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37 鼻歌禁止 自由を奪う謎ルール

娘はいろんな歌を鼻歌で歌いました。テレビコマーシャルなどで耳についた歌を歌ったり、自分でめちゃくちゃな歌を作ったり。無邪気にご機嫌に歌うところがとてもかわいいのです。私も家事に余裕のある時は、娘と一緒に歌ったりして、夕飯の後の時間は楽しく子どもたちと過ごすようにしていました。家の中が明るい雰囲気で満ちると、幸せな気持ちになれるのです。時には娘と歌を歌いながら食器を洗うこともありました。すると息子も乗ってきて、なんだがミュージカルのようでした。


鼻歌禁止

その日も、いつものように流行っている曲を娘と一緒に適当に歌って楽しんでいました。夫が自宅にいることをあまり意識せずに、いつものように過ごしてしまいました。
普通の夫なら、その光景を見てなんて言うのでしょうか。ほほえましい場面なのではないでしょうか。

・・・我が家の場合は、「うるさい」でした。


私「あ、ごめん。」
とっさに謝り、しばらく歌うのをやめて食器を洗うことにしました。娘もおとなしくなり、別の部屋に行って遊び始めました。私はさっきまで歌っていた歌が頭の中で流れています。歌詞があやふやだったので、適当な歌詞で鼻歌を歌いながら食器を洗いました。夫はソファでテレビを見ながら嫌そうに言いました。眉間に皺を寄せながら。
「歌詞わからんなら歌わんといて」
「・・・ごめん。」
歌わんといて、という言葉が頭にこだましていました。歌詞が分からないなら、歌う資格もないということ?それなら、歌うならきちんと歌えばよいのだろうか?わからない。わからない。なぜダメなのかもわからない。考えたくない。

それ以来、夫の目の前で鼻歌を歌うのはやめました。
今思うと、すでに夫の機嫌を伺って生活することが、無意識にしみついてしまった出来事です。嫌味を言われないようにすることが自分を守ることだったのです。そして、歌うなよ、と発言したことは、恐らく夫は忘れてしまいます。その時の機嫌で無茶苦茶な要求をし、それが通れば忘れてしまうのです。でも言われた方は忘れません。そして私はまたうかつに鼻歌を歌って嫌な顔をされるかもという恐怖はずっと残ります。だから私は、もう絶対に夫がいる家では歌わない、と心に決めました。そんな努力の数々が私にあることを、この人は一生気づかないだろうし想像もしないんだろうな、と考えると、空しくなっていきました。

結婚前は、鼻歌を歌えば「すごい歌がうまいんだね」と褒めてくたのに・・・変わっていく夫を見るのも辛く感じました。私はおそらくHSP気質なので、人に言われた場面や言われた内容など、辛かったことをいつまでも忘れることが苦手です。そしてもちろん言われて嬉しかったことや楽しかったことも覚えています。だから余計に以前の言動と比較してしまうのです。この頃、夫婦として生活することが本当に苦しく、その原因は何か考えていました。夫のモラハラには、なぜかまだ気づいていません。私は自分の性格のせいで辛いのだ、と思っていました。


謎のルールの数々

夫の機嫌が我が家のルールでした。夫は自覚していませんし、言っても絶対に聞き入れないと思いますが、実際にそうでした。夫の機嫌が悪いと、嫌味を言われたり、嫌な顔をされたり、家の空気が暗く重くなることに私は耐えられませんでした。以下に、いつの間にかできていた謎ルールを紹介します。私が自分の心を守るために、夫の前では気を付けようと心に決めたルールです。夫がいない時は、全く気にしません。

大きな声で笑うこと禁止
足音を立てること禁止
かるた禁止(カードを取る音が階下に響くかららしい)
22時以降テレビを観ること禁止
夫が携帯をいじっている間は話し掛けない


一方夫は、
大声で友人に電話をし、22時以降もハイテンションで笑うのが普通
友人が来たら夜でも妻にピアノを披露させる(普段は18時以降ヘッドフォンしないと怒る)
帰宅時間は知らせない(日付変わっても何も言ってこない)


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