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書いたら終わり、ではない世界

インタビュー原稿の初稿を納品した際に、お客様に必ず確認させていただくことがある。

① 事実として内容が間違っている部分はないか(私が事実を誤認識している部分がないか)

②読んでいて、違和感の感じる部分はないか

ライターによっては、納品した原稿に対して、大きな修正は受け付けない、という方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれない。
ジャーナリズムの観点からしても、ニュースサイトの取材記事などは、インタビューされる側に、あえて原稿の最終確認は依頼しない場合もあるだろう。

「あなた」の満足がただ一つのゴール

しかし、私の場合は、ちょっとスタンスが違う。
なぜなら、私のお客様は不特定多数の「誰か」ではなく、たった一人、インタビューされる側の「あなた」だけなのだ。
「あなた」の満足が、私のゴールであり、そこを無くして、記事の完成はないのである。

従って、私の場合は、その方の違和感がなくなるまで、徹底的にお話を聞き、修正をかける。

過去の事例で言うならば、一番多かった時で、5回のインタビューを実施し、第7版の修正まで行ったことがある。

違和感の正体

違和感を感じる場所は、人それぞれだ。

他者とのセンシティブな関係性があるが故に、事実をダイレクトに書かず、ニュアンスだけが伝わるような書き方にして欲しい、とか、

確かにインタビューの中ではそう答えたが、自分の言葉として読み返してみると、意図していたことと違った意味にとれてしまうので、修正して欲しい、とか、

出来上がったインタビュー原稿を読むうちに、その時のリアルな思いがさらに湧き出てきて、もう少し言葉を付け加えたくなった、とか、

面白いタイプの違和感としては、あまりにもクリーンで綺麗なイメージばかりが書かれているので、別バージョンで、もっと自分のドロドロした黒い部分も書いて欲しい、とか。

これらの違和感を、お客様からお聞きした時、正直、ちょっとした自己嫌悪に陥ることも多い。そして、自分のインタビュアとしてのアンテナの低さに、情けなくなることも、度々ある。

しかし、実はこの「お客様が感じた違和感を修正する」工程に、インタビューの真髄とも言える大切な要素が含まれている、と最近気づいた。

違和感のすり合わせ

まず、違和感にはいくつかの要因がある。

その要因の一つは、何十年にもわたるその方の人生のストーリーを、たかだか2−3時間のインタビューで微細漏らさず聞き取ることは、容易ではない、ということだ。
もちろん、インタビュア側としては、事前にアンケートをお願いしたり、その方について独自にリサーチしたり、という事前準備は欠かせない要素ではある。
さらに、インタビュー中はアンテナを最大限に広げ、全身全霊でできるだけ多くの情報とニュアンスを受け取ろうと努力はするが、残念ながら完璧にはできない。
つまり、インタビュア側がキャッチし切れない内容が、インタビュアとお客様の間の違和感を生む、という場合があるのだ。

さらに、記事を書く際には、インタビュアの解釈が入る。そのため、そこは純粋な事実の羅列、とはならず「インタビュアから見たその方の人生のストーリー」が描かれることになる。
自分が思い描いていた自分像と、インタビュー記事の中で書かれている内容とのギャップ。そこをポジティブに受け取る方もいらっしゃれば、ちょっとした居心地の悪さを感じたり、ネガティブに捉えるお客様も、少数ではあるが、いらっしゃるのも事実だ。

これらの違和感をそのままにせず、インタビュアとお客様ですり合わせることで、少なくとも、インタビュア側には大きな気づきが得られる。

例えば、お客様が感じている違和感は、インタビュアもどこか潜在的に感じていた違和感であることも多い。
そこにインタビュア側が気付き、もう一度素直に、お客様の意図を確認し、原稿を完成させる。

その結果、「まさに!これですわ!」の一言をお客様からいただけた時の、達成感と充実感は、それはもう、一入なのである☺️

まとめ

お客様が感じる「違和感」には、実にたくさんのヒントが含まれている。
そして、お客様とインタビュア側でその違和感を共有し、原稿を修正する過程は、結果として記事の純度を上げ、お客様の満足度を最大限に引き出すことへと繋がっていく。

事実、全5回のインタビューを実施し、第7版まで修正を行ったお客様は、最終的に完成した記事を何度も読み返し、とても気に入ってくださった。
そして、通常の納品形態とは別に、小冊子の形で残したい、というご依頼をいただいたのだ。

(•̀•́)و✧
(↑パーソナルライター、小さくガッツポーズをするの図)

インタビューの初稿をお客様が気に入ってくださり、そのまま納品となるケースも、もちろんある。
それはそれで大変ありがたく、嬉しい結末である。
しかし、今回の記事で書いたような違和感に対して、納得いくまで向き合うことも、また大切なステップだと感じている。インタビュアとお客様がしっかりその違和感を共有し、消化することで、その記事はさらに「思い」が込もったかけがえのない文章となるのだ。

これだから、ライターはやめられないのです☺️

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