ブルーピリオドで、美大出の自分の”アート嫌い”という呪い が解けた瞬間

ブルーピリオド(2) (アフタヌーンKC) コミック –山口 つばさ (著)


ここ最近 漫画を買うこともほとんどなかった自分が、はまっています。

心に響いたのが 登場人物が誠実で真摯で、まっすぐにいつも、自分の中心からすとん。と答えを出して生きていることです。

この漫画のテーマの1つが芸大受験となっていますが、
感性とはなにか。アートとは。感じることとは。と言ったもっと深いテーマが根底にあり、

何気ないセリフとか、核心をついてきて、心を打たれるんです。

私は美大出ですが、アートアレルギーというかいわゆる「お芸術」(もうこの言い方から、自分の偏見が入っておりますが)が、大の苦手でした。

根底には、自分の家族からの影響がありました。

自分の母親は、自身のコンプレックスから、表面的なアートへのあこがれだけを募らせた人で、自分で努力や積み重ねをすることが全くできず、毒親の典型例ですが、自分の果たせなかった夢を子供に託した人でした。(自分は、母親の影響で元々美術を始めたわけでありませんが)兄弟も同じような人で、美大を目指す意義も自分の中に最初からなく、ネームバリューに異様にこだわる。

アートを理解する自分は高尚。と思うために美術をやっていて、違う他人をすぐ見下す人でした。

いつも家庭の中で、その高尚ぶった態度とか口調とか様子が、本当に苦手だった。次第にアートという言葉自体にトラウマを持つようになっていました。

そんな自分を変えたブルーピリオドの中のあるシーンですが

2巻で、主人公の八虎くんが、おさげの悠くんたちと、美術館に行くところで、

そこで、八虎くんが、ピカソが一番偉いなら、ピカソの絵の良さがわからない自分には美術はわからないのではないか、と話します。(私も、一緒です^^;)

悠くんは「僕もピカソそこまで好きちゃうで」と返しつつ、芸術を”食べれへん食べ物”に例えて話します。

好き嫌いがあるのは当たり前
値段の高い料理が口に合うとは限らん
世間的には価値がなくても大事な人が作ったんなら宝物

(詳しくは、ブルーピリオド2巻をご購入くださいね^^)

芸術は正しいかより自分がどう感じたかのが大事やろ

そのとーりっっっ!!!

画像:「ブルーピリオド」より

美大出身で、何十年もアート嫌い。だった自分の中の部分が、本当に、自然に、ふわっと、溶けた瞬間でした。

私は 人を見下したりする道具としてアートを利用することが何より嫌だったし、これは社会的にすごいからとか、有名だとかそういうのにとらわれたくない、ただ、自分の感性で、純粋に、感じたかっただけだった。自分の家族の「アート」を自分のコンプレックスを払しょくする道具、人を見下すための道具に使っている ところが嫌悪感の原因だったのだと思います。

でも、それは結局 自分のトラウマになったものとアートを結び付けている(自動的に結びついちゃってる?)のは自分で、(いわゆる坊主憎けりゃ袈裟まで憎いの典型例。)本来は当たり前ですが、アート自体に対して、自分がどう思うかは全くこの人たち(家族)と関係なくアートに罪はないんですよね。

美術館ももう長い間いってないけど、今度出かけてみようかな。

この漫画は、自分の人生を変えていってる。といっても過言ではないかも。

作者さんに感謝の気持ちが還元されるように、古本でなく、全巻新規購入しています。これもここ数年あまりなかったことです。


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