0123「NY子育て日報・11日目」
昨日は、日報を書いた後、完全に体調が悪くて、ひどくうなされながらも、照ノ富士の12連勝がかかった一番まで、寝落ちしたり起きたりを繰り返していた。照ノ富士が大翔鵬を寄り切ったのを見届けて寝落ちした。体調がものすごく悪い。が、私は妻がニューヨークの家に戻るまでは吐くものか、と勝手に誓っているので、胃の膨満感がすごくても、そこだけは我慢していた。
早めの時間に起きた。次男と長女の状態によっては、2人を幼稚園に連れて行く必要がある。しかし、2人は連日の嘔吐祭りで髪の毛も肌もカピカピになっている状態で、幼稚園に行くなら風呂に入る必要もあるし、いろいろ準備がある。
長男の体温は38.7度、ヒーリングミュージックも座禅もやらずにうなされている。そしてちょこちょこ吐いている。長男は休み決定。
次男は、昨晩仕込んだ青いインク水を凍らせたものを持ってきて、キャッキャ言っている。元気そうだ。これは登園か。
長女も、機嫌は悪そうだが、吐かずに24時間経過した。登園か。
私の体温は37.5度。つらいが、どうにか動ける体温だ。
というわけで、2人を幼稚園に登園させることにした。風呂に入れて、念入りに洗う。元気そうなので大丈夫だろう。
次男、長女の順番で幼稚園に送り出す。各先生に、何かあったら電話してくれ、と頼む。久しぶりに地下鉄に乗る。
家に帰り、朦朧としている長男のアイスノンや、洗面桶を取り替えて、一通り看護っぽいことをした後、「ここは一旦寝て、回復した後午後に仕事だ」という判断、すなわち「攻めの睡眠」判断をして、倒れ込んだ。
次男も長女も元気だったが、ここのところ、そういう楽観はえてして裏切られているので、どうせ電話かかってくるんだろうなと思っていたが、電話はかかってこなかった。
ここ数日間の中で一番ゆっくり眠ることができた。長男は吐き続けている。
「起きたくねえ・・」と思いつつもどうにか起きる。次男をピックアップし、長女をピックアップする。長女は、とても元気がなかったらしい。帰り途中、「ママ、いつまで帰ってこないんだろう・・・?」と言ってポロポロと泣き出した。いい加減限界なのだろう。我々大人にとっての11日間と、3歳児にとっての11日間は、たぶん体感的な長さが全然違うはずだ。3歳児とかじゃなくっても、たとえば私の場合、高校1年生だった16歳のときって、実家が引っ越したり、カリフォルニアの学校に交換留学で2ヶ月行ったり、すごく色々あった年で、とても1年とは思えないくらい長かった印象がある。恐らく身体的にもそのへんの体内時計というのはだいぶ違うはずで、長女にとってはこの11日間は、私にとっての2ヶ月とか3ヶ月位の長い時間だった可能性がある。もう限界なのだろう。
長女はものすごく機嫌が悪い。長女はたまに、自分でもわけがわからなくなってしまうほどウワーーッとなってしまうことがあり、すごいことになってしまった。ずっと泣き叫んでいる。次男がテレビでアニメを見ていたのだが、なぜか、
「ニュースが見たい!! ニュース!」
と言い出した。ニュースを見たがる3歳児も珍しいなと思ったが、ケーブルテレビのリモコンについているマイクに「CNN」と言ってCNNにチャンネルを変える。日本の最近のテレビはどうかわからないが、我が家で使っているVerizonのケーブルテレビの端末のリモコンには、マイクがついている。アメリカというのはケーブルテレビが主流で、チャンネルがめちゃくちゃ多い。なので、音声入力ボタンを押しながら、リモコンにチャンネル名を声で聞かせてチャンネルを変えたりする。チャンネル名どころか、番組名でも行ける。なので、リモコンに「CNN」と言うと、チャンネルがCNNに変わるのだ。
で、CNNでは、トランプ弾劾裁判の中継真っ最中だった。まあこれもニュースということで、「ほらニュースだよ」なんて言って長女に聞くと、長女は泣き叫びながら「こんなのニュースじゃない! 日本のニュース!」と言い、私からリモコンを取り上げ、リモコンに向かって泣きながら「ティーヴィージャパン! ティーヴィージャパン!」と叫んでテレビジャパンに変えようとする。
テレビジャパンではニュースはやっていなかったので、仕方なくNHKオンデマンドでニュースを見せることにした。長女はようやく落ち着いたが、全くニュースを見ていなかった。
次男が寄ってきて、私に「『かんたさんがんばってね』って書いて」と言ってきた。うちの子供たちは、私のことを「パパ」などとは呼ばずに、別の呼び方をする。なんでかわからないが、次男が2歳位になってから私のことを「ジッカー」と呼び出して、それに影響されてそれまで「かんたさん」と名前で呼んでいた長男も私のことを「ジッカー」と呼ぶようになり、長女が育つと、何の疑問も持たず私のことを「ジッカー」と呼ぶようになった。今は、ほとんどの場合「ジッカー」で、たまに気が向いたときに「かんたさん」と呼んでくる。
で、「『かんたさんがんばってね』って書いて」と言ってきたので、紙に書いて渡してあげた。すると、その紙を別の紙で包んで、セロテープで貼り、「お手紙」と言って渡してきた。中には「かんたさんがんばってね」と私の字で書いてある紙が入っていた。手紙を、手紙を出す相手に書かせるというメタな方法ではあるが、次男としては、私を応援したい気分だったのだろう。自分で書いた字であるにもかかわらず、そのプロセスを経るだけでなんだか嬉しいのだから不思議なものだ。
明日には妻が帰ってくる。長男はまだゲーゲー言っているが、家族としての山は超えた感じもする。
ご飯を炊いて、次男と長女におむすびをつくって食わせた。
部屋中から変な臭いがするので、床からベッドから、アルコール消毒して回る。よし、これで全部消毒し終わったし、綺麗になった!
と思ったら、長女と次男が同時くらいに盛大に吐いた。ああ、吐いたな。全員吐いてる。
私はそうこうしているうちに熱も下がっていた。緊張感でウィルスを撃退した感がある。結局、子供たちが全員吐いているというすごい状態で妻を迎えることになるが、あと10時間くらいで、私たちのチャレンジも終わる。