見出し画像

2023年2‐3月に読んだ本

最近読んだ本の備忘録。
個人の独断と偏見に基づいた感想ですのでご容赦ください。

養老孟司『まる ありがとう』西日本出版社

冒頭のまるが亡くなるところでうるうるしてしまう。
まるのちょっとピンボケ写真がなごむ。
養老先生が、ブータン好きとは知らなかった。
トークイベントでもその話が出て、サイン会の際に
私もブータン行ったんです、って話しかけたかったけどできなかった。

原田ひ香『口福のレシピ』小学館

この作者の本には料理をテーマにしたものがあるが
これは+四世代と生姜焼きの物語。
主人公と祖母の母の物語が代わる代わる語られるのと
要所要所で季節の料理の描写がみずみずしい。
ちゃんと自炊もして、旬のものも食べたいね。
おばあちゃんの気持ちとか、もうちょっと知りたかったかも。

千早茜『正しい女たち』文藝春秋

今っぽい話。スムージーを飲んだことにしてインスタにアップするとか。
小説という別空間のお話というより、
自然な会話、まさに現在の都会の風景が思い浮かぶような短編集。
親友の不倫に介入する話、
男は見られることに慣れていない、という話が印象的だった。

窪 美澄『晴天の迷いクジラ』新潮社

大事な人には「とにかく生きろ、生きていてほしい」って伝えないとって
重要なメッセージ。
冒頭の方は中々、物語に入っていけなかったけど、
すごく凝った描写と時間経過が理解しづらかったからかな?
主人公が落ち込む要因の一つになる彼女の浮気シーンは謎。
普通の浮気じゃそこまでのショックにはならないから?
あのシーンがない方がもっと幅広い人におすすめできるような気もします。

種田輝豊『20ヵ国語ペラペラ―私の外国語学習法』筑摩書房

とりあえず楽な方法はないということがわかった。
ある言語を勉強したいからと言って大使館に問い合わせて
話せる人を探して録音をする、という情熱がすごい。
でもイタリア語、スペイン語など一つの言語を勉強すると
派生的に理解しやすくなる、という話や、
どんなステップで進めたかというような話は参考になる。
語学好きの人、言語習得、変わった人に興味ある人におすすめ。

中山七里『静おばあちゃんにおまかせ』文藝春秋(ネタバレ)

警察が一般人に事件の事情を詳しく説明してしまう点がとても気になる。
ガリレオとかは一応、専門家の見地から、という建前があると思うが。
そして事件を解決に導いているのが、元裁判官のおばあちゃんで
しかも最後に幽霊だったというオチ。幽霊である必要はあったか?
堅物の私には設定が気になりすぎましたが、文体はよみやすいので
あまりグロくない刑事もの、推理小説を求める方におすすめです。

ジェーン・スー『おつかれ、今日の私。』マガジンハウス

さらっと読めて、疲れない。
旅館でゴロゴロするときや、旅行に向かう移動中などにおすすめ。
特に新しい発見とか、人生こうせねば―!みたいな
強いメッセージはないんだけど、
こうやって自分でも文章を書いてみるとスーさんすごいって思います。
どの話だったか、外で冷たい金属性のベンチに腰かけた時の感じ、
すごくしみじみと思い出した。

中野翠『コラムニストになりたかった』新潮社

どうやったらコラムニストになれるか、いいコラムがかけるか
みたいな話をなんとなく期待していたが、
作者の中野さんが活躍していた時代と芸能史をまとめたようなお話。
でもその時々で時代の最先端のものに興味を持ち、
挑戦していたから、いいコラムがかけたということなのかも。
あとは下敷きとなる知識と教養も。

ジェーン・スー『これでもいいのだ』中央公論新社

読んだはずなんだけど、ほとんど記憶がないので要再読。
でも『おつかれ~』以上にさらっと読めたような気がする。
なんか、スーさんの本は、女友達の話を聞いているような感じなのだ。
何話したか忘れたけど、なんか楽しかったランチ会の後のような読後感。

垣谷美雨『うちの父が運転をやめません』角川文庫

地方出身者にとっては耳が痛い話。
物語の主人公は、親の衰えと、町の衰えと向き合って
そして移動型スーパーという選択肢を自ら選ぶ。
都会のいいところも、田舎のいいところも悪いところもしっかり描いて
明るい結末。
帰りたいけど帰れないという人、逆に都会を離れたいという人にも
おすすめです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?