0114「NY子育て日報・２日目」
昨夜は子どもたちは寂しがることもなく、夜泣きなどもせず、私も深夜まで作業をやって、酒を飲みながらご飯を冷凍し、長女の隣で寝た。と言っても慢性的に睡眠不足だ。11月にフィンランドで購入してテストしているOURA RINGは、指輪型の睡眠解析ガジェットで、アプリに自分の睡眠状態（REMが何時間とか、深い睡眠が何時間とか）を記録できる。これを使い始めてから、いかに自分が普段短い睡眠時間で過ごしているかが可視化されるようになってしまった。
今朝は、６時過ぎには長女が起き出して、「イマジネーションの輝き！」というセリフを発し続ける日本から輸入したプリキュアのおもちゃを私の耳元で鳴らしまくり、強制的に起きることになった。「イマジネーションの輝き！」というセリフがループする。OURAのアプリを確認したら、２時間しか寝ていなかった。放っておくと慢性的にこれだ。１ヶ月に１日くらいしか８時間寝ていない。睡眠は大事なので、とても良くない。
長女・次男・長男と順番に起き出して、好き勝手なことを言う。「水〜」とか「牛乳〜」とか「おにぎり食べたい〜」などという要求に２時間しか寝ていない私が対応する。解凍したご飯にわかめふりかけみたいのをまぶしてサランラップで包んで握る。海苔で巻いておにぎりを生産していく。次男は、このおにぎりが壊れやすいことに文句を言い始め、「これ崩れるからいらない」と言う。「ママがいないんだから崩れることもある。大丈夫だから食いなさい」と言って、まあまあ食わせる。そして彼らは朝っぱらからここは自分の席だとか、これは自分のおもちゃだからどうだとか、非常にどうでも良いことで喧嘩を始める。12歳と５歳と３歳の子供を持って初めて知ったのだが、12歳の子供と３歳の子供というのは、普通に喧嘩をする。喧嘩するなよ、と思うが、時折何らかの利害がぶつかってガチでケンカするのだ。自分は一人っ子だから全くその、３歳の妹にガチ切れする感覚がわからない。
今日は長女が幼稚園（日系）なので、次男の幼稚園に一緒に行った後、長女の幼稚園に行って送る。歩くと結構距離がある。幼稚園の先生は私がしばらくワンオペであることを知っていたようで、「大変ですねー」なんて言ってくれた。
今日というか、今週はブルックリンで、参加しているプロジェクトの会合を濃い目にやっているので、子供を送ったら地下鉄に乗って会場に向かう。ブルックリンの結構な奥地だが、いまちょうど、その近辺に自分の作業環境を移せないかなと思っているので、通勤のイメージがついて良かった。ニューヨークには珍しく、トランプ指示のバッジをつけたおばさんを地下鉄で見かけた。珍しいが、やや、ニューヨークでも「どうせトランプ再選するんでしょ」的なシラケムードを感じるところがあって、ああ、と思う。
ブルックリンに向かう地下鉄の中で３連勝中の照ノ富士に関する記事を読んでちょっと泣けてしまう。
会合は楽しくて、実りがある感じだった。がーっとしゃべって、少し作業して、また自宅のあるマンハッタンに戻る。で、次男の迎えと長女の迎え、長男が勝手に帰ってきた。
「今日夕飯何食いたい？」と聞くと２名くらいが「カレー」と言ったので、カレーをつくることにする。
しかし、カレーをつくり始めて気づいたのだが、夜にはミーティングが入っているし、作業もできていないし、その前に子供を寝かさないといけないし、とてもではないが、ゆっくりカレーをつくっている時間などないということだ。
一人で子育てをするということは、「せいぜい70%くらいの出来のカレーを高速でつくって高速で子どもたちに食わせる」ことなのだ。何かを煮込んだりとか、こだわることは許されない。ここは戦場なのであって、こだわっている場合ではないのだ。
野菜を切って肉を切って圧力鍋に投入している間にも、彼らは容赦なく話しかけてくる。一人で子育てをするということは、常に話しかけられるということでもある。長女はものすごい怒ってやってきて、「人形の服が脱げちゃっておかしいから直してくれ」とゴリ押ししてくる。次男は「ライダーベルトが壊れた」と言ってクレームを入れてくる。
とはいえそこそこ70%くらいのカレーを完成させて食わせ、自分でも食う。今日のカレーはほんのり静岡の「サウナしきじ」の薬草サウナの香りがした。薬草という意味では似たような由来成分が入っているのか。ああ、今すぐしきじに飛んでいきたい。しきじは遠くになりにけりだ。
夜はミーティングが続き、やっと作業完了してこの日報をつけて酒を飲んで寝る。昨日買ったリーキはまだ調理していない。カレーに入れてみようかと一瞬思ったが「せいぜい70%くらいの出来のカレーを高速でつくって高速で子どもたちに食わせる」世界では、そんな冒険や隠し味は不要だ。