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0047 聖ジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』聖地巡礼

2023‎年5月‎4‎日(木)にスウェーデンのストックホルムで聖ジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』(Masculin Féminin: 15 Faits Précis)の聖地巡礼をしてきました。

聖ジャン=リュック・ゴダールは『アルファヴィル』の1965年第15回ベルリン国際映画祭金熊賞と『カルメンという名の女』の1983年第40回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞で列聖。

作品は、雑誌社で働くコミュニストのポール(演:ジャン=ピエール・レオ)は、歌手のマドレーヌ(演:シャンタル・ゴヤ)とカフェで知り合ってすぐにロマンティックな間柄になります。マドレーヌとルームメートの共同部屋にポールが転がりこんで、三人でひとつのベッドに眠る奇妙な同棲生活が続く。いよいよポールとマドレーヌは結婚を決めてアパルトマンの下見中、ポールはバルコニーの手摺から落ちて死んでしまう。

なお、この作品はフランスとスウェーデンの合作映画で、ストックホルムで撮影されたシーンが、ポールとマドレーヌと友人が映画館で鑑賞する劇中内映画作品として登場します。
この撮影場所の特定の難易度がかなり高くて…IMDbではスカンディック・ホテル・コンチネンタルとか出てくるんですけど、ストリートビューとかを検索するとホテルはガラス張りに改築されていて全然違う建物!
更に、映画本篇では自動車が日本と同じように左車線を走っていて????スウェーデン映画で車は右車線を走ってたりするので全くもって謎。実はイングランドで撮ってたとか?…とまで考えて調べてみたら「ダゲンH」なるものに行き当たりました。「ダゲン」はスウェーデン語で「~の日」を意味し「H」は右側通行を意味する Högertrafik の頭文字。
Högertrafikomläggningen – Wikipedia
簡単に説明すると、1978年7月30日に日本復帰後6年目の沖縄県で自動車の対面交通が右側通行から左側通行へ変更されたように、1967年9月3日にスウェーデンで自動車の対面交通が左側通行から右側通行に変更された(←これによりストックホルムので当時運行されていたトラムは全廃となり、ダゲンH以前に撮られていた聖イングマール・ベルイマン作品のトラム登場シーンを手掛かりに聖地巡礼をする事は事実上不可能に!=トラム自体は1991年に右側通行で新規開通してる)。
でもってこの作品のフランス公開が1966年3月22日でスウェーデン公開が1966年9月14日(※日本公開は1968年7月20日)なので、少なくとも『男性・女性』の劇中映画がスウェーデンで撮影された時点でスウェーデン国内では自動車は左側通行していたことが判明したのでこの問題はクリア。
更にストックホルムで自動車交通が陸橋で立体交差する地点はかなり限られているので、ストリートビューを一件一件当たれば何とかなるかな?と思いきや、見つけられず。
これは聖地巡礼断念の可能性が高いと思い、『男性・女性』Tシャツも用意せずに、現地に「ロケ地を探しておいてください」と投げるだけ投げておいて、日本出発。
で、ストックホルムに到着したら、ガイドさんにあっさりと「ロケ地ありましたよ」と言われたその場所は、先のIMDbで紹介されたスカンディック・ホテル・コンチネンタルの陸橋を挟んだ斜向かい。ホテルの向かい=聖地の陸橋を挟んだお隣はストックホルム中央駅というロケーションでした。いずれにしても映画本篇画像に写り込んでいないストックホルム中央駅以外の建築物は全て建て直しされてるので、わかんないもんはわかんないですね!

映画本篇画像で自動車は左車線を走行 このトラップは解決したはずだった…
劇中内映画に登場するスウェーデン人カップルもまさか撮影から60年近くが経過して、
この場所を見つけるのに苦労する日本人が現れるとは思いもよらなかっただろう
聖地巡礼コンプリートのサムズアップ!探して頂いたガイドさんに感謝!

©2023 プッチー・ミンミン
©1966 Argos Films - Anouchka Films

聖ジャン=リュック・ゴダール監督他作品の聖地巡礼
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0046『はなればなれに』
0048『アワーミュージック』
0108『軽蔑』

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