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"夢"はただの電気信号

みなさん「夢」を見たことはありますか。

「私の夢はオリンピックで金メダルを取ることです!」のほうではなく、
みなさんが眠っている時に見る、あの「夢」ですね。

恐らく100人いたら125人は見たことがあると思います。

今回はそんな、誰もが経験したことのある身近なものでありながら、一方でその実体はベールに包まれている神秘的な「夢」の正体を解き明かしてみたいと思います。

今回参考にした本は、ミチオ・カク氏が書かれた「フューチャー・オブ・マインド -心の未来を科学する- 」です。ちょっと分厚い本ですが、とても面白かったので脳科学好きな方には特にオススメの一冊です。



<夢とは一体どういうものなのか?>

結論からいきます。夢の正体は一言でいうと「微弱な電気信号」です。

スピリチュアルなものでも幻想でも何でもなく、脳の中でパチパチとほとばしる電気エネルギーです。

まず前提として、ほとんどが写真や映像でしか見たことのないであろう、あのぐにょぐにょした複雑な脳みそは、例えば運動機能とか、言語機能とか、はたまた体温調整機能とか、まぁそれはそれは色んな機能を管轄していて、脳の場所によってどの機能を管轄するかが分かれてるというのは有名な話ですよね。

で、その中の視覚の担当部分についてなんですが、

みなさんが普段自分の目から見えてる世界は、なにも眼球にそれが直接映ってるわけじゃなくて、眼球を通して入ってきた光の刺激が、脳の視覚担当のところに電気信号でパチパチ届けられて、そこで「映像」として組み立てられる仕組みになっています。

要するに、脳内にある映画館のスクリーンに、光の刺激をうまいことプロジェクターで投影したものが、私たちが普段目で見えていると思っているものなわけです。じゃあ目を閉じたら目から刺激が入ってこないから視覚担当の仕事がなくなるかというと、そういうわけではないんですね。

簡単な話で「目を閉じて、キティーちゃんをイメージしてください」というと、キティーちゃんの映像が浮かびますよね。
要は目を閉じても、脳内で電気信号をパチパチさせて映像を作り出すことは可能ということです。


こうした形で、眠っている間に無意識的に発火した「電気信号」が、脳の視覚担当のところにパチパチ届けられて映像が出来上がる、これが「夢」の正体です。


<眠っている間に脳で何が起こっている?>

ここからは、夢にまつわる色んな不思議について言及していきますが、
人間が眠っているときというのは、脳も一緒に機能が全部停止するかと言うとそうではありません。
まぁ言われてみると当たり前な話ですが、脳が完全に機能を停止したら心臓すらも止まってジ・エンドですからね。

じゃあどうなっているかと言うと、これは割と単純な話で、
眠っている間、活動してる場所もあれば、お休みしてる場所もあると。

寝るときに部屋の電気は消すけど冷蔵庫は付けっぱなし、みたいなもんです。冷蔵庫のコンセント抜いたら翌朝地獄を見ますからね。

つまり活動が止まったらまずいところは眠っている間も動きっぱなしなわけです。

で、じゃあどこが動いててどこが止まってるのよ?という話なんですが、

一般的に海馬や扁桃核、前帯状皮質は活動していて、背外側前頭前皮質や眼窩前頭皮質、側頭頭頂接合部は活動を停止しています。

...はい、何のこっちゃって感じですよね。

これは語弊を恐れずに、すんごく簡単に言うと、
「記憶と感情とか、動物にもあるっぽいところは働いてまっせ」
「理性や思考とか、人間にしか備わってないっぽいところは寝てまっせ」
といった感じです。

感情機能は動いてるので、悪夢を見てものすごい恐怖を感じた、みたいなことは当然起こりえます。

また「ファクトチェッカー」と呼ばれる、物理法則とか常識とかをチェックする機能は眠っているので、現実ではあり得ないことが夢では平気で起こり得るわけです。

瞬間移動もお手の物で夢の場面は目まぐるしく変わるし、理性も寝てるため現実では絶対やらない「人に言えないようなこと」だって、夢の中の自分はやってしまうわけです。


また「明晰夢(めいせきむ)」と呼ばれる、夢の中で本人が夢を見ていることを自覚し、夢の展開をコントロールできる状態があります。

人によってはこの明晰夢を意図的に見ることができて、夢の中で空を飛んでみたり好き勝手できるという人がいます。

彼らはそう、お察しの通り、眠っている時に「普通の人なら活動を停止するはずの思考や判断の機能が活動している」という状態なのです。


こういった脳機能の活動状況によって、夢を見たり金縛りにあったりといった不思議なことが起こっているというわけです。


<まとめ>

意図的に明晰夢を見れる人とかちょっぴり羨ましいなとか思ったりしますが、もし自分がそれができるようになったとしたら、映画『インセプション』の主人公コブのように、夢と現実の境目がわからなくなりそうなのでやっぱり遠慮しておきたいです。

それではみなさん、今日もいい夢を。

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