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幽霊終了

little forestという映画が好き

大自然に囲まれた集落で暮らす、いち子の生活

四季折々の畑仕事
農作物で作る丁寧なお料理
生きていくための保存食作り

原作は五十嵐大介
お料理の監修はeatripチーム

映画は細部までお洒落で美しくて、単純な私は数年前にこの映画を見て以来いち子の生活にずっと憧れている。


世の中はオーガニックな時代

お洒落でこだわりのオーガニック食品店では
無農薬、有機野菜、無添加な商品が並んでいる


私もその類のお店は大好きで、見かけるとついつい足が勝手にそちらの方向へ。パッケージもシンプルで陳列棚を見ているだけでワクワクしてしまう。

テンションが上がり色々と買ってはみるものの、いざ家に帰ると使いこなせず、小さくてお洒落な瓶が冷蔵庫のスペースをどんどん埋めていく。

結局、目新しい調味料は私の生活に入り込まない。”さしすせそ”さえ揃っていれば充分なのだ。


私が高校生くらいの頃、狂牛病のニュースが流れた。
牛肉を買わない人たちが溢れる中、私の母は普段と変わらず牛肉を買い、我が家の食卓には普段通りの肉じゃがが並んでいた。

国産なら大丈夫。という母なりの考えがあったようだし、まぁ母が大丈夫と言うなら、、、狂牛病で騒ぐ風潮より、母の選択を信じた。と言うより、私は何も考えていなかった。

そして、そのまま大人になった。

最近ふと、自分にとってのオーガニックがファッションな気がしてきた。同時にそんな自分をちょっと斜めに見ていることにも気づいてしまった。

もちろん本当に良い商品がたくさんあるし、美味しい物もたくさんある。
問題なのは、私に”こだわり”がないってこと。

化学調味料、添加物、農薬、放射能

こだわりがある人のこの類の話にいつもついていけない。知ったような顔で黙って聞いているしかないのだ。分からないなら分からないと言えばいいのに、プライドが高いより以前に、そういう話が面倒臭いのだ。

安心で美味しければ何でもいい。でもその「安心」すらよく分かっていない。

かと言って、食に興味がないかと言えばそうでもない。

手前味噌を作り、梅仕事をして、山椒を漬けたり、糠床も育てている。多分周りから見れば「丁寧な暮らし」をしている人なんだと思う。

これはただ好きだからやっている。

お洒落なお店でいちいち商品の裏側(品質表示)を気にして買い物をするより、自分で作る方が楽だし、できる事が増える度に喜びを感じる。

自分の食に対するギャップに折り合いがつかなくて、ずっと気持ち悪い感覚が続いていた。


私はいち子の生活に憧れている。そのことを思い出した。

ファッションオーガニックではなく、実戦で生きる生活の知恵をつけて、できる範囲で自分の生活を自分の力で賄いたいと思っている。簡単にいうとサバイバル能力を身につけたいのだと思う。

そして自然と共に暮らしたい。
その季節に手に入る物で養生したい

自分の力で自分の生活を作り上げたい。

でもお洒落も忘れたくない。丁寧な暮らし=地味。ではない。そこは自分の気持ちをあげる大事なポイント。

ずっと、周りの人を見て憧れたり羨んだり、自分を否定したり、足りないものを補うように生きてきた。やっと自分の憧れ要素の統計が取れてきた感じ。丁寧に暮らしたいけど麻の服ばかりじゃつまらない。体のことは気にしているけどジャンクなものも楽しみたい。こうやって相反する『好き』に気づくことで、型にはまらない私という人間がいることを、憧れの人とは違う自分がいることを、自分で自分の存在に気づけた感覚がしている。魂が体におさまったような。今までは幽霊だったのかな。35年も生きてきて今更ですが。

ずっと人の役に立つことこそが正義だと思って生きてきたけど、まだ他人にどうこうしようなんて余裕はないのかもしれない。

今は自分のことだけを考えてみようと思う。

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