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0119「ラフロイグとジグソーパズル」

土曜日なので、長男のサタデースクールの送迎に行った。毎週のことだが、教室が五階なので、送るときに上るのがしんどい。もう本当にトシだ。階段だけではなくて物覚えも悪い。Shazamで知っている曲の曲名を思い出せなくて認識させることも多くなった。
実は昨日知り合いというか、ニューヨークでお世話になっている高校の後輩というか、後輩といいつつこちらのカルチャーにきちんと根を張っている偉い人なのだが、その人がこのサタデースクールの教師を募集してたり(教員免許なくて良いらしい)、忘年会のときに、友人も先生にリクルーティングされたと言っていたので、ちょっと自分でもやりたくなってしまった。

もちろん私は教師でもないし、教師という職業にあまり興味はないが、やったらやったでたぶん結構面白い気がする。わかんないけど仕事にも役立つ気もする。大学生のときは、東大文1現役合格を果たした直後の人生最高値の時期だったので、高額の時給で家庭教師をやってて、結構楽しかったし(「勉強しろ」って言ってただけだけど)、たまに出張で土曜日出れないから常勤じゃなくて非常勤でやれないだろうか。

教師もたぶん広義の意味では「接客業」になりそうな気もするが、何しろたまに接客業まがいのことをやるととても楽しい。
私は大学生の頃、ライブドアの前身のオンザエッジにバイトで入る前には、元々桜新町のバーでバーテンのバイトをやっていた。これが本当に面白かったというか、いろんな勉強になった。ここで一石五鳥くらいは落としていると思う。

まず、そのバーはジャズバーだったので、新旧のジャズのCDがわんさかあって基本マスターが選曲というかDJするのだが、それを聴いているうちにわりとジャズの深みを知ることができた。もちろん大学で所属していたサークルがビッグバンド・ジャズのサークルだったので、名前は知っていても、ジャズという音楽の歴史を丁寧に味わうにはたかだか三年四年の他にいろいろやることもある不真面目な大学生には無理だったし、それを、ジャズバーという音楽に集中しがちなタイプの環境でちゃんとできたのは良かった。徐々に任されるようになっていって、当時出たばっかりだったリニー・ロスネスの「As we are now」をかけまくって怒られた記憶がある。ニューヨークに移住してから、リニー・ロスネス本人に「若い頃あなたのアルバム掛けすぎて怒られたよ」と言った。

次に、当然、酒の味を覚えた。カクテルも出すが、マスターが「ジャズも酒もストレート・ノーチェイサーだぜ」という人だったので、別に強くもないのに、仕事中にちょこちょこ商品をストレートで試飲させてもらっていた。違いがわかるようになるのが面白いのと、ウイスキーを始めとした蒸留酒の美味さというものを理解したので、バイトが終わって片付けたらすぐにカウンターに座ってバイト代を使って酒を飲んでいた。お蔭様でたぶん平均よりも酒に強い人間になったし、ラフロイグとラガヴーリンの違いくらいは利き酒できるようになった。超下手だが、一応シェイカーも振れる。

3つ目は、洗い物を覚えた。今に至っても、あらゆる家事の中で洗い物が好きだが、なんかうまく説明できないけど、食器を洗ったりグラスを拭いたりすることの楽しさをバーテンの仕事で覚えた。グラスを拭くのは、客としゃべることがないときに場をもたせられるので便利。

4つ目として、今の仕事に最も役立っているのが、「人の話を聞くことを覚えた」ということで、これは非常にでかかった。バーというのはある種沈黙を許容する場所でもあって、その間酒を味わってもよいし、音楽を聴いてもよいし、最近だったらスマホ見てても良いんでしょうし、いろんなオプションがある。沈黙を許容するということは、いつしゃべっても良い雰囲気をつくるのも大切で、お客さんが何かしゃべりだすのに緊張を強いるような雰囲気はあんまり良くない。そのために、たまに「もう一杯いかがですか?」みたいにふんわり声をかけてリズムをつくることもあるし、こっちから世間話をすることもある。で、お客さんがしゃべり始めたら、その人がしゃべりたそうなことを自然にしゃべれるように相槌を打ったり質問したりして補助線を引く。そのうち、相手のキャラクターとか興味とか願望なんかを理解できたりもするが、理解しつつ深入りしなかったりする。
この場合、自分の話はお客さんが聞きたい類の話でない限り話さない。基本的にはひたすら相手の言っていることを聞く。
みたいなのは、一応お客さんの要望をヒアリングしてな何かつくるという今の商売には非常に役立っていて、人生の前半に取得していてよかったユニークスキルのような気がする。

そんなこんなでバーテンの仕事が好きすぎて、将来バーをやりたいなと思っていた時期があった。その時期に、いろいろ見学しようと思って勇気を出して入った三茶のバーの主人のバンドに加入し、そのバンドで一緒だったメンバーから5年後くらいに誘われた別のバンドの客としてきていたのが今の嫁で、子供が三人できた。今日はそのうちの1人の次男とジグソーパズルをやって遊んだ。次男は、4歳のくせにわりと合理性を軸としたピースの探し方をするので、一緒にやってて楽しい。そういう意味では今日のジグソーパズルが、5つ目の良かったことなのかもしれない。

とかなんかうまいこと言ったった感を出しつつ、そんなわけなので接客は好きだ。接客をやりたい。
ということで今私が一番やりたいのがUBERの運転手だ。UBERの運転手をとてもやりたい。すごいやりたくて結構調べたので、今度そのリサーチ結果を書こうと思う。

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