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出世する人の特徴


勤労学生としてしか働いたことのない身だが、いくつかアルバイトを経験して思う事がある。

「出世はやる気や実力で決まらない」

 6年ほど、アルバイトとして働いている会社がある。社員の方達ともお仕事させていただいているわけだが、これほど長くいれば社員も毎年のように変わっている。

変わる理由としては異動・退職などであるが、異動の場合は「○○さんは優秀なので他部署に引き抜きになった」というケースがほとんどであった。

アルバイトや社員とはいえ同じ仕事を協力してこなすわけだが、引き抜かれた社員は確かに仕事はなんなくこなせるという印象の人が多い。

最近異動したA氏もそのうちの1人である。転職組で約1年前に私が働いてる部署に配属された。当初からテキパキと仕事をこなし、ミスも少なく信頼がおけそうだなと好意的に見ていた。ただ、時が経つにつれて面倒くさい仕事を避けているような節があった。例えば新人への指導、移動距離の長い荷物の運搬などである。

 面倒な仕事は我々アルバイトに押し付けたり、「わかりました」と言って実際せずに自分はゆっくりしていたり、社員にしか出来ない仕事をするといってスタッフルームに戻ったりなどしているように見えた。

 そのさまを見ていて徐々に不信感、というよりそのやり方に苛立ちを覚えた。もちろんバイトでも出来る仕事はバイトがやるというのが筋かもしれないが、社員として責任感がないのはいかがなものかと思った。

また、最もその人が嫌いになった理由は仕事に対する熱心のなさ、やる気のなさであった。淡々と仕事をこなすだけで言われた以上のことをしない。どうしたら仕事をもう少し効率化できるかやお客様サービスがよくなるかなどA氏の頭には微塵もなさそうな態度が見ていて大変憤りを感じた。

私自身は6年も続けていて思い入れのある会社と仕事であるがゆえに、「何でこの仕事選んだの?」「やる気ないならここじゃなくてもいいじゃん。」と思うようになった。

というのも、この会社には大変強い思い入れがある。その理由の1つは人生で初めてアルバイトをする事になった18歳の私を現在に至るまで育ててくれた社員さんがいるからである。右も左も分からない私に社会人としての基礎を教えてくださったり、ミスの耐えない私にも決して怒鳴るような事はせず、根気強く仕事を教えてくださった他、常にお客様や上司に対して丁寧で寄り添った対応をしている。そして、これまで私が関わってきた大人の中で誰よりも仕事に対して真摯に向き合っている。この姿こそが今日の私の仕事に対する考え方を作ったと言っても過言ではない。それゆえこれからもずっとお慕い申し上げると心に決めたのである。
2つ目の理由として、私自身過去にこの会社の顧客として長きに渡ってサービスを受けていたからである。この会社のお陰で今の私がいると言っても過言ではないし、実に10年という長い付き合いがある。
私は専攻している学問の都合上、職種がある程度決まってしまっているのでせめて学生時代は全く違う業界で働いてみたいと思っていて、いくつかアルバイトをしてみたわけだが、最も長く続いているのがこの会社なのである。


話を元に戻そう。
昨月未明、A氏がこの度異動になる事を知り、私は心の中で特大のガッツポーズをしてしまったのである。顔を合わせるだけで不信感や嫌悪感を抱えながら仕事をしなくてはならなかったから。

ただ同時に「優秀だから」という理由の引き抜きに疑問を感じた。仕事は出来るが、A氏はそのイメージを作り上げるためにアルバイトや他の社員を犠牲にしているのを上の方たちは知らないのであろう。

そしてこれがA氏のやり方かとハッとした。
最低限やるべきことをやって、面倒なことを周りに押しつけて、自分が全部やっている雰囲気を醸し出して仕事が出来るという印象を作り上げるという方法を無意識のうちにやっているのだと。

他のアルバイトでも似たような事があった。B氏と私はほぼ同時期に入社したアルバイトであった。B氏も同じく仕事は出来るが、話を聞くと暇つぶし感覚や家にいたく無いからという理由で働いているとのことだった。それゆえなのかは分からないが仕事に対するやりがいや熱心さがあるようにはとても見えなかった。反対に私はどんな仕事でもいただいたら熱心すぎるくらいに取り組んでしまう癖があるので、仕事上はうまく行っていてもこの人とは到底分かり合えないと感じていた。

ある日、新人研修をしっかりやろうという議題が上がり、私が前述のアルバイト先でやっていた研修シート制度を提案した。そしたらその案が採択され、私が仮の研修シートなるものを作ったのである。せっかく作るのだからと思って残業までして、丁寧にじっくり、新人さんのためになるように作った珠玉の一作ができた。ところが完成した事が上層部へうまく伝わっておらず、話が一旦凍結してしまったのである。そしてまたある日、新人研修の話題が出た時、B氏が新人研修シートを作るという話になり、結果それが採択され今日も運用されているという。内容をみると、ほぼ私が作った研修シートのコピー&ペーストであった。

やられた。と思った。
B氏に仕事を横取りされた気分になった。B氏はその後、上層部に気に入られたのかバイトリーダーを経てエリアマネージャーのようなポジションに就いており、現在も活躍している。

なぜだろう。接していてやる気や意気込みは私の方が明らかにB氏よりも高かったはずなのに、B氏の方がどんどん評価されていく。しかも反比例するかのようにB氏の熱意は鎮火しているように見えた。
そして私はいつまでも評価されず、ただただ怒りの炎だけが煙を上げるだけであった。

その後私はこの件に対する不満やその他の事情があり、このアルバイトの退職手続きをしている最中である。

これらの経験から悟ったのは、出世は地道に頑張ってきた人ややる気のある人ができるのではなく、上層部の前でいかに仕事をしている素振りが見せられるかどうか、いかに他人を使えるかで出来るものだということだ。

誠実さや正当な努力が評価されない事は大変遺憾であるが、今後社会に出る身として、「ずる賢さ」を身に付けて行かないと生き残れないなと思った出来事達であった。

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