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どん底時代を支えてくれた広告メディアの貴公子。

加々見さん(ボクトさん)は津崎さんから紹介を受けた。
当時の俺は、首がまわらない状態で十条に引きこもり状態で、仕事を選ぶ状況ではなかった。引き受けた仕事はSEO記事のライティングのディレクションである。リモート業務なので十条から出ることは相変わらず無かった。
とはいえ、毎週、新宿の椿屋珈琲店で打ち合わせなので、埼京線で11分の遠出ぐらいはした。

その時はじめてクラウドワークスを使った。
当時、ウェルク事件の直後だったから、多くのライターが市場にあふれ、50名近くのライターが集まった。2000本くらいは記事を発注したかと思う。

クラウドソーシングのいいところは、人と揉める必要がないということだ。
ルールにあわなければ、納品を承諾しなければいいし、信頼のあるライターとは、ほぼめくら判で検収、次の仕事をふればいい。おまけに「ありがとう」と感謝される。

これが顔をつきあわせる現場だったらどうだろうか?
いちいちちょっかいを出したくなる。
世の中にはソコソコのクオリティで済む仕事がごまんとあるのに、顔をつきあわせるだけで、人間関係のもつれが出てくる職場も多いのではないか。

リモート業務とは「盲目の信頼」。そんなことを考えていた。
ライターにうるさい事を言わないし、ボクトさんもうるさい事を言ってこない。そんなありがたい仕事だった。

ボクトさんが運営している「スマホメディア」が事業売却になってから、そのライターディレクション業務は終わった。

その代わりにあてがわれたのが、メディアの買い取り依頼だった。
たくさんのメディアにお問い合わせし、色々なメディアと会った。

メディアの皆さんはみな、職人気質で、真面目な人ばかりだった。
200本ぐらいお問い合わせして、その中で幸い一本、メディアを買い取ることができた。

こんな風に、メディアを買ってはメディアを育て、そして売りに出すのかと感心したものである。

タイミング的に良かったのが暗号通貨系のメディアだった。

当時、「暗号通貨系のメディアはどうですか?」とボクトさんに聞いたら、「よくわからないですね」と言ってリストから外した経緯があったが、しばらくして気づいたら、ボクトさんは暗号通貨メディアを買っていた。

ちょうどたまたま、売りに出されたのに出くわして買ったそうだ。
嗅覚というものは、そういうことだ。

そこからコインチェック事件が来るまでは、暗号通貨メディアは爆上がりした。取引所からのアフィリエイト収入がものすごかったが、この事件をきっかけに、すべての取引所のアフィリエイトが止まった。

こういうことも、広告メディアにはつきものだ。
それに加え、グーグルのルールは気まぐれに変更される。

ボクトさんのおかげで、自分だったらやらない仕事を経験することができた。

その後、たびたび、ボクトさんは食事に連れてってくれる。
あの時紹介した企業さんと仕事になったから、そのお礼だという。

そして、その食事で、また「ご紹介したらいい企業はありますか?」と聞く。こんな感じで、食事を奢られながら、メディア業界の最新動向を聞く。

聞いたからといって仕事にしようとは思わないけど、縁遠い世界を追体験できるのは起業家との会食の醍醐味だ。


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