叫びたくなる所がある。似た所で、当時の価値観の古さというのも、若干だけれども障壁となる場合がある。
 最後には、最初の点と被るかもしれないが、読んでいて、そのように浮かんでくる反論に対して、既に反論してくる、そして、それを信じられないのは精神分析を知らないからだ、という、強く向こう側に引き込むような論理がある。

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