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ヤクルトって先発がいいよね

という言葉はこの世の中に存在するんだろうか。先発が課題と言われ続けて、今年も結局先発が課題のまま最下位に喘いでいる。

元も子もないようなことを言うけれど、個人的には先発に大きなことは期待していない。もちろんがんばってほしいし応燕している。でも神宮球場を本拠地にしている以上、2失点、3失点は覚悟しなければいけない。たまに炎上もするだろう。だから先発は6回3失点で試合を作ってくれればよくて、そんな時にちゃんと打線が打って、ちゃんと守って、リリーフがつないで、勝ちゲームにしなければいけないのだ。

たいていスワローズが低迷する時というのは、先発が多少がんばっても打線が沈黙したり、リリーフが炎上したりして、チーム全体がかみ合わない試合が続く時だ。やはり打線とリリーフが先発の心もとなさを補ってこそのスワローズなのではないか。

とは言え「ヤクルトって先発がいいよね」という瞬間は過去にはなかったのだろうか?ずーーーっと先発が課題と言われ続けている気がするけれど、たまには先発が良かった年だってあるはずだ。優勝もしているわけだし。そしてそんなローテーションはどのように作られたのだろうか。探してみようじゃないか。そういう年を。

スワローズの先発が良かった年ランキング

※さすがに80年代より前は前時代過ぎるので90年代以降を見ています。
※成績にはリリーフ登板も含まれます。

第8位:1990年(野村監督1年目 58勝72敗5位)49

川崎憲次郎  26先発 12勝13敗   4.05  19歳 (高卒D1)
宮本賢治   20先発 11勝7敗  3.16  31歳 (大卒D1)
西村龍次   25先発 10勝7敗  4.06  22歳 (社卒D1)
内藤尚行   12先発 10勝8敗  4.08  22歳 (高卒D3)
加藤博人   15先発 3勝8敗    4.05  21歳 (高卒D外)
バニスター  9先発   3勝2敗    4.04  35歳 (外国人)
郭建成    10先発 0勝4敗    4.95  25歳 (外国人)

飛躍前夜という感じがプンプンします。宮本賢治さん以外の10勝トリオの若いこと。ただし、上位に行くにはまだまだ厚みも安定感も足りないという感じ。

第7位:2002年(若松監督4年目 74勝62敗2位)

ホッジス   32先発 17勝8敗  3.41  29歳 (外国人)
石川雅規   28先発 12勝9敗  3.33  22歳 (大卒D1)
藤井秀悟   28先発 10勝9敗  3.08  25歳 (大卒D2)
山部太    9先発   5勝3敗    5.53  31歳 (社卒D1)
坂元弥太郎  18先発 3勝9敗    3.68  20歳 (高卒D4)
鎌田祐哉   9先発   3勝2敗    3.78  24歳 (大卒D2)

ホッジスが大当たり。石川・藤井の両サウスポーにも未来を感じます。けれどやはりそこから先が心もとない。3枚目以降が足りません。

第6位:2005年(若松監督7年目 71勝73敗4位)

石川雅規   25先発 10勝8敗  4.87  25歳 (大卒D1)
館山昌平   25先発 10勝6敗  3.95  24歳 (大卒D3)
藤井秀悟   27先発 10勝12敗   3.43  28歳 (大卒D2)
川島亮    20先発 9勝10敗  2.81  23歳 (大卒D1)
ガトームソン 16先発 8勝5敗    4.18  28歳 (外国人)
高井雄平   11先発 4勝4敗    4.52  21歳 (高卒D1)
ゴンザレス  10先発 4勝6敗    5.07  27歳 (外国人)

石川・館山・藤井、働き盛りのエース格が3枚いるなんてゾクゾクしますね。そして3枚目と4枚目も9勝と8勝。なんでこれで4位だったんだろう。そしてなんでこれで優勝から遠ざかるのだろう。

第5位:2001年(若松監督3年目 76勝58敗1位)

藤井秀悟   26先発 14勝8敗  3.17  24歳 (大卒D2)
石井一久   27先発 12勝6敗  3.39  28歳 (高卒D1)
入来智    21先発 10勝3敗  2.85  34歳 (戦力外)
前田浩継   23先発 7勝10敗  3.93  25歳 (戦力外)
ホッジス   12先発 5勝3敗    3.80  28歳 (外国人)
山部太    10先発 4勝2敗    3.76  30歳 (社卒D1)
ニューマン  10先発 3勝4敗    4.18  32歳 (外国人)

石井一久と藤井の両輪に加えて、入来智と前田浩継のブレイクが大きかった年。2005年の方が明るい未来の見えるローテのような気がするけれど、やっぱり優勝した年なので、こちらを上位に。

第4位:1993年(野村監督4年目 80勝50敗1位)

伊東昭光   23先発 13勝4敗  3.11  30歳 (社卒D1)
西村龍次   23先発 11勝6敗  3.72  25歳 (社卒D1)
川崎憲次郎  20先発 10勝9敗  3.48  22歳 (高卒D1)
荒木大輔   17先発 8勝4敗    3.92  29歳 (高卒D1)
伊藤智仁   12先発 7勝2敗    0.91  23歳 (社卒D1)
岡林洋一   17先発 5勝8敗    3.66  25歳 (大卒D1)
石井一久   7先発   3勝1敗    4.70  20歳 (高卒D1)
宮本賢治   6先発   4勝1敗    2.39  34歳 (大卒D1)

連覇の年。中堅、若手のバランスが良く安定感があります。二桁トリオがいるのも助かりますが、みんなで勝ち星を積み上げている感じ。智さんが鮮烈なのはもちろん、この年の昭光さんの勝率がすごい。

第3位:2010年(高田監督3年目→小川代行 72勝68敗4位)

石川雅規   28先発 13勝8敗  3.53  30歳 (大卒D1)
館山昌平   21先発 12勝7敗  2.93  29歳 (大卒D3)
由規     25先発 12勝9敗  3.60  21歳 (高卒D1)
村中恭平   28先発 11勝10敗   3.44  23歳 (高卒D1)
中澤雅人   20先発 7勝9敗    5.68  25歳 (社卒D1)
バーネット  15先発 4勝5敗    5.99  27歳 (外国人)

このローテすごくないですか。夢がある。バランスも良い。今となっては、この状態が続かなかったことはわかっているのだけれど見惚れますね。2005年に引き続き、なんでこのローテで4位だったのか。よっぽど高田監督の4月・5月がひどかったんですね。

第2位:1997年(野村監督8年目 83勝52敗1位)

田畑一也   25先発 15勝5敗  2.96  28歳 (トレード)
吉井理人   26先発 13勝6敗  2.99  32歳 (トレード)
石井一久   17先発 10勝4敗  1.91  24歳 (高卒D1)
ブロス    21先発 7勝8敗    4.99  31歳 (外国人)
川崎憲次郎  19先発 7勝5敗    4.19  26歳 (高卒D1)
山本樹    10先発 3勝6敗    3.67  27歳 (大卒D4)
伊東昭光   7先発   3勝1敗    4.31  34歳 (社卒D1)

トレード加入3年目の吉井さんとトレード加入2年目の田畑さんが大車輪の活躍。トレード史に残る大成功ローテが優勝につながります。4枚目以降もまずまず。

第1位:1995年(野村監督6年目 82勝48敗1位)

山部太    25先発 16勝7敗  3.83  24歳 (社卒D1)
ブロス    24先発 14勝5敗  2.33  29歳 (外国人)
石井一久   21先発 13勝4敗  2.76  22歳 (高卒D1)
吉井理人   22先発 10勝7敗  3.12  30歳 (トレード)
伊東昭光   13先発 10勝8敗  4.38  32歳 (社卒D1)
岡林洋一   16先発 7勝7敗    3.79  27歳 (大卒D1)

栄えある最強ローテは1995年でした。二桁到達が5人。3本柱は勝ち数も勝率もハイレベル。これは圧勝しますね。文句なしの豪華ローテーション。強い。

強いローテのできあがり方

調べてみて、ランキングを作ってみて、そりゃそうだよなと思っていたことが明確に。強いローテを作るためにやるべきことは一つ。ドラフト1位を育てること。その上で外国人選手が当たったり、飛躍を遂げるドラフト下位選手やトレード獲得選手がいれば、強靭なローテができあがる。しかし今のスワローズはドラ1のローテの柱を作れない。

でも最近の優勝は

結局は90年代の黄金時代がクローズアップされる中で、ランキングに登場した最も新しい年が2010年。以降は10勝できる投手自体が希少に。プロ野球界全体の流れでもあろうけれど、スワローズはその傾向が顕著である。しかし、2021年も2022年も二桁勝利投手なしでスワローズは優勝した。

2021年(髙津監督2年目 73勝52敗1位)

小川泰弘   22先発 9勝6敗    4.14  31歳 (大卒D2)
奥川恭伸   18先発 9勝4敗    3.26  20歳 (高卒D1)
サイスニード 13先発 6勝2敗    3.41  29歳 (外国人)
田口麗斗   17先発 5勝9敗    4.02  26歳 (トレード)
スアレス   13先発 5勝3敗    3.62  32歳 (外国人)
石川雅規   16先発 4勝5敗    3.07  41歳 (大卒D1)
高橋奎二   13先発 4勝1敗    2.87  24歳 (高卒D3)
高梨裕稔   12先発 4勝1敗    3.63  30歳 (トレード)
金久保優斗  8先発   4勝1敗    2.74  22歳 (高卒D5)
原樹理    8先発   3勝1敗    2.30  28歳 (大卒D1)

ある意味立派な先発陣のような気がする。多士済々。20先発以上はライアンだけ。高橋奎ニ、高梨裕稔、金久保優斗、原樹理で15勝4敗。4人で1人のスーパーエース級の成績。これはこれですごいし、これはこれで優勝できる陣容なのではないだろうか。もしかしたらランキング隠れ1位なのかも。

2022年(髙津監督3年目 80勝59敗1位)

サイスニード 23先発 9勝6敗    3.54  30歳 (外国人)
小川泰弘   25先発 8勝8敗    2.82  32歳 (社卒D1)
原樹理    20先発 8勝7敗    4.85  29歳 (大卒D1)
高橋奎ニ   17先発 8勝2敗    2.63  25歳 (高卒D3)
高梨裕稔   19先発 7勝9敗    4.30  31歳 (トレード)
石川雅規   16先発 6勝4敗    4.50  42歳 (大卒D1)
小澤怜史   8先発   2勝1敗    4.11  24歳 (戦力外)

2021年よりはメンバーは絞られた感じ。防御率もそんなに良いわけではないので、常に好投していた感じでもないだろう。打線とリリーフががんばっての優勝だとわかる。

いいローテーション

つまり冒頭の結論。先発は調子の良いメンバーで回し、みんなで少しづつ回を重ねてくれればよい。「ヤクルトって先発いいよね」とはならないかもしれないけれど「いいローテーションだよね」と言える回し方はできるかもしれない。いわゆる「ゆとりローテ」だ。そして先発がゲームを作れた時に、しっかり打って、しっかり守って、リリーフが踏ん張って勝ちを拾うのだ。

7月20日、サイスニードの不調をカバーした秀樹とオスナに拍手喝采。これでいいのだ。こういう試合が増えるよう。後半戦の巻き返しを期待したい。

ところで最近のスワローズ

★8連敗で止まった。恒例の二桁連敗を覚悟するスワローズファン。
★小澤怜史→高橋奎二の無失点リレーも延長サヨナラ負け。こういう試合で勝たねば。
★クローザー木澤が少しずつ様になって来ている。
★宮本丈が打ちまくっている。丈に何が起きたのかどなたか教えて下さい。

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