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「True Colors SPECIAL LIVE 2024」でも大活躍の網膜投影!ロービジョンの学生が撮れる!見れる!楽しめる!

2024年3月7日、NHKホールのステージには、様々の特性のあるアーティストが、そして観客席には、様々な特性のある観客が集い、ダイバーシティ(多様性)の“いま”を感じる一夜かぎりのステージが開催されました。一般社団法人日本財団DIVERSITY IN THE ARTSさんが主催となり開催された、スペシャルライブ「True Colors SPECIAL LIVE 2024」です。

「超」ダイバーシティ芸術祭です。「超」なのです。

車いすに乗るジャズマンも、全盲のギタリストも、自閉スペクトラム症のあるピアニストも、聴覚障害のあるダンサーも、そして今を時めくアーティストも、お互いに異なった特性を尊重し、協力し合いながら、それぞれの特性を活かしたパフォーマンスでステージを盛り上げました。
そしてそのパフォーマンスを観る観客席には、推しの色のペンライトを持ち、黄色い声援を挙げる学生から、車いす席で歓声を挙げる車いすユーザー、手話通訳の手話や、ステージ上のモニターにリアルタイムで映し出される文字情報を受け取りパフォーマンスを楽しむ聴覚障害者、そして「網膜投影機器RETISSA ON HAND(レティッサオンハンド)」を使い、パフォーマンスを「見て楽しむ」ことができる小中高大学生を中心とした弱視者まで、障害特性関係なく、ステージ上のパフォーマンスを楽しんでいました。まさにダイバーシティ(多様性)の"いま"を体現するベントです。

このスペシャルライブ「True Colors SPECIAL LIVE 2024」を企画する日本財団DIVERSITY IN THE ARTSさんより、昨年あるご相談をいただきました。
それは、
①弱視の学生にも、このスペシャルライブを自分の目で見て楽しんでもらうことは可能でしょうか。
②スペシャルライブに向けたダンスパフォーマンスに弱視の学生も何らかの形で関わってもらうことは可能でしょうか。
というご相談でした。
聴覚に障害のある方に対して、手話や文字での情報保障を準備し、ライブを楽しんでもらう工夫が着々と進んでいく中で、見えづらさのあるが学生にも、何か見て楽しんでもらいやすくなる工夫を用意したい、聴覚障害や発達障害、車いすユーザーの学生が、健常者のダンス部の学生と一緒にダンスを作り上げていく中に、見えづらさのある学生も加わってもらいたい、という、日本財団DIVERSITY IN THE ARTSさんの想いのあるご相談でした。今までに動物園や水族館、美術館やオーケストラコンサートで見えづらさのある弱視者が、網膜投影視覚支援機器「RETISSA(レティッサ)」で「自分の目で見て楽しむ」という新しい価値を発信してきたことが実を結び、「網膜投影がライブイベントで活用できないか」ご相談をいただいたのです。

我々QDレーザは、観客席に「レティッサシートをご用意いただきたい」こと、「ダンスの練習会に見えづらさのある学生も参加させていただき、ダンスの合同練習を網膜投影カメラキットで撮影、発信をさせていただきたい」と提案させていただき、今回の「True Colors SPECIAL LIVE 2024」は、今までとは違う方法で弱視者も「見て楽しむ」ことができる企画へと発展することができたのです。
レティッサシート10席をご用意いただき、学生を中心とした弱視者をライブイベントに招待し、手持ち型の網膜投影視覚支援機器「RETISSA ONHAND(レティッサオンハンド)」を使ってライブを見て楽しむこと。そして、ダンス練習会には、盲学校に通う弱視の中学3年生と高校2年生にご参加いただき、網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」(RETISSA NEOVIEWER:レティッサネオビューワ)を利用し、同年代の学生が躍る様子を自分の目で写真を撮り、発信する楽しさを感じてもらうこと、という2つが実現できたのです。

網膜投影カメラキットを使って生まれるコミュニケーション

都内某所、ライブパフォーマンス本番の1週間前のリハーサルに、中学3年生と高校2年生の学生が、網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」を片手に参加をしてくれました。

同年代の学生が、ひとつのダンスを完成するために、特性を超え懸命にダンスをしている姿を前に、心が動き、熱心にシャッターを切ります。二人ともはじめは棒立ちで撮影をしていたのに、しばらくすると、ミラー越しに映るダンサーを撮ったり、地面にかがんで角度を変えながら写真を撮ったり、ダンサーとコミュニケーションを取りながら撮影をしたり、二人ともダンスを作り上げていく過程に自分もその一員として加わる楽しさを感じていたようです。

初めは少し緊張して座って撮影をするだけの二人も
いい写真が撮りたいと工夫を始めました!自分の目でちゃんと見えているからこそですね。

網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」は、網膜投影技術により見えづらいものが見えるというだけの製品ではなく、「自分の目で見て撮影する、そして発信をする楽しさを拡大する」こと、そして「カメラを通し、コミュニケーションやつながりが増える」ことにつながって欲しいという想いを持っています。今回参加してくれた二人の学生は、まさに網膜投影カメラによって、自分の目で見て撮影をする楽しさ、そして撮影や写真の発信により、つながりが増える喜びを感じてもらえたと思います。

同年代の学生ダンサーに心が動かされたようです

ライブも見れたほうが、絶対楽しい!

今まで動物園や水族館、美術館やコンサートなどで実証実験的なイベントを実施してきた手持ち型の網膜投影支援機器レティッサオンハンドですが、やはりライブでも、適応性のある当事者にとっての効果は抜群です。
今までタブレットやスマートフォンで、「撮影」「指で拡大」「目に近づけて」「拡大画像を何とか見る」という方法が、中長距離を見る時の主な方法でしたが、ライブ会場内でステージに向け写真撮影ができない、撮影ができても静止画を拡大し見ることしかできない(リアルタイムで動きを楽しみづらい)、という難しさがありました。
しかしレティッサオンハンドにより、ステージ上で歌い、演奏をするアーティストを、目で見て楽しむことができるのです!

ステージのアイドルグループを見て推しが決まったと話す小学生
中学生も、高校生もいつもよりもはっきり見えるステージにくぎ付けです

ご参加いただきました学生の親御さんから、こんなメッセージをライブ後にメールいただきました。
「息子はレティッサのおかげで、出演者の顔はもちろん、新しい学校のリーダーズの法被の衣装を脱いだこと、などなど、今まででは見えずらかったことが色々と見え、本当に楽しい時間を過ごせたようです。今後更にレティッサの認知度が広がり、視覚障害者が様々なところでたのしめる事が増えたら嬉しいです。」
「昨日はありがとうございました。ステージもとても楽しかったのはもちろんの事、いつも見えない部分も見る事ができたようで、とても喜んでおりました。こんな機会を作って下さり本当にありがとうございました!」
このような声をいただけることは、本当に嬉しいことですし、今後より一層網膜投影を社会に普及していく原動力になります!

「イベントで使える」から「いつでも見て楽しめる」に向けて

今回、日本財団DIVERSITY IN THE ARTSさんとQDレーザとの協力で用意出来たレティッサシートをご活用いただいた方々は、弱視の学生などを含めて10名でした。そして、今回のようなライブイベントが終わってしまえば、次のライブは見えづらさのある方にとっては少し参加しづらいライブになってしまうかもしれません。もし、このようなホールに常設でレティッサオンハンドがあり、貸し出し備品として運用されれば、今後開催されるライブやイベントもレティッサオンハンドを使って見えづらさのある方が目で見て楽しむことができるようになります。
我々の目標は、限られたイベント、障害や多様性を切り口にしたイベントでの一時的な網膜投影の活躍ではなく、網膜投影を利用し、「見えづらさのある人もない人も同じ空間で、同じコンテンツを、同じように見て楽しむことがいつでもできる」という社会を創っていくことです。
今回の「True Colors SPECIAL LIVE 2024」で自分とは特性が違ったとしても、技術や思いやりにより、つながることができる(つながると楽しい)という事が実現できることを、また感じることができました。

日本財団DIVERSITY IN THE ARTSさん、ご出演のアーティストの皆様、そしてご参加いただいた学生とご家族の皆様、素晴らしいイベントに関わらせていただきありがとうございました!