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0115「NY子育て日報・3日目」

前日に3時くらいまで日報書いて残務処理をして、目が覚めたら8時1分。もう、学校に子供を送りに出なくてはいけない時間だ。「やっちまった!」と思い、スマートフォンを手に取ると、追い打ちをかけるようにプッシュ通知の履歴。明日だと勘違いしていた、予定が合わせにくい東京の人々との電話会議が今日だったこと、つまりそれを寝過ごしてすっぽかしてしまったことを知る。「やっちまったーーーーーーー」と叫び、相手先に平謝りに謝る。このミーティングでまとめないといけなかったことと、それに関連する社長業っぽいお金の計算等、優先して整理して共有しないといけない。本来ミーティングですべきだった作業だが、すっぽかしてしまったので責任を持って整理しないといけない。

が、それはそれで「ギャーーーーー」という感じではあるが、まずは幼稚園だ。次男を幼稚園に送らなくてはいけない。今すぐに。明らかに、完全に遅刻だ。

3人子供がいるが、全員性格が違う。それが兄弟姉妹というものなのだろうが、こういうところで各々のキャラクターが出る。長男は私と一緒に寝坊したらしく、マイペースで寝坊した事実を全面的に受け入れてダラダラと出かける準備。次男は、とっくのとうに起きていたが、私を起こすのに気を遣ったらしい。しかし、完全に準備万端で靴下も上着も着ていてすぐに出れるようになっている。

そんな中、長女は、全裸だ。なぜだ。なぜいまこのタイミングで全裸なのか。彼女は恐らく着替えようとしたらしい。が、私が数日間洗濯をさぼっていた関係で、着るべき服が見つからなかったらしい。そのへんの服と靴下を適当に着せようとすると、怒り出す。

今日は長女の幼稚園は休みなので、次男だけを送る必要があるが、長女を家に置いていくわけにはいかない。

長女の機嫌は加速度的に機嫌が悪くなり、挙句の果てに「学校(幼稚園)に行きたくない!」と叫びだす。その時点で完全に遅刻。そんな阿鼻叫喚状態の中、私はfacebook Messengerですっぽかした打ち合わせの相手にお詫びし続け、後の対応を整理する。長女は泣く。とりあえず次男を連れて出かけるふりをする。長男はのんびり準備をしている。長女が置いていかれるのは困るという体で、「じゃあベビーカーに乗っていく!」と、妥結案を提示してくる。わかったそれで手を打とう、ということで上着と靴下をガッと着せてベビーカーに乗せて、いつもの15分遅れで家を出る。のんびり準備を終えた長男が何食わぬ顔で一緒に出発する。彼は何も焦っていない。なぜ焦らないのか。

どうにかいつもより10分遅れくらいで次男を担任のジュリア先生のもとに届け、いったん長女と家に戻る。すっぽかしたミーティングで行うべきだった整理をなる早でやらなくてはならない。本来、向かわなくてはいけないミーティングがあったが、かなり遅れることを連絡し、深呼吸して作業を始める。どうにかいろいろ整理して、大丈夫だろう、というところまでやって、歯を磨いて着替えて、長女を連れてブルックリンにミーティングに出かける。キャンディを食べたい、というのを朝からずっと言っていたが、どこにあるかわからなかった。長女が業を煮やしたのか、「あそこにあるんだよ」と言って、冷蔵庫の上の戸棚を指差した。本当にペロペロキャンディ的なものがあった。いつも妻が管理している自宅内の解像度がどんどん上がっていく。

しかし、今朝の自分のポンコツ具合と言ったら壮絶で、落ち込んで寝込みたいレベルだったが、そうも行かない。人生は容赦なく続いてしまう。

給料日なので、地下鉄のホームでカードの未払いをアプリで振り込む。アメリカの銀行はこれができるから便利だ。ブルックリンまでは長い。3日目ともなると、意識が子育てフォーメーションになっていて、地下鉄の中で夕飯の献立を考え始める。納豆チャーハンにでもするか、と思い、「あ、玉ねぎが無いな。後で買おう。」と思うレベルまでこなれてきた。

ミーティング中の長女は大人しくしていて、参加者の方からマイメロディの絆創膏とリップクリームを頂いて喜んでいた。良いミーティングを経て、落ち込みから回復しつつ、マンハッタンに戻って次男を迎えに行く。

毎度おなじみTRADER JOE’S(アメリカの格安スーパー。自社生産商品をたくさん置いている。在住日本人は「トレジョ」と呼ぶ。)に行き、買い物をする。玉ねぎと一昨日鍋に入れておいしかった豚肉。アーモンドミルク(日本にはない、無味のやつ。銘柄によってはおいしい。トレジョのバニラのはおいしい。)、小さくカットされたニンジン、そしてそれをつけて食うためのフムス(ひよこ豆のペースト)。チーズスナック。炭酸水。こうしてみると、なかなか日本にはない、アメリカっぽいものを買って消費しているなあと思う。アーモンドミルクもフムスもこっちで覚えた。

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トレジョの店員さんはいつもは幼児にステッカーをたくさんくれるのだが、今日の店員さんは少ししかくれなくて、次男と長女の間に、ややピリッとした雰囲気が流れ始める。

家に向かって歩いていたら、長女がコケて泣き出す。そして、自分がコケたことの責任を次男に追求し始める。八つ当たりだ。次男は自分のせいじゃないと怒り出す。

事態を収拾しようと思って、「ドーナツを買っていこう!」と言ってダンキンドーナツに入る。ドーナツを買って争いが終わったかと思いきや、今度はドーナツの袋をどちらが持つかで揉め始める。もうどうでもいいやと思って揉め放題にしていたらいつの間にか一緒に遊んだりしている。このへんの感覚が、私自身は一人っ子なのでまあよくわからない。

そんな中、ピアノの先生が来ているのに(日曜が発表会)、長男が家に帰ってこなかったり(そしてマイペースな顔で遅れて帰ってくる)、長女が昨日から置きっぱなしにしていた古い牛乳を飲んでしまったり、という嵐の中、溜まっている作業をこなしていく。大きな作業は夜に残しつつ、ちょっと早めに納豆チャーハンをつくりはじめる。今日は、洗濯をしないといけないのと、いい加減自分と子どもたちを風呂に入れなくてはいけない。ここまで風呂どころではなかった。

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ドーナツを食いすぎた次男が納豆チャーハンを食わなかったりとかいろいろありつつ、今日こそは、と念願のリーキ(西洋ネギ)を焼いてみることにした。ネギなのだろうから、ごま油とニンニクで焼くといい感じになるだろうと思ってそんなフレーバーで焼き始めてみる。横にチャーハンで使った味覇があったのでなんとなく味覇もマリネートしてみる。

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そして完成した焼きリーキ。食ってみたら、これは完全に普通の太いネギだった。圧倒的ネギ。結構新しい体験を期待していたので肩透かしを食らってしまった。なんだ、やっぱりネギなのか。リーキに対するモチベーションというかエキゾチック感が失われていく。まだ1本残っている。

子どもたちを風呂に入れる。長男は「まだその時ではない」とか言って今日も入らないつもりらしいが、もう彼は好きにやればいい。

例によってYouTubeを見せながら歯磨きをする。次男に仮面ライダーゼロワンの変身シーンコレクションを見せる。しかし、いつも妻は、水で口をすすぐまで映像を見せているらしく、私が磨き終わったところで映像を止めたらとても怒られた。妻がいつもやっていることに対する解像度も上がっていく。

長女は「スイートプリキュア」の主題歌だ。軽快なタイトルバック映像も相まって長女もこの曲が好きだが、この「スイートプリキュア」の主題歌は正直言って、意表をつく曲展開とエモーショナルなメロディーを併せ持った名曲で、日本に住んでいた頃、長男が見ていた仮面ライダーの直後に放映していたので、流れでいつも聴いていた。「おおーこれかっこいいな」とか言ってiTunesで購入して買っていた。いつしか歌えるようになっていた。

一昨年の末だったか、ニューヨークに在住の近しい日本人でカラオケに行く羽目になった。カラオケなんて全く行かない人なので、数年ぶりだった。普段ジャズというか歌ものをあんまり聴かない傾向があるので、歌えるものがなくて困ったが、「あ、スイートプリキュア歌えるな」と思って、魔が差して「スイートプリキュア」を渾身の男声で歌った。酒を飲んでいて血迷った。微妙な空気が流れた。

その場には、世界を代表する大編成ジャズの作曲家である挾間美帆さんがいた。あろうことか、超尊敬しているミュージシャンの前でプリキュアを歌ってしまった。あれは罰ゲームだった。その挾間さんが一昨年リリースしたサード・アルバムが、グラミー賞にノミネートされている。発表は来週末。獲ってほしいなあ。


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