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スワローズファンのためのトレード答え合わせ①【2017~2021】

再生工場。パリコレ。スワローズは他球団から獲得した選手を活躍させることに長けた球団と言われます。「戦力外」からの獲得が補強の一つの大きな手段ではありますが、今回は「トレード」に絞って、スワローズファン目線で過去のトレードが果たして成功だったのか失敗だったのか、勝ったのか負けたのか、振り返ってみたいと思います。

いくつか前提

①基本的にはトレードを実施した球団での成績を参照します。トレードの前の前やトレードの後の後の所属球団がある場合は考慮しません。
②勝ち負けをつけてみるという企画ではありますが、選手個人に対してはもちろん応援のスタンスです。来たからにはがんばってほしいし、行った先での活躍も気になります。
③その勝ち負けは当然ながら筆者の独断と偏見によるものとなります。

廣岡大志⇔田口麗斗

(対ジャイアンツ2021年3月)

【トレード前】

廣岡大志(S)
年数:5 試合:236 安打:101 打率:.214 出塁率:.299
本塁打:21 打点:54 四球:56 三振:169 盗塁:5

2015年ドラフト2位で入団、未完の大器であり続けた廣岡大志。2016年9月29日、高卒ルーキーとしてスタメン初出場。引退試合の三浦大輔投手からホームランを放つという衝撃のデビューを飾ります。

スワローズファンなら誰もが彼に夢を見たことでしょう。美しい放物線を描くバッティング練習。試合前のハマスタや東京ドームのレフトスタンドにて、どれだけ彼の弾道に酔いしれたか、そして身の危険を感じたか。

しかし試合となるとそう簡単ではありませんでした。繰り返されるため息。そしてごくまれに放たれる怖ろしいほどの放物線。感嘆。ショートやサードの守備も、長打力抜群のバッティングも、安定感と確率が上がればと言われ続けた5年間でした。本当に惜しかった。2割10本の選手から一皮むけるまで、きっとあと一歩だった。見たかったなあ。廣岡大志の30本。

田口麗斗(G)
年数:7 試合:162 先発:96 勝利:36 敗戦:37 H:16 S:2
投球回:640 奪三振:496 WHIP:1.28 防御率:3.49

2013年ドラフト3位で入団、若くして先発として頭角を現した田口投手。2016年と2017年に2年連続で二桁勝利を挙げた後は先発だったり中継ぎだったり便利屋的な使われ方が続き、貴重な戦力なのは間違いないものの、いわばパッとしない成績がトレード前は続いていました。

【トレード時】

前年は髙津監督1年目の最下位です。シーズンオフにオスナとサンタナが加入。ショートは西浦直亨、サードは村上宗隆がレギュラー。ショートにはドラフトで元山飛優も獲得しています。廣岡大志は高卒6年目、田口麗斗は高卒8年目。

オープン戦真っ只中のトレードだったゆえに、まさに衝撃的なトレードでした。伸び悩んでいた廣岡大志のトレードは、ある程度は予想されたものの、相手が実績のある同一リーグのまだ若い田口投手であるということに驚きました。大志で田口投手が獲れてしまっていいの!?という感じ。

ジャイアンツが坂本勇人選手のバックアップ、あるいは後継者を探していたという事情はあったのだと思われますが、この時点からすでにスワローズの勝ちトレードの匂いがぷんぷんしていたものです。

【トレード後】

廣岡大志(G)
年数:3 試合:115 安打:35 打率:.190 出塁率:.263
本塁打:6 打点:21 四球:14 三振:49 盗塁:3

せめてスワローズ時代よりは成績を伸ばしてほしかった。結局、廣岡大志は廣岡大志だったという3年間。ジャイアンツにて年々出番を減らし、現在はバファローズ。相変わらずの廣岡大志。他球団に行ってもとても気になる廣岡大志。ファンは開花を待ち続けています。

田口麗斗(S)
年数:3 試合:128 先発:17 勝利:9 敗戦:15 H:28 S:35
投球回:185 奪三振:167 WHIP:1.32 防御率:2.92

トレード直後は貴重な先発左腕としてローテーションを担った田口麗斗。ジャイアンツ時代と同様に貴重な戦力ではあるけれど、どうもパッとしない・・・という状態だったのが、シーズン中盤からブルペンに配置転換され力を発揮。日本一に大貢献することとなります。そして2年目もブルペンの切り札として連覇に貢献。ついに3年目にはクローザーとしてチームの主力中の主力へ。稀代のクローザー、髙津臣吾の慧眼が光ります。

冷静に燃えるその投げっぷりにチームは救われ続けています。またファンサービスに一石を投じ続け、ムードメーカーとしてもなくてはならない存在に。FA取得により去就が注目されましたがチームに残る決断をしてくれたこと、スワローズファンは胸をなでおろしました。

【結論】

スワローズの圧勝。完全に勝ち。大志がんばって!

秋吉亮&谷内亮太⇔高梨裕稔&太田賢吾

(対ファイターズ2018年12月)

【トレード前】

秋吉亮(S)
年数:5 試合:283 先発:2 勝利:19 敗戦:17 H:67 S:34
投球回:298.2 奪三振:274 WHIP:1.06 防御率:2.68
谷内亮太(S)
年数:6 試合:154 安打:73 打率:.227 出塁率:.275
本塁打:2 打点:37 四球:21 三振:60 盗塁:0

2013年ドラフト3位で入団した秋吉亮。ルーキーイヤーからブルペンを支え、2016年にはクローザーを任されるまでに成長。3年間で205試合という驚異的な登板数をこなします。しかし続く2年はさすがに勤続疲労か、登板数と成績を落とし、かつての信頼を失いかけていました。

2012年ドラフト6位入団の谷内亮太。内野のユーティリティとして主に守備固めでの出場がメインでした。山田哲人も身近な先輩として慕っていたそうです。同じ右打ちの控え内野手として「打の荒木貴裕」「守の谷内亮太」のイメージがありますね。大切な一軍戦力ではあるもののレギュラーは見えない状態でした。

高梨裕稔(F)
年数:5 試合:79 先発:51 勝利:22 敗戦:17 H:1 S:0
投球回:344.1 奪三振:271 WHIP:1.19 防御率:3.53
太田賢吾(F)
年数:4 試合:94 安打:21 打率:.178 出塁率:.205
本塁打:1 打点:11 四球:4 三振:32 盗塁:0

2013年ドラフト4位入団の高梨投手。3年目にリリーフで信頼をつかみ先発に転向。最終的には10勝2敗、防御率2.38の成績で新人王を獲得します。その後も先発で2年、キャリアを重ねますが、あの新人王の活躍には遠く及ばず、伸び悩み感のある2年を過ごしていました。

2014年ドラフト8位入団の太田選手。一軍デビューは3年目でしたが、まだまだこれからの選手。目立った活躍はないままトレードを迎えます。

【トレード時】

第2次小川政権の1年目、2位で終えたシーズンオフのことでした。クローザーに石山泰稚、セットアッパーに近藤一樹、ブルペンでは風張蓮、中尾輝、中澤雅人、梅野雄吾ががんばっていました。今となってはずいぶん心もとないメンバー・・・。ショートやサードは西浦直亨、川端慎吾、大引啓次、廣岡大志、といった面々がレギュラー争いを繰り広げています。秋吉亮は大卒社会人からの5年目、谷内亮太は大卒6年目、高梨裕稔は大卒5年目、太田賢吾は高卒4年目のシーズンオフということになります。

慢性的な先発投手不足を補うために高梨投手の補強は期待ができる、という印象でした。新人王の肩書がそう思わせてくれたことは間違いありません。秋吉亮は明らかに陰りが見えていたし、谷内亮太もその存在は大きかったものの、絶対的な選手ではありません。いいトレードのように思いました。

ちなみに太田賢吾は正直なところ「誰?」でした。ただ、まだ若いこれからの内野手が獲得できたことも、このトレードの印象を良くしていたように思います。ちなみに高梨投手は千葉出身、太田選手は埼玉出身ですので、関東の人なんだなと。

【トレード後】

秋吉亮(F)
年数:3 試合:96 先発:0 勝利:1 敗戦:7 H:11 S:37
投球回:91.1 奪三振:84 WHIP:1.19 防御率:4.04
谷内亮太(F)
年数:5 試合:302 安打:70 打率:.227 出塁率:.276
本塁打:1 打点:23 四球:20 三振:49 盗塁:0

トレード後の1年目はクローザーとして輝きを取り戻したかに見えた秋吉亮。2年目もクローザーとして開幕を迎えますが次第に調子を落とし登板数も減っていきます。3年目は10試合の登板に終わり自由契約となりました。その後独立リーグを経てソフトバンクに入団も活躍はできず。スワローズでのルーキーイヤーからの3年が間違いなく全盛期だったでしょう。

トレード後も内野の守備職人としてスーパーサブのポジションを固めた谷内亮太。2021年にはキャリアハイの106試合出場、2022年はスタメンも増え.268の打率を残します。そして何よりも北海道から漏れ伝わるその愛されっぷりというか信頼感というか。盛大な引退セレモニーも開催され、2024年にはファイターズの一軍内野守備走塁コーチに就任しています。

高梨裕稔(S)
年数:5 試合:86 先発:67 勝利:19 敗戦:26 H:1 S:0
投球回:377 奪三振:336 WHIP:1.42 防御率:4.58
太田賢吾(S)
年数:5 試合:180 安打:132 打率:.245 出塁率:.297
本塁打:4 打点:41 四球:37 三振:132 盗塁:3

先発の柱として期待されるも良かったり悪かったりを繰り返す高梨裕稔。頼もしいピッチングを披露し、スワローズに来てくれて良かった!と思わせておきながら長続きしない。2022年の優勝は高梨の7勝がそれなりに大きかったはずなのですが、ついに2023年は未勝利に終わり、2024年は背番号も降格、まさに崖っぷちとなっています。ロングリリーフやブルペンでの復活はないものかと思ったりしてはいるのですがどうなんでしょうか?

トレード1年目にけが人や不調者続出の中、サードを担った太田賢吾。1番打者としても活躍し、あの年、太田賢吾は救世主だったのです。実はこのトレードは太田賢吾という掘り出し物を獲得するという、太田賢吾のためのトレードになるはずだったのです。ところがトレード2年目。一軍出場わずか4試合・・・。もったいない。ファームではずっと打っているけれど、すっかり今は外野手だけれど、何か決め手に欠ける太田賢吾。素人的にはもうちょっと一軍でチャンスをあげてもいいんじゃないかと思いつつ、首脳陣にはそうは映らないんだろうなあ。再びのトレード要員、もしくは現役ドラフト候補となっています。

【結論】

これは難しい・・・。トレード1年目はスワローズの勝ちかなと思っていたのです。秋吉はファイターズで輝きを取り戻していましたが、谷内亮太はまだ出場機会を得られず、高梨はそこそこ投げていたし、何より太田賢吾が大ヒットに見えていましたので。

秋吉は長く活躍できなかったけれど、しかしその後ファイターズで存在感を増す谷内亮太に対して、パッとしない高梨と太田賢吾。しょうがない。スワローズの負けです。決め手は谷内亮太のあの引退セレモニーです。高梨と太田賢吾にあの引退セレモニーがあるとは今は思えません・・・。

ただしこの結論はまだ覆る可能性があります。すでに現役を終えた秋吉と谷内亮太に対して、高梨と太田賢吾は現役です。この二人がスワローズを救うタイミングがまた来るかもしれない!その時にはやっぱりスワローズの勝ちだったと言いたいですね。

無償⇒山田大樹

(対ホークス2017年11月)

【トレード前】

山田大樹(H)
年数:10 試合:70 先発:68 勝利:24 敗戦:26 H:0 S:0
投球回:379 奪三振:224 WHIP:1.34 防御率:3.42

いちおうトレードということなので今回のおまけとして。2006年ドラフトで育成1位指名を受け入団した山田大樹投手。2010年にパ・リーグの育成出身投手として初勝利を挙げます。2012年には24試合の先発登板で8勝を挙げますが、その後登板機会は激減。ファームでは毎年好成績を収めるも、強力ホークスのローテーションに割って入ることができずに苦しんでいました。

【トレード時】

真中監督3年目、つまりあの96敗の年が終わったシーズンオフでした。小川淳司監督が2回目の監督に就任します。先発ローテに厚みを持たせるため、実績もありファームで結果を残していた山田投手の獲得には期待が持てました。山田投手にとっては高卒10年目のシーズンオフということになります。

【トレード後】

山田大樹(H)
年数:3 試合:18 先発:15 勝利:5 敗戦:7 H:0 S:0
投球回:76.2 奪三振:52 WHIP:1.46 防御率:5.29

トレード後に一軍戦力として活躍できたのは、ほぼ2年目のみということになります。2019年、第2次小川政権の2年目です。高梨投手のスワローズ1年目です。ローテーションが苦しかった。石川雅規8勝。小川泰弘5勝。高梨裕稔5勝。ブキャナン4勝。高橋奎二4勝。そんな中の山田大樹5勝にどれだけ助けられたか

【結論】

無償トレードなので。相手もいないので。2019年はいちおう一軍戦力として苦しいローテーションを支えてくれたので。これは勝ちとさせて下さい。いてくれてよかったですよ。2019年は。

ちなみに最近のスワローズ

★長岡秀樹3番!頼もしい!
★丸山和郁の確変続く。これはもう本物なのかな。
★塩見泰隆本格的な離脱。つらすぎる。

石川投手の次はちゃんとありました。雨中の甲子園。投手に押し出しフォアボールを与えていては勝てません・・・。つらい。


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