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0121「NY子育て日報・9日目」

引き続き、いろいろ大変な感じではあるのだが、今日改めて、日報を書いておくと家庭内情報共有的に良いことに気づいたので、ちゃんと書く。家庭内利用用途ならなんでわざわざ公開するのか、と言ったら、まあ、こういう自分にとって新鮮かつハードコアな体験は読んで面白い部分もあるんじゃないかなーというのと、承認欲求もある。「どうせ書くのなら、公開して承認欲求を満たすのに利用しよう」みたいな感じだ。実際、なかなかにハードな日々ではあるが、ふんわり反応を頂いたりすることで、今日も頑張ろうとかは普通に思うので、ここにこんなことを書くことの薬効はあるのだとは思う。

昨夜は、Abemaの相撲中継をロシア人か誰かが勝手にYouTubeに横流ししているやつを見ながら、次男の断続的な嘔吐をケアしているうちに、リビングのフローリングで寝落ちしたらしい。

朝は長女に起こされた。「びしょびしょだよ! びしょびしょだよ!」と言って起こされた。そして私はびしょびしょだった。履いているパンツがびしょびしょだった。まさか自分はおねしょしてしまったのだろうかとも思った。しかし、私は社会人になってからも数回寝ている間に尿を漏らしたことがあるが、そういった時は必ず、トイレに間に合わない夢であるとか、水害に遭う夢だとか、尿漏れを暗示する夢を見た末に、下半身に熱いものを感じて、「あ、漏らしちまった!」と思って起きる、というユーザー・エクスペリエンスで尿を漏らしてきたので、今朝は全く身に覚えがなく、結論から言うとたぶんこれはおしっこではなく何らかの別の液体なんだろう。横に置いてあったコップをこぼした。とか。

朝、次男はさっそく吐いた。調子はそこまで悪そうではないが、吐き気がなかなか収まらない。学校は休ませることにした。ジュリア先生にメールを打つ。長女も幼稚園があるが、次男を家に置いていくことはできないので必然的に次男も幼稚園に連れて行くことになる。この状態の次男にそれを強いるのは酷なので、長女も休ませることにした。連絡して、安心したので、少しだけ仮眠を取る。次男は吐いてはいるものの元気はあるようで、長女とチャンネル争いをしているのが聞こえる。ちょっとして仮眠から起きたら、壁にスライスチーズが貼ってあった。食べ物で遊ぶのはとても良くないが、怒る気力もない。長女は「ダンゴムシをつくる!」とか言ってなぜかトイレットペーパーをたくさん引っ張り出している。無法地帯だ。長男は勝手に学校に行った。

ニューヨークに住んでいて、この日報を読んで気にして頂いている友人が、次男にちゃんと水分補給させて! ということで、経口補水液を注文して送ってくれた。お言葉に甘えてしまったが、声をかけてくれるだけでありがたいとしか言いようがなくて、彼女が住んでいるブルックリンの方向に手を合わせた。

朝食を食わないと、と思ったが、状況が状況なのでここはデリバリーにさせてもらった。コーヒーも自分で淹れずに外注した。うまかった。

にわかに復活し、昼過ぎまでの時間で、溜まっている仕事をわーーっとやる。次男もそこまで調子が悪そうではないので、ここぞとばかりに集中していろいろ進める。

仕事が一段落ついたら、払ったのにまだ請求が来ている追徴課税について確認するために、アメリカの国税局みたいなところに電話。「あ、払ってるわね! ごめんね!」なんて言われて解決。さらに昨日精神がやられている時間帯に飛んできた家主からの家賃$200上げメールに、「これこれこういう問題があるから増額は$100にして」という交渉をしたり、この隙にできることをやる。

しかし、次男の吐き気は止まらない。東京の妻と相談して、やはりこれは長引いているので病院に連れて行くことにした。

掛かりつけの病院に電話すると、幸いにも午後の予約がすぐに取れた。

出かける前に、東京の妻がオンラインで注文してくれた、FreshDirectの生鮮食品デリバリーが来た。この日報をつけておいてとても良かったこととして、ここでなんとなく食っているものを報告しているお陰で、妻が冷蔵庫の状況をだいたいイメージしてくれていて(牛乳がもうすぐ切れる、とか)、足りないものを注文してくれていた。おいそれと買い物に行ける状態ではなかったので助かった。会社を経営していてもそんなのばっかりだが、人には頼らなくてはいけないというか、生きるということは人に頼る、ということだと思う。

ダブルストローラー(2連式のベビーカー)を引っ張り出し、長男が先に帰ってきた場合を考えて書き置きをし、出る直前に5分で風呂に入って病院に向かった。ベビーカーは重かったが、今日はカレー鍋にしようと思って、帰りにTrader Joe’sでネギを買おう、なんて思う程度には余裕があった。

病院についた。次男と長女をベビーカーからおろして、受付や、前の診療の未払い分の支払いをしていると、次男が何か騒いでいる。なんだ? と思って振り返ると、そこには吐瀉物が広がっていた。

次男に「ん?! 吐いた?」と聞くと、首を振る。吐瀉物は、長女の前に広がっていて、長女の服が汚れている。長女が吐いた。

そりゃそうで、一昨日の日曜日、次男も長女も同時に下痢になっていた。その頃からそういう予感はあったが、長女に伝染った・・・

そんな折、受付にいた子連れの女性に日本語で話しかけられた。

「あの・・・。清水さんですか?」

いかにも清水なので、はい、と答えると、その方は昔仕事でお世話になったニューヨーク在住の映像会社をやっている方の奥様だった。

「ブログ読んでます。いま、大変ですよね?」

と言われて、思わず、「や、やめてください・・・!」と逃げてしまったが、前述のように好きで公開しているので仕方ない。ニューヨーク在住の日本人は38,000人くらい。日本人社会だけで言ったら結構すごい村社会だ。前、ニューヨーク在住の日本人向けフリーペーパーの取材を受けて紙面に出たら、どこの日本人がいる場所に行ってもその話をされるくらいに、社会が狭い。こんなタイトルで日報なんて書いていたら、村バレすることもあるのかもしれない。話しかけて頂いてありがたかったが、タイミングがあまりにも風雲急を告げる感じだった。

紙をもらって、長女の吐瀉物を拭く。長女が「気持ち悪い〜〜〜〜」となって、トイレに連れて行く。吐く。どんどん吐く。

診察室に呼ばれる。「次男が吐いているので連れてきたのですが実はさっきそこで長女も吐きまして・・・」と伝えると、長女のぶんの診察手続きをしなくてはならなくなる。その間に長女また吐く。次男は吐かない。長女はどんどん吐く。

2人一緒に診察を受けた。診断結果はウィルス性胃炎。とりあえず伝染性があるので、飲ませるべきもの、食わせるべきもの。レクチャーを受けて、「脱水したりしたら救急病院行ってね!」という、なんかいつものアメリカの病院の対応をされて終わった。結論、様子を見てがんばる。だ。あまりにひどい場合の吐き気止めを処方されたが、いつも行く調剤薬局に行ったら、データが行っていなかった。アメリカあるあるなので、明日病院に電話することにする。今日はとりあえず様子を見る。

移動中にも長女は吐く。ネギを買う予定だったが無理だ。スーパーで吐いたら手に負えない。ネギは諦めよう。カレー鍋も諦めよう。

とにかく、何もかもが予定通りに行かない。ネギを買おう、と予定を立てた瞬間に、ネギは買えないと思っておいたほうが良い程度に状況がどんどん変わる。私はアスペルガー症候群である関係で、予定通りにことが進まない状況にちょっと弱い。そんな私が魅せられた、「予定通りに行かないもの」が、ジャズだ。ジャズは、どんどん予定しない方向に音楽が変わっていって、それに対応していくような何かだ。

そうか。子育てはジャズなのか。と思った瞬間に、ふっと楽になった。ジャズなんだから、文句を言っても仕方がない。なるようになるしかない。

長女は吐く。水を飲んでは吐く。大事にしていたプリキュアの冊子の上にも吐いてしまったので、水洗いしてヒーターで乾かす。少年の頃、空き地とかに落ちていたエロ本のように、カピカピになる。

次男は良くなっているっぽく、病院から戻ってからは吐いていない。

夕食。長男には、適当にマックアンドチーズを調理して食うようにお願いし、次男は、医者からおかゆみたいなものを食わせるように指示されたので、炊飯器でおかゆをつくった。

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長女はそこかしこに吐く。吐いては寝る。私は、東京の会社と仕事のミーティングをしながら、吐いた場所を拭き、消毒する。

たまに長女は意識をはっきりさせて、水を飲む。

妻とはずっとLINEで連絡している。妻によると、長女のほうが丈夫らしいが、吐き方は雑で、次男の方が身体は弱いが、洗面器にちゃんと吐くらしい。そんなこと知らなかった。そのくらい子供たちに関する解像度も違うのだな、と思った。解像度が高い妻も、あと3日で戻ってくる。

打ち合わせが終わって、仕事の作業を終えて、部屋の掃除をしていて、拾った紙くずに、手書きのフリーメイソンのマークが書いてあった。子育てはジャズだ。

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