見出し画像

ソロデビューミニアルバム「Prime」

ソロデビューミニアルバム「Prime」をリリースしました。正確には、9月の中旬くらいにしていました。していたんですけど、stateの公開とか、ずっと海外を飛び回っていて忙しいとかが重なってあんまり公に言えないでいました。

などと言うと、突然何を言い出すんだと思われるかとは思いますが、まず、なんで「ソロデビュー」なのかというと、メジャーレーベルからデビューはしていないものの、もともと私はトロンボーン吹きであり、バンドの一員としてレコーディングしたものがCDになったりとかは既にしています。それが「デビュー」と呼べるものなのかはよくわかりませんが、何がしか音源を世に出したことはあるので、そういうことにします。

今回はバンドとかそういう形態ではなく、概ね一人でつくった音楽をミニアルバムというか3曲にまとめて、Apple MusicやらSpotifyやらAmazon Musicやらの各ストリーミングサービスや購入サービスで聴けるようにしました。曲がりなりにも、いつも自分が音楽を聴かせていただいている場所に音源を並べさせて頂いたというところで、「ソロデビューミニアルバム」ということにしています。

その他

音楽の内容としては、基本的にいわゆる「打ち込み」という方法でつくった音楽で、昔の言葉になるかもしれませんけど「DTM(デスクトップミュージック)」という類のものです。が、部分的にピアノ弾いたり鍵盤ハーモニカ吹いたりしています。で、音楽のジャンルとしては、よくわかりません。普段演奏しているのはジャズではあるのでジャズみたいなものな気もするけど、当然、演奏表現的なものではないので、巷でジャズと言われて想起されるような音楽とは全然違うんだと思います。エレクトロニカ?みたいなことなのかもしれないですが、エレクトロニカという音楽をあんまり真面目に聴いたことがないのでどうなのかよくわかりません。

なんでこんなことになってしまったのかというと、話は去年の冬くらいまで遡るんですが、ジャズピアノの師匠の西山先生に、3月の発表会でオリジナルの新曲やりなよ、と言って頂いたのがきっかけでした。

この発表会はジャズピアノの発表会なので、当然ながらジャズピアノを演奏します。ここに向けて私は必死こいて曲をつくり、どうにかこうにか演奏しました。こちらの映像の一曲目、「Neptune’s Ring」という曲です。日本語で言うと「海王星の輪」です(3:34くらいから)。

「まずはブルースつくってみましょう」が先生に頂いたお題だったんですけど、せっかくならあんまりブルースブルースしたものではなくて、熱量が低くて遠くで鳴ってる感じを狙いたくて、「寒々しい海王星の地表にある場末のバーから海王星の輪を眺めている」というイメージで曲をつくっていきました。

拙い演奏ですし、歌詞があるものではないので、まあ、そういうイメージでつくりました、っていうそれだけなんですけど、とにかくつくりました。

曲をつくる中で、先生からいろいろとアドバイスを頂きました。その中でも「あーなるほど」と感じ入ったのが、「良い曲名思いついたらメモっとけ」というアドバイスでした。確かに、今後曲をつくっていく上で、先にイメージを言語化してストックしておいて、折に触れてどんな曲にすると良いかを妄想していれば、ユニークなものができていきそうな気がする。

そんなわけで、日々、何か良さげな曲名らしきものや概念に遭遇するたびにメモっていました。

毎日のようにメモっているうちに、気づきました。「こんなたくさんの曲名、一生かけても消費しきれない」ということです。なにせ、上記のNeptune’s Ringは、仕込むのに3、4ヶ月かかっています。

この曲はピアノ演奏が前提の曲なので、当然練習もしないといけないわけで、そのくらいかけてやっとです。

こんなことしていたら一年に3曲くらいしかつくれないし、自作曲の他にも練習しないといけない曲はある。しかしそれでは、日々溜まりまくっている曲名を消費することができない。それはまずい。曲名がある限り、ちゃんとアウトプットにしたい。

そんなわけで、「効率的に曲名を消費する方法」としてたどり着いたのが、DAW(Digital Audio Workstation=作曲ソフト)で打ち込みの曲を作曲する、というアプローチでした。仕事でLogic Pro X(Appleが出しているDAW)はたまに使っていたのだけど、まともな作曲に使ったことはなかったので、使い方を勉強したかったのもあります。

とはいえ、そう思ってすぐに始めたわけではなくって、きっかけはありました。

このnoteに書いている雑文をお読み頂いている方はご存知かもしれませんが、今年の頭から春先にかけて、二級ボイラー技士になるための勉強をずっとしていました。そのへんの経緯はこちらをお読みください。

で、6月に、二級ボイラー技士になってしまったため、毎日10分やっていたボイラーの勉強をやる必要もなくなり(一級目指す気には今のところなっていません)、生活にポッカリ、10分間ぶんの穴が空いたような状態になってしまったのです。ボイラーが完了したことで、生活に「空きスロット」ができてしまったというか。

じゃあ何で埋めよう、というときに、「作曲しよう!」ということになりました。なんせ、前述のボイラーが自分にとって全く意味がないことだったので(今となってはボイラー好きですけど)、今度はちゃんと意味のある、残ることをやろう、と思いました。作曲は、趣味で音楽を演奏している身からしてもマイナスにはならないし、ソフトの使い方なんかは仕事にも役立つので、意味があるし、何より曲名が消費できる。

もちろん、電子音楽の打ち込みも、本来はじっくり時間をかけて練っていくものなので、1日10分程度の努力では大したものにならない気はしつつ、これがピアノなりトロンボーンなりで練習してレコーディングするものだと、すごく長い時間がかかってしまうもので、それよりはアウトプットの速度は速いだろう、と考えました。

一方、私の場合、全く聴かないわけではないのですが、普段聞いている音楽は、生楽器を使用した音楽が多いので、「打ち込みでなんかつくる」という場合、普段やっている音楽とは考え方を変える必要はありました。(アナログ)楽器というのは、1つ音を出すにしてもものすごい多くの情報量を持っているものなのだと思うので、それに対して情報がある程度均一化する電子音楽においては、「必然性のある均一化と情報の引き算」が必要になります。アマチュアが何を偉そうに言ってるんだという話ですけど。

なので、普段聴いているような生音ベースの音楽を電子的にコピーするんじゃなくて、自分なりにDAWという道具に向き合って曲をつくるんだ、みたいなことを生意気に考えていました。

そんなこんなで、最初につくった練習曲を含めて、1ヶ月に一曲くらいのペースでつくって、3曲になったので、恐れ多くもソロデビューミニアルバムとか言って配信を始めてみたというわけです。あまり人様にお聴かせできるようなものかはわからないのですが、自分なりに1つ1つ、楽しいアウトプットにはなりましたので、簡単ですが、なんちゃって曲紹介的なものを書いてみます。

アルバムタイトルとジャケット

アルバムタイトルは、配信する数日前に決めたもので「Prime」というのは「素数」という意味です。上記の通り、最初につくったものなので、最小単位というか、そういう意味です。
アルバムジャケットは、が以前描いていた、超こわいんだけどめっちゃ気になる落書きをもらって5分くらいでつくりました。

Slytherin

ハリー・ポッターに出てくる「スリザリン」です。悪役が組分けされがちな寮の名前です。スリザリンは、ハリー・ポッターの勧善懲悪の構造の中ではヒール的に描かれがちで、一方で、ずっとグリフィンドール(主人公の寮)的なメインストリームに交われないつらみを抱えつつも狡猾に社会適応している感じ(器用に顧客満足度を最大化しちゃったりする感じ)が共感するものがあって、そういう社会生活の中で流れていそうな摩擦の中を走るような曲をつくりました。

September Rain

私は夏が嫌いです。暑いのも湿度が高いのも、サザンオールスターズ的な世界観も、生きづらさや面倒くささを感じます。実際これをつくっていたのが7月とかなので暑かったわけですが、9月の雨は、そういう、私にとっては生きづらくて面倒くさい夏をクールダウンしてくれるものだと思っていて、そんな9月の雨の匂いだったりとか生暖かさとかを楽曲にしてみました。
が、今年などはもう10月になっても暑いし、ここでイメージしたような初秋の雨は地球温暖化で永遠に失われてしまったのかもしれない、などとも思います。この曲は、鍵盤ハーモニカとピアノで、部分的に生音が入っています。

Bolivia

ジャズのスタンダードのカバーです。一番最初に、DAWソフトの使い方を覚えるために課題曲としてつくってみました。とりあえず自分が狙った、聴いてみたいタイプの音楽をつくる=DAWを道具としてちゃんと使う、ということを目指して作業したんですが、最初に設定したのが、好きなジャズスタンダード曲である「Bolivia」とローファイヒップホップと「ウ''ィ''エ''」を足して3で割った感じ、という目標でした。わりとウ''ィ''エ''寄りになった気がします。

というわけで、また楽曲がたまったらリリースしていこうと思いますので、物好きな方は聴いてやってください。Spotifyとかもぜひフォローして下さいませ。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!