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誰のための個展か

来月、主に平面作品の個展を開催します。理由とプロセスを備忘録として書き留めておきたいと思います。私はキュレーターに見出されたり、ギャラリーのお膳立てがあって制作だけに没頭できるような実績のある作家ではありません。賞に応募したこともなく、好きな絵を自分のタイミングで適度に描く、いわゆる日曜画家のひとりです。

個展開催は今回が初めてではありません。しかし今まではカフェや規則のゆるい公共スペースをお借りしての作品展でした。タイトル、場の雰囲気に合わせて掲示した作品、ステイトメントめいたテキスト少々、図版だけ大きいフライヤー、作品イメージのポストカードや「感想お願いします」と書いたノートを入り口に置いて、準備は終わりです。

それは「身内のごっこ遊び」だったと思います。来てくれた友達がワンドリンク頼んでくれたこと、カードが綺麗と言ってくれたこと、ノートに「これは絵画ではない」などのコメントがあったことなどが記憶に残っています。カフェの常連らしい男性がプライスカードを見て「趣味の絵なんて誰も買わないよ」と私に言ったことも覚えています。実際そこで作品を買ってくれた人は居なかった。

今回は在籍している大学のギャラリーを借りた申請展です。「身内じゃない人にも見て欲しい、そのためには」と一歩進めて考えました。関連イベントも企画し、チラシを大学構内や校外にも頼んで置いてもらいました。身内じゃない人って誰なのか。なぜ身内以外の人に見せたいのか、どんなリアクションが欲しいのか。炎上上等のこの世界で、批判や否定というネガティブな声を受け止めるキャパシティが私にあるのだろうか。

作家デビューとしては随分遅いけども、とにかくこんなに(自分史では)大ごとにしちゃって、実行する。だから、遅すぎることはない。

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