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新卒社会人(小学校教諭)がうつになった

新卒で小学校の教員として働き始めた。
そして、1年目の12月にうつと診断された。

学校にもよると思うが、ほとんどの場合小学校では、新卒の4月から担任としてクラスを持つことになる。
社会人になって1週間で顧客が40~50名(子ども30名+その両親)になるようなものだ。
30人前後の子どもを大人一人で見なければいけない教室はとても怖かった。

〇春 初めてのクラス担任

受け持ったクラスは「賢くてやりやすいクラスだと思います。」と言われていたクラスだった。
しかし、昨年度の先生が怖い男性教諭だったことで、まとまっているように見えていただけだったのだろう。
私が受け持った時には、まったく落ち着かないクラスだった。
一部の児童ではあるが、授業中の飛び出し、感情的になると暴力をふるう、物を盗る・隠すなどの行為が毎日のようにあった。そんな中、授業をまともに行うことができなかったり、一時も教室を離れることができなかったり、児童同士のトラブルによる保護者の方との連絡であったり、そのクラスを運営していくことが私の手に負えるものではなかった。

〇わかってはいたが重い責任と厳しい現場

他の先生や校長に相談したり、サポートを受けていたが、あくまで担任は「私」である。当たり前のことだが、業務のほとんどや責任は私が負わなければならないものであった。
しかし、一生懸命に頑張っても、どうにもできないことが多すぎた。
担任なんだから、何とかしなきゃいけないと思っていても、自分の力では手に負えないことばかりだった。

こんな風に「しんどい」が蓄積

〇「明日が怖い」

6月ころから「明日、学校に行きたくない」「明日が来ることが怖い」という気持ちで、眠ることができなくなっていった。
自分は、人一倍「ちゃんとしなきゃ」という思いが強かったので、1年も仕事を続けられないなんて情けない、みんな大変なのに自分は軟弱だと思っていた。
ギリギリではあったが、教員仲間と話したり、週末に楽しみを作ることで頑張っていた。

〇秋ごろ 「死」が湧き上がってくる感覚

頑張りが報われたのか、秋くらいからクラスが落ち着いてきた。他の先生方からも、「いいクラスになってきたね」と言われたり、授業を褒められることが増えていた。
クラスが落ち着いてきて、楽になっているはずなのに、自分の体調だけがどんどん悪くなっていった。
つらい・しんどいが体に染みついて「死にたい」という気持ちが自然と湧き上がる感じだった。

「明日が来るのが怖くて眠りたくない」
本当に不謹慎だが、事故のニュースを見て「いいなぁ、事故にあったら仕事に行かなくてよくなるんだ」と思うようになっていた。
夜になると、「死にたい、死ねば仕事に行かなくてよくなる」という考えが頭から離れなくなった。そんな気持ちが怖かった。痛い思いをすればそんな考えが消えるかもしれないと思って、自分の首をひもで絞めたりもしていた。(死のうとしていたわけではないが、行為は自殺未遂だった。今考えると本当に異常な精神状態だった。)
職場でも、ずっと吐いていた。

頭がネガティブに支配されていた

〇病院受診

仲良くしていた同僚がとても心配してくれていた。
心配をかけていることがとても申し訳なかった。
そのころ、仕事から帰宅しても全く動けず、部屋の中で毛布にくるまって、悲しくもないのに涙を流し続けるという状態だった。
自分でも「やばいかも」という思いがあったため、心療内科を受診。
すぐに「うつ」と診断された。

〇「うつ」になってしまった自分に落ち込む

本当に情けないと思っていた。ただ、病院の先生が「あなたの能力が低いとか、そういわけではなくて頑張りすぎてしまったんだね。絶対に良くなるから、自分を責めることはやめてくださいね。」と言ってくれたことだけが救いだった。

〇療養

休み始めてしばらくは、ずっと眠っていた。最初のころは、夢でも授業をしたり、学校で働いていて怖かった。
しばらく、家でゆっくり休むうちに少しずつできることが増えていった。
ゆっくり、行ったり来たりではあるが心と身体が回復していった。
4か月くらい経った今は、次の仕事のことを考えたり、「生きる」ことへ消極的ではなくなってきた。

うつになって新卒カードも捨ててしまったし、できないことも増えたかもしれない。それでも、安心して眠ることができて、穏やかに1日を始めることができる今の方が幸福で人間らしいと思う。

〇最後に

獅子の子落としのような学校現場でも続けていける人はいるし、先生方は本当に素敵な人ばかりだった。教員として働いている人を心から尊敬している。学校現場で働くことで、学んだこともたくさんある。
だからこそ、働く人にやさしい学校現場であってほしいと思う。

学校現場に限らず、働くことは人生のほんの一部だ。だから、自分のことをボロボロにしてしまう前に、休む•前向きに逃げることを選択できる自分でありたい。

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