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0120「NY子育て日報・8日目」

本来、日報なんか書いている場合じゃないというのは確実にあるのだが、いったん落ち着いているので書いておく。

疲労困憊な1日が終わり、昨日の日報を書いて、さあ酒でも飲みながら相撲中継を見て寝るかと思って、子供が寝ている部屋に見回りに行ったら、そこには吐瀉物の臭いと、吐瀉物の塊が2つ。次男の咳の音が聞こえていた。次男が吐いたのだろう。

昨日書いたように、日中下痢をしていたからちょっと嫌な予感がしていた。ノロウィルスとかそういう何かの可能性がある。とりあえず、吐瀉物を拭ってシーツを引っ剥がして風呂場に持っていってお湯に浸す。

洗面桶を持ってきて次男のそばに置く。そしてそして・・・どうするのか。

完全にテンパりつつも、妻にLINEして、対処を聞く。妻は、頼りになる妻であるばかりでなく、元々看護師なのでこういうときとても冷静だ。

とりあえず朝まで、掃除できるものは掃除して様子を見ることになった。

次男は、眠りながら、1時間位ごとに吐き続けている。熱はない。一緒に下痢をしていた長女は幸いまだ何ともなさそうだ。

ほぼ一睡もできずに、朝になった。

妻は、赤ちゃん用の水に溶かすポカリスエットをこういうときのために用意していたらしく、その場所を聞いて次男に飲ませる。

幸いなことに、というべきかアメリカは今日は祝日だった。マーティンルーサーキング・デーだ。学校が休校なのは知っていたが、祝日だという認識をしていなかった。東京の会社や関係各位に、今日はあまり作業ができないことを伝える。

次男は腹痛を訴えていて、訴えながらも、ダブルストローラーで病院に行くからダブルストローラーを出してくれ、と言う。つまり2人乗りベビーカーのことだ。しかしかかりつけの病院はまだ開いていない。ダブルストローラーは押し入れから引っ張り出したが、たたまれた状態で開き方がわからない。東京の妻から開き方の動画が送られてくる。テンパっているので混乱しつつもどうにか開く。

病院が開くのを待つ間、テレビにYouTubeをAirPlayして、次男に新幹線の映像を見せておく。

すると、結構元気になって、腹痛がなくなったと言って、ポカリスエットも飲んでいたので、様子を見ることにする。

眠い。眠すぎるので、次男に動画を見せながら、横で寝ることにする。何かあったら長男に起こしてもらえるようお願いした。
寝ている間、長女が、私の鼻の周辺にあるほくろを「なにこれー笑」と言っていじってくる。

お昼になって、みんな何も食べれていないので、ここは自炊は諦めて外注することにした。ここで自作するのは相当無理があるので金で解決する。長男がおいしいというハワイアンレストランでロコモコとか肉っぽいものを、アメリカの定番宅配サービスであるseamlessで頼む。

次男にもそのまま肉を食わせた。そしてそれを報告したら妻に「肉はダメ!」と言われた。確かに、うどんやお粥などを食わせるべきだったが、そんなことに気が回らない状態だった。

次男はたまに吐いていたが、朦朧としていると言うよりはそこそこ元気な感じではあった。

ので、午後は、いろいろやるべきことをやることにした。プログラミングの仕事はさすがにできないが、事務っぽいのはできる。

同時に、年末に支払った追徴課税がまだ支払われていないという通知が来ていた問題を解決しようと思って役所に電話をかけたが、休日なので閉まっていた。

一通りやるべきことをやったところで、「よし、家事をやろう」と思った。

昨日の日報を読んで頂ければわかって頂けるかと思うが、そもそもそれなりにみんな疲れてきており、昨日は掃除も洗濯もしなかった上に、家中で次男が吐いていた上に日中は結構子供たちが遊んでいたので、生活環境が極めてひどい状態に陥っていた。

家族に流れる空気は淀んでいく。大変なときだが、こういうときこそ、掃除と洗濯と洗い物をして、環境を整えることでその波に抗うしかない。

どんどん片付ける。昨日のキリンさんごっこのブロックの残骸や転がったライトセーバーのおもちゃ。朝引っ張り出したダブルストローラーは、今度はたたみ方がわからない。なんで世のベビーカーって、こんなにたたみ方が立体的で難しいのか。映像を見ても全然わからず、思い切り金具で指を挟む。涙が出る。

仮面ライダーのベルトの部品やプリキュアの小物を片付ける拍子に、それらから効果音やセリフがけたたましく鳴る。そういう効果音に思わず「うるせえ!」と悪態をついてしまう。

少しでも落ち着こうと思って、ワイヤレスイヤホンを片耳に入れて(両耳に入れると子供の声が聞こえないので、両耳で何か聴くなどという贅沢は不可能だ)、YouTubeに上がっている「マグ万平ののちほどサウナで」の年明け放送分を聴く。サウナでゆっくりするなんて、夢のような話だが、この番組は記憶の中の日本のサウナを呼び起こしてくれるので、少し穏やかな気分になる。

が、使っているソニーのノイズキャンセリングイヤホン(WF-1000XM3)は、ノイズキャンセリング性能は良いのに、Bluetoothがすごく不安定で、ちょこちょこ音声が切れる。途中で諦めて、聴くのをやめる。やはりiPhoneには純正のAirPod Proが良いのだろう。お金を貯めていつか買おう。

リビングを片付け終わって、寝室を片付けて、吐瀉物で汚れたシーツをこすり洗いして、洗濯機に入れる。

そして、リビングに戻ると、子供たち3人が、片付けたライトセーバーをまた引っ張り出して、散らかし始めていた。

頭の中で何かが切れる音がして、「ふざけんな! お前ら何にも手伝わないでどういうつもりだこの野郎! ふざけんなーーーーーっ!!」と大きな声で怒鳴った。その拍子に手がキッチンのペン立てに触れて、ペン立てが倒れて色鉛筆が散乱する。横にあったゴミ箱を思いっきり蹴ってしまった。溜まっていたものが爆発した。

長男はごめんごめんと謝る。次男は、いつものように怒られると拗ねる。長女は号泣し始める。

子供たちを怒鳴ったことなんかあんまりなかったが(長男に限っていえば何回かあるが)、ついにやってしまった。

深呼吸して、なぜ私がこんなに怒りを覚えているのかを伝えて、怒鳴ったことを謝った。親というのは、こういうときに自己嫌悪に陥るもので、私も何度も経験があるが、自己嫌悪が自己嫌悪を上書きして、どんどん嫌になっていくのに、現実はどんどん進行していくのも子育てなのだろう。これは、ずっと出口のない状態でやっていると、本当に追い詰められるし、子供たちにとっても良いことなどない。自分なんかはまだ8日目なのにこの体たらくで、ポンコツ加減に嫌気がさす。至らないとしか言いようがない。

そして、現実は斜め上から攻撃してくる。落ち込んで洗い物をしていると、メールが着信。いまの部屋の大家からで、「3月から家賃が$200上がります」という連絡。$200。約¥22,000だ。ニューヨークはあまりに生活コストが高い街でそもそも家賃が体感で東京の2.5倍くらいはする街だが、それにしたってきつい。それを今言うか・・・。見なかったことにして交渉は明日にする。

8時から東京と打ち合わせなので、それまでに家事を終わらせて夕食をつくらなくてはいけない。

というタイミングで次男がまた盛大にリビングのソファに吐く。なかなか収まらなくて心配だが、何しろノロウィルス的な何かが怖い。妻に送ってもらったリンクを参考にして消毒する。

長男のニンテンドースイッチが動かなくなったりして、ネットで調べて直したり、宿題の丸付けをしたりしているうちに、次男は眠りに落ちてしまった。

次男がいつでも食べられるように冷凍うどんを用意する。うどんを茹でて白だしをかけただけのものを出す。長女が気に入ったらしく「おいしい! おいしい!」と言い、長男も、寝ている次男の分まで食べてしまう。長女もおかわりを要求してきたので急いでもう一玉茹でる。

そうこうしているうちに、東京との打ち合わせ時間になる。

いつも妻は、「この隙に風呂に入ってくる」みたいな感じで。小さいチャンスを伺うかのように、風呂に入ったりする。

確かに気づくと、自分の風呂なんていう、そもそもプライオリティが一番低い行動を、子供たちから目を離して取るなんていうのは、無茶な話だ。

次男は吐かずに寝息を立てているが、まだ予断は許さない。

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