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思いがけないプレゼント

こころの幸せレシピ⑤

シェフ 梯 真由美 

【材料】
 ・気配り カップ1
 ・茶目っ気 大さじ3
 
【調理法】
 ・すき間に在るものを感じてみます。

わが家では、夫婦の記念日に
ごちそうを準備したり、プレゼントを用意したりは
していません。

30回目の結婚記念日も、そうとは気づいていましたが
日常と変わりなく過ごしていました。

最近からだのメンテナンスに、娘さんの送迎で
私の施術を受けてに来てくれている、古くからの友人が
「今日、結婚記念日でしょう。」
と、ケーキをふたつプレゼントしてくれました。

前回の施術中に、
「ワインって飲む?」
と何気に聞かれて、
「最近は、あまり飲まないのよ。」
と答えたことを、瞬時に思い出しました。

友人が、
「うわ~っ!!」
と驚いて
「え~~~っ??覚えてくれていたの?!」
と喜ぶ私の姿を思い浮かべて
ただ、「美味しいね。」と感じて
姿がなくなるものがよいのではないか。
あえて形ではなく、こころに在り続けるものを
選んでくれたことが感じられて、胸に響きました。

私は目が不自由で、友人は、体が不自由で
お互いに歳を重ね、不自由さも増し
思いつきでパッと会えるほど、身近ではなくなったけれど
以前には分かり得なかったことが
何気ない会話の『間』から、分かり得るなど
歳をとるのも、素敵だな。
と思えるものが、確かにあります。

もしかしたら会いにくい分、
その時間は大切で、凝縮しているかも知れない。

豊かさとは、小さなしあわせがたくさんある事で
それは、有形と有形の間に、目には見えないけれど
存在する無形の空間なのかも知れない。

間にあるものは、こまやかな気配りやいたわり
悦び、ぬくもり、感謝のこころが漂っていて
それは、さみしさを包含するものなのかも知れない。

ウイルスが蔓延して、外出がままならない事が
いかに不自由であるかが取り沙汰されたひと頃でしたが
実社会には、そのずっと以前も後も、いろんな事情で
出かける事が難しい人が、たくさんいるのは間違いがなく、
けれどその分、ひとつの行いに心を尽くせば
さみしさの中に、きらめきが生まれるように感じます。

【調理のコツ】

・サプライズは、さじ加減を大切に。

サポートいただきまして、本当にありがとうございます。 どなたかご縁のある方のこころの奥に、私の言葉が届くとうれしいな~。と思って 書いています。とっても励みになります。こころから感謝をこめて。                              板橋真由美