[救急] 出血量の目安

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[1] 血液量の計算式

成人の循環血液量は、70 (mL/kg) × 体重(kg) で概算する。
1/3を失うと生命の危険がある。
つまり、体重(kg)・血液量(mL)・危険な出血量(mL)は以下くらい。
   40kg - 2800mL - 900mL
   50kg - 3500mL - 1150mL
   60kg - 4200mL - 1400mL
   70kg - 4900mL - 1650mL
   80kg - 5600mL - 1900mL
   それ以上kg - 2Lくらい出るとさすがに危険だと思う。

[2] shock index; SI

計算式: 心拍数(/min) ÷ 収縮期血圧(mmHg)
   通常成人は60(/min)で血圧120(mmHg)くらいなので、SI = 0.5
   たくさん出血すると、循環血液量↓のため血圧↓
   血圧↓を回数で稼ぐため、心拍数↑となる。
   つまり、心拍数↑ ÷ 血圧↓ となると重症である。

1,000mL程度の出血から意識レベルは不安となり、拡張期血圧が低下する。
   脈拍は100を超える。

2,000mL程度の出血から意識レベルは不穏を呈し、収縮期血圧も低下する。
   脈拍は120を超える。

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[3] 骨折

1. 肋骨; 1本ごとに           250mL
2. 上腕骨; 1本で              500mL
3. 大腿骨; 1本になると 1,000mL   shock index 1.0 相当
4. 骨盤骨折; では          2,000mL  shock index 1.5 以上

[4] その他の目安

1. 握りこぶしで隠れるくらいの血溜まりは20mL (MAR method)
2. 洗面器いっぱいに吐血するとだいたい2,000mL

[5] 出血部位による違い

閉鎖腔においては、圧迫止血の原理が働く。
開放骨折などでは、その機転がきかず、だらだら出血する。
閉鎖されていても、部位によってどの程度圧迫されるかが異なる。
free spaceはやはり止血されにくい。
   ① tight space; 若者の筋肉内、肝実質内、肝被膜下
   ② loose space; ①と③以外
   ③ free space; 胸腔、腹腔、高齢者の後腹膜腔

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