クリエイティブ界の怖い話。 クリエイターに聞いてもらいたい話。

自分が20代の頃に遭遇した話で、人間の怖さとか、欲の深さとか、そういうものを強烈に印象付けることとなった、とある事件の話をしようと思う。

数年前に、とある小さな映像制作会社でバイトをしていた。

ある日、そこの社長が外出から帰ってきた。あるアート作品の展示を見てきたという。
それは、ある有名なメディアアーティストの映像を使った作品で、近くの人の動きに合わせて映像が変化するという内容だったという。

「ああいうのやってみたいなー」とその社長Aは話した。

そこですごい偶然があり、たまたまそのメディアアーティストのその作品のプログラミングをしていたのは、私の知人(プログラマーB )だったのである。
私がその事を話すと、是非その人を紹介してほしい。という話になり、紹介することになった。

そして、インタラクテイブに変化する映像作品を作ると営業したらしく、(要するにそのメディアアーティストの作品をパクった)
ある案件を獲得し、そのプログラマーB に依頼して、無事、納品出来た。

その後しばらくして、その知人であるプログラマーB とたまたま会って話をしたところ、
何か調子が悪そうで、事情を聞くと、
「実は、社長Aがこの間、皆で仕事をしているときに話し始めたんだけど、、」と切り出したのだが
なんと、社長Aが「この映像システムで特許を取ろうと思う」と話していたというのだ。

それを聞いた時、とにかく手が震えたといいうか、ショックは計り知れなかった。。。
無論、一番の被害者はプログラマーBである。

展示に行って、他人の作品のアイデアを盗み、仕事を獲得、しかも特許を取ろうとするとは、、、

この話の顛末であるが、実は実際に特許を社長Aが取得したのかはわからない。

なぜかというと、自分がその会社のバイトを首になったからである。

で、私をクビにした後に、私の紹介したプログラマーB には仕事を持ち掛けていたらしく
Bはもちろん、仕事を断ったようだ。
Bには、本当に申し訳なく思う。

しばらくBとも疎遠になったので、BがAとどういう契約書を交わしていたのかのかとか、詳細がわからないのである。

何年かして、その会社のホームページを見たところ、でかでかと表紙に、そのインタラクテイブ映像システムの宣伝がしてあった。
ちなみに検索したところ、インタラクテイブ映像のシステム自体は現在は珍しいものではなく、数社が同じようなものを開発、売りにしているようだ。


この話を読んだ方、特にクリエイターの方には
疑い深くなれ、というのではなく、自分の作品を守るために自己防衛は、必ず必要だという事を知ってほしいのである。
特に若い人は、純粋で疑う事すら知らない、謙虚な人が多い。

実際に必要な行為として、
・契約書は、必ずかわし、自分の作品の著作権は相手に譲り渡さないよう注意する。
・相手側が、特許を取得する 行為などは禁止するよう明記が必要

普段から、自分の作品のことを守る契約書のテンプレを作っておくのもよい。
もし、相手から契約書を提示されたら、特に著作権や特許に関しては、必ず内容を確認してから判を押すようにしてほしい。(わざとわかりにくいように、表記している場合もある。これは判を押してしまったらお仕舞のパターンもある、とにかく判は押す前によく内容を確認しよう!!)

契約書を交わすことを拒否するような相手は論外。
逆に断って、未来のトラブルを回避できたと思うようにしよう。

あの日、自分の人の好さから、プログラマーBをAに紹介したことを、後悔している。

何年も経つが、この事件は強烈に未だに印象に残っている。
契約書の内容の問題、と片付ける事も出来るが、自分は、こんな卑怯な人間には絶対ならない。と思えた出来事であった。

20代の時に自分が経験した苦い、怖い思い出であるが、この話を元に、クリエイターが1人でも多く、この社長Aのような人間(クズ)がいる事を知り、自己防衛を心掛けるきっかけになっていただければ、幸いである。

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