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執着

前より、人に執着しなくなった。
いや、できなくなったというほうが正しいか。

結婚や出産を経て、それまで仲良くしていたけれど距離を置かれた人がいる。

ライフステージの変化という表現はあまり好きではないけれど、分かりやすく言えば、そのことによってライフスタイルや価値観が合わなくなってしまったのだ。

これまでも、友人をなくしたり失恋したりという、人間関係が壊れた経験は何度もあった。
そのたびに落ち込んで、自分はダメな人間だと思ったり、人生終わったと思ったりして、しばらく引きずった。

そんな頃が嘘のように、今は悩んだり落ち込んだりできなくなってしまった。
ひとつの人間関係に執着している時間がなくなってしまったのだ。

SNS上での関わりや連絡の頻度で、なんとなく距離を置かれたことに気づくことがあって、その瞬間は「そっか…なんか気を悪くすることを言ってしまったかな」と反省はするし、残念に思う。

しかし、そのあとは慌ただしい日常に追われて、その気持ちは置き去りになったまま忘れてしまうのだ。

悩んだり落ち込んだりしなくなった、それだけに注目すればよく聞こえるかもしれないが、それほどまで思うほどの余裕がないというのは少々さみしい気がする。

環境や境遇が変わっただけで切れてしまう人間関係なんて、時間の問題だったのだから気にすることなんてない、と言えばそれまでのことかもしれないけれど。

逆に結婚して子どもができてから、挑戦してみたいことができて出会った人がいたり、ふとしたきっかけで学生時代の友人と頻繁に連絡を取り合うようになったりと、新しい人間関係の形もできた。
今はそれを大切にしたいという気持ちも、もちろんある。

単純に「今を生きる」で精一杯だし、それでいいのだとも思っている。

でも、一つのことに執着できる時間があったのは少し羨ましく感じたりもする。
悩むって、案外贅沢なことだったのかもしれないな。



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