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今日はひとりで読書@燕は戻ってこない

こんにちは。
最初に投稿した時と趣旨が変わってきている気もしていますが、今日は最近読んだ本について書いてみたいと思います。
昔から読書は私にとってエンタメであり癒しの一つなのですが、実は小説を読む機会が最近めっきり減っていたことに気付きました。。ということで久々に読んだこちらの本をご紹介。

私は本は図書館の予約システムで借りることが多いのですが、この本はたまたまどこかで見かけて、予約していたものの、先客が数十人おり、図書館から用意ができたと連絡が来た頃にはすっかり借りたのを忘れていました。。

桐野夏生さんの本はこれまで気になりながらも、なんとなーく距離を置いてしまっていたのですが、読んでみてびっくり。巧みな筆致に圧倒され、「気付いたら読み終わっていた」という感覚です。

生々しいエゴのぶつかり合いと、異常にリアルな生活の描写、人間の厭らしさ、女であること・男であることの普遍性、みたいなものを目の前に見せつけられるのですが、その中に一瞬の清涼さと美しさと力強さがあり、「あぁ顔を上げて息ができた」と思うと次の瞬間また振り落とされる、みたいな感情のジェットコースターを楽しめます(笑)。ラストは色々な見方・考え方ができると思いますが、私は主人公の強さにテンションが上がった派です。

簡単な本編の内容はこちら (以下抜粋)

北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極め、未知の「生殖医療ビジネス」にいざなわれる29歳女性・リキ。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基(もとい)。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説!

集英社文芸ステーション/内容紹介

うーん。なかなか重みありますよね。このテーマで、ノンストップ・ディストピア小説!とかいうテンションか?とツッコみたくなりますが、とにかく面白いです。

本編をぜひ読んで頂きたく、メイントピックに関するコメントは今日は控えておこうと思いますが、私が読了後に頭に残ったシーンがあります。

それは作品中に書かれる食事の描写。主人公リキの質素な食事と、彼女に代理母を依頼する基の食事の違いが、その生活レベルの差を妙にリアルに感じさせるんですよね…中でもリキの食事に出てきた”どこのメーカーのものか分からないカップ麺”(すみません正確な表現ではないかもしれません)です。ただのカップ麺ではなく、どこのメーカーのものか分からないカップ麺というところが妙にリアルではないでしょうか。そう、確かにスーパーやドラッグストアで見かける一人だけ値段の安い彼らですよね。この商品を選ばざるを得ないリキと、一方の基の家では、妻の悠子がちょっと軽くご飯を作ろうと冷蔵庫を開けるとエビがあるんですよね。生のエビが普通にあって、サッと料理に使うんです。この辺りの日常の余裕と選択の違いになんとも言えない感情を味わわされました。

この辺りの格差の描き方で言えば『あの子は貴族』も大変面白かったですので、この辺りに興味がある方がいればぜひ。


『燕は戻ってこない』というタイトルも、読み終わった後には色んな考え方ができますよね。

また読書の紹介もしてみたいと思います!


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