指輪と鉱物
今日は指輪の歴史について。
というのも、先日ひょんなことから指輪をいただける機会に恵まれた。
アイオライトという鉱物で、『多色性』なのが特徴。光が当たる角度によって色が変化し、まるで別の宝石のような表情を見せてくれるのでとても面白い。
これまで私はジュエリーを身につけることへの憧れはありつつも、金属アレルギーのせいで積極的にはなれずにいたのだが、
この度をきっかけにメンズジュエリーの世界にも少し興味がでてきている。
興味の方向性としては、ファッションとしてどう使いこなすか?というよりも、人はどのように鉱物と関わってきたのか?という歴史を知りたいと思ったのだ。
そう思うとすぐに学べる環境にあるのが東京のすごい所なのだが、偶然にも六本木でメンズジュエリーのコレクション展をやっていた。
『メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション』では、パリのアンティーク・ディーラーとして名高いイヴ・ガストゥ(Yves Gastou)氏が、30年以上かけて集めたとんでもないコレクションの中から、厳選した400点を展示しているそう。
・古代エジプトのリング
・17世紀ヴェネツィア共和国の元首がはめていたリング
・18世紀のエナメルリング
・1970年代のアメリカのバイカーリング
・19世紀の"メメント・モリ"スカルリングetc...
まさに私が知りたがっていた、人と鉱物との関わりの歴史について学ばせてくれる場所だった。
なんと指輪の歴史は古代エジプト(3000年以上前)から始まっているといわれているそうだが、
やっぱり西洋絵画の潮流と似ている点がいくつかあるなと思った。例えば、
①昔は王族、貴族の権威の象徴として、また宗教的な結びつきとして使われている点
②技術革新による大衆文化への浸透
・15世紀 ポイントカット誕生 彫金、エナメル
・17世紀 ローズカット誕生 指輪
・19世紀 アーツ&クラフツ、アール・ヌーヴォー、アール・デコ
③ニューヨーク宝飾品メーカーの台頭 資本主義へ
とかとか…時代の流れとともに石の価値は変化しつつも、やはり"神秘を纏う"という感覚は共通していて、それが人を魅了し続けてきたのだろう。
ロード・オブ・ザ・リングじゃないが、この果てしなく続いてきた物語を思うと、もはや指輪はこれからも普遍的な美なのだろう。
そして指輪に限らず鉱物と人の歴史は、さらにメソポタミア文明(5000年前)まで遡るが、
なんと一説では最も古い宝石文化は、日本の翡翠(7000年前)なのだとか。
縄文時代、翡翠を霊力の宿る石として、儀式の道具として、また宝飾品として愛用していたとされる。
これだけ文明が発展し、様々な不思議が科学的によって解明された今でも、人は目に見えない力を信じずにはいられない。
鉱物に出会い、その神秘を纏うことで、
この地球の歴史と自分のアイデンティティがどこかで繋がり、ちょっとだけ勇気をもらえるような感覚が私には心地よいのかもしれない。
ということで、メンズリングから少し脱線してしまったが、鉱物の紡ぐ物語にまた出会えることを願って、金属アレルギーが出ない範囲で楽しみたいと思う。
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