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風ふき抜ける、早春の宇治へ(後編)

前回の続きです。

興聖寺を出たあと、私たちは予定していたお店でお昼ごはんを食べました。

皆さまのステキ旅行記のように、ランチの写真をnoteにアップするつもりで意気揚々とお店へ。

しかし・・・

肝心のランチがおいしくなかったーーーー!!!正確には『A・JI・GA・NA・I』

そんな事って、ある?!

スムーズな旅の流れが一転した瞬間です。

でも立ち止まってはいられない。
気を取り直して私は、次なる目的地「萬福寺」へ向かうことにしました。


萬福寺は、実にチャイニーズの香りが強い禅寺です。

萬福寺にくるとガンダーラのメロディが止まらない、私は昭和女子(写真ACより)
内部もまた、当然に中国風(写真ACより)

(以前略)
黄檗宗の中心寺院で、明出身の僧隠元を開山に請じて建てられた。建物や仏像の様式、儀式作法から精進料理に至るまで中国風で、日本の一般的な仏教寺院とは異なった景観を有する。(以下略)

Wikipedia「萬福寺」より引用

初めて宇治に訪れたとき、私と友人は萬福寺の異国情緒に、すっかり夢中になりました。

そして中国風の精進料理「普茶料理」に舌鼓を打ったのもまた、楽しい思い出。

普茶料理の一例(Wikipedia「普茶料理」より写真をお借りしました)

だから私は数十年の時を経て、この「萬福寺」にもう一度来たかったのです。

JR奈良線の宇治駅から電車でひとつ「黄檗駅」から徒歩5分。
歩いていると、かつての楽しい記憶がよみがえります。

しかし・・・

着いた萬福寺は記憶と違い、奥に不穏な何かが見えた。
入り口を抜けると巨大鯉がお出迎え。

確かに異国情緒はある。が、求めているのはこれじゃない。

さらに進むと、今度は巨大牡丹が・・・
拝観者にお尻を向けるのは、やめていただきたい。
屋台も中国風とは一貫性だネ・:*+.\(( °ω° ))/.:+

調べたところ、萬福寺では1月末までランタンフェスティバルを開催していました。想像するに、この名残りというか残骸ではないか、と・・・

もしそうなら、これらは1月末からずっと放置してあるのでしょうか?
全体的に荒れた印象を受け、一気にテンションが急降下。

ランタン de ションボリって感じ。

迷いましたが、心に従い拝観は取りやめることにしました

山門を記念に。さよならMANPUKUJI!

どうもランチから、宇治を吹き抜けていた風が途絶えてしまったみたいです・・・。

しかしせっかく来たのですから、気持ち新たに!
私は京都市へ戻り、東福寺へ足を向けました。


東福寺は、宗派の雲水たちが修行する専門道場です。

 臨済宗東福寺派の大本山の寺院。山号は慧日山(えにちさん)。本尊は釈迦如来。京都五山の第四位の禅寺として中世、近世を通じて栄えた。近代に入って規模が縮小されたとはいえ、今なお25か寺の塔頭(山内寺院)を有する大寺院である。(以下略)

Wikipedia「東福寺」より引用

東福寺に行くのはこれが初めて。絵画や仏像も目白押しということで、楽しみにしていました。

しかし・・・

そんな事って、ある?!

みんな東京に行っちまって、空っぽじゃあないの!

思わず膝をつきそうになりました。
でも東福寺一番の見どころは、大伽藍そのものです。

宇治の風を思い出し、今を受け入れ楽しむことにしました。

大伽藍の全体像はこんな感じです(東福寺パンフレットより)
まずは臥雲橋へ。東福寺三名橋の1つ。

橋の中は薄暗くひんやりしていました。
その時、一陣の風が私を吹き抜けていきました。大きく広がる風です。

向かいに見えるのも三名橋の1つ「通天橋」紅葉の名所。
右手は「禅道」奥は「本堂」
国指定 名勝「方丈庭園」

方丈とは禅寺における住職の居間を意味すると同時に、住職自身をも指すそうです。

この庭園に来たとき、また観光客は他にいませんでした。

誰もいないのを良いことに、私はちょっとだけ寝転んでみました。
足元に宇宙を、見上げた先に大地があるような不思議な感覚にとらわれます。

お行儀がよろしくないですが、なかなか出来ることではないので。

大方丈縁側の天井です。記念に写しておきました。

このお寺は、興聖寺とはまた違った魅力にあふれていました。
敷地が広いこともあるでしょうが、実に伸びやかなのです。

しかし、静かで凛とした空気が張ってもいる。

この気を感じられただけでも、訪れた甲斐があったと思います。


東福寺から割と歩き、三十三間堂に行きました。

この長さが好きなのです。

京都にて初めて行ったお寺が三十三間堂。
それ以来、必ず締めはここと決めています。

この日も三十三間堂はすごく混雑しており、老若男女LGBTQ&多国籍の方々が、私の前を通り過ぎて行きました。

それをただ見つめる、千体の観音様。

700年の間、大量の仏様と大量の衆生が混在するこの空間。
静かに見えて、すごいエネルギーが渦を巻いている気がします。

欲望と無欲。救いを求める心と救わんとする心。相反するエネルギーが。

私はここに来るたびに、その渦を感じ取りながら歩いているのです。


当初の予定では、このあと京都で夕食も摂るつもりでいました

しかし・・・

帰りました。

理由はこれです。

今回の旅では、本当に心地よい風が何度も私の中を吹き抜けてくれました。

しかしその風は鼻の中に置き土産をくれたのです。
そう、大量のスギ花粉を。

東福寺のあたりから涙と鼻水がとめどなくノンストップ。ちょっと、ほんと耐えられない。

薬なんて効きゃしない。
とてもじゃ無いけど食事をする余裕は残っていませんでした。

風吹き抜けるがテーマだった旅ですが、最後に花粉症の悪化という良いオチを残してくれました。

次回は花粉の季節を避けて、来訪したいと思います。

長い記事を読んでいただき、ありがとうございました!

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