新型コロナの日本製造業へのインパクト2

コロナ関連で、日々刻刻と状況は変わっています。

昨日は欧州閉鎖に驚かされ

本日はトランプさんの1兆ドル投入発言に驚かされました。

1兆ドルは、日本の年間国家予算を超えるレベルです。今後の焦点は、どこまで実行できるのか、というところでしょうか。

さて、そのようななか、中国は一気に落ち着いてきたようです。

■中国は徹底対策で1‐3月でほぼ終結

サプライチェーンはほぼ完全に回復し、今後の課題は水際対策に移っていますが、3月17日付で欧州・韓国などの15か国を指定して渡航禁止を発令したようです。(ちなみに日本は含まれず。)

中国の徹底した対策をもって、3か月ほどで撲滅できた形となります。

言い換えれば、3か月で中国で起きたことが、今後欧米で起きることの参考になるかもしれません。

1‐2月の外食産業や自動車販売の売上は前年比 ‐40%程度と深刻だったようですが、1‐2月の鉱工業生産は前年比マイナス13.5%程度にとどまりました。

■中国で起きたことからみえてくるもの

世界の工場である中国が回復することによって、日本も含めた世界の生産サイドの懸念はかなり解消されたと考えます。

ただし、各国の水際対策やそれを受けた極端な減便によって、ビジネスの停滞や空輸制限の問題は残りそうです。

需要サイドでは、イタリア・スペインなどはともかく、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリスなどの主需要国は一時的(3か月程度)に4割程度減る可能性がありますが、その後は(大きなトピックがなければ)購買力が戻ることが予測され、年間だと1割減程度に留まることが期待されます。

ここで、問題は2点です。

ひとつは、各国は落ち着いても、他国に感染者がいれば水際対策を取る櫃業があるため、輸送関係の混乱はしばらく続くだろう、ということ。観光や外食も多少時間を要するかもしれません。

もうひとつは、(大きなトピックがなければ)という前提を付けましたが、大きなトピックがあるのではないか、ということ。

■南欧のデフォルトリスク

たとえば、南欧のデフォルトリスクです。具体的に、イタリアのデフォルトを警戒する声が一部で強まってきているようです。

南欧は、もともと財政基盤が弱いうえ、産業における観光業のウェイトが高いのです。GDPにおける観光業の比率が世界で最も高いのがスペインで10%を超え、次にポルトガル、6位にギリシャ、7位にイタリアとなります。

上記の4か国はどこも財政が厳しく、状況次第ではデフォルトリスクと戦わなければならない可能性がでてくるとみます。

ギリシャのデフォルト問題で一時は世界が混乱しましたが、2018年ベースで、ギリシャのGDPは2,000億ドルに対して、ポルトガルは2,400億ドル、スペイン、1.4兆ドル、イタリア2兆ドルと、まさにケタ違いのインパクトとなってしまいます。

あと、EUでの資金投入動向にも注目です。

■まとめ

中国ではひと段落し、金融面も含めてコロナ危機を凌いだことで、ある程度のポイントがみえてきました。

注目は欧米ですが、米国は積極的なコロナ対策と、トランプさんの1兆ドル発言で、現時点での底がみえてきました。

今後は、さらなる不測の事態、たとえば南欧諸国の経済がどこまで耐えられるのか、他のEU諸国がどこまで助けられるのか、そしてその他の金融爆弾とそれを処理しうる資金を集められるかどうか。

そういうところに注目されます。

製造業としては、その辺を意識しながら、(業種によって様々だと思いますが)ざっくり、2020年の年間計画は1割減、コンサバティブにみて2割減、(※ただし、極端な景気悪化の可能性あり)くらいとみるのが現時点では妥当なのではないでしょうか。


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