大好きな先生にありがとうと言いたい話

私が高校生だった時のお話。
この話、同じ高校の同級生はびっくりすると思う。
思い出にしては後悔多めだから心して読むように。

私は高校2年生の時、クラス委員をしてた。
当時の担任の先生は、学校内でも若手の扱いでいろんな先生から慕われていた、ように見えた。
というのも、ちょっと変わり者の先生だった。携帯がガラケーなせいでクラスの担任団のLINEグループに入っておらず、学年主任から逐一メールに連絡をもらっていた。
私は知ってる。その先生のことを同級生、特に吹奏楽部は嫌っていた。(理由も知ってるけど今回は割愛)
私がその先生とすごく仲良くなったのは、クラス委員をしていたからだと思う。
そして、その先生の授業が好きだったから。

私たちのクラスは定期的に先生と面談をしていた。コミュニケーションを取るのが苦手な先生の精一杯の手段だったとあの時の私でさえもひしひしと感じていた。
その面談で、進路や日々の生活のこと、クラスメイトのこと、部活のこと、たくさんお話しした。
ある時、先生が最近将棋にハマっている話になって以降、私とは将棋をしながら面談するようになった。
面談の時間内に決着がつくわけもなく昼休みに先生の研究室に招待されるようになった。
先生は強かった。当時の私には未知の存在、四間飛車使いだった。
8割方私が負けるのに、なぜかやめられなくて楽しかった。

時間は戻って高校1年生。
家庭科のおばさん先生が担任だった。
その先生は学校生活をいつも気にかけてくれた。移動教室する友達はいるか、部活での友達はいるか、休日は学校の友達と過ごしたりするか、すごくパーソナルな部分まで聞いてくる先生だった。
その先生から
お昼ご飯は誰と食べるのか
と聞かれて、
1人で食べてます。
勉強したり動画見たり、やりたいことがあって1人なんです。
と答えたのが原因で、それ以来すごく心配されるようになった。
私は至って普通だったし、むしろ気に掛けられるようになってから1人で食べることにものすごく抵抗を感じるようになった。

そんなことがあったから時は戻って高校2年生、その先生との出会いは私にとって救いだった。
1人でご飯食べるのも、いろんな過ごし方があっていいんだと思えたし、先生がお昼休みに呼んでくれるからお弁当を持って研究室に行くのが私の昼休みの楽しみになっていた。

高校3年生で担任が家庭科の先生に戻ってからは地獄だった。
受験勉強という口実で2限前から早弁をし、昼休みは図書室に駆け込んだ。
なぜなら先生がたまに見回りにくるから。
私が1人で食べているとわかりやすいくらいコソコソと〇〇ちゃんと一緒に食べたら?と声をかけてくるのが心から鬱陶しかった。
若い先生のところへは通う回数は減っていたものの、質問したいと言って研究室に行き、問題を解きながら将棋をしていた。
ありがたいことに人より早く受験が終わった私は、英語の勉強に加えて休校期間中からこっそり始めていた倫理の科目を本格的に勉強するようになった。
私がすごく倫理に興味があったのと、先生は倫理が得意だったおかげで(普通に好きだっただけかも?)受験に使うわけでもない科目を先生は親身になって勉強を手伝ってくれた。

高校3年生、卒業式の日。
私はどうしてもその先生にありがとうと伝えたかった。「昼休みに1人でご飯食べてるの?友達いないの?」と言われたことを大学3年生の今でも思い出す。
そのなんだか馴染めず腑に落ちなかったけど、将棋や勉強がきっかけで先生というかけがえのない存在ができたこと、心からお礼を言いたかった。
先生がいなかったらきっともっと深くて修復できない心の穴になっていたと思う。

そして卒業式の日にどうしても先生にありがとうを言いたかったのには理由があった。
それは先生が異動することを知っていたから。
夏頃、先生に異動が伝えられた時、私は扉の一枚向こう側にいた。本当は生徒が知ってはいけない情報だと思い、ずっと黙っていた。
だから、卒業式がラストチャンス。絶対に伝える、そう思っていた。

それなのに、高校3年生の担任、家庭科のおばさん先生はホームルームの時間を30分近くオーバーし、クラスの思い出を語りに語り散らかした。
悔しかった。長い長い最後のホームルームが終わり教室を出たらほとんどの生徒が帰っていた。
お世話になった担任団もみんな着替えの為に職員室に戻っていた。
急いで先生を探したが会えなかった。研究室にも職員室にもいなかった。

大学3年生になっても私はずっと後悔している。
コロナの影響で私たちは先生のお別れの会に出席できなかった上に引っ越しやら転出届やらマイナンバーカードやらで学校の前さえも行けなかった。

ずっと心残りなのだ。
先生は今、どんな生活を送っているだろうか?
新しい学校ではたくさんの生徒に慕われているだろうか?
黒板の字は綺麗に描けるようになっただろうか?
研究室で盤を広げる仲間はいるだろうか?
初期設定のままだったスマホを今はもう使いこなせているだろうか?
あわよくばあわよくば、変わり者の先生を好きだと思ってくれるパートナーは現れただろうか?

年月が経つほど言いたかったたった一言のありがとうからどんどん気持ちが膨らんでいるのをわかっているけど昇華できない。
だから、この気持ちが耐えかねて爆発する前に、一度でいいから先生に会いたい。

先生、元気ですか?
私はとっても元気です。
私、ちょっとは強くなりましたよ
また将棋しましょう。
先生のおかげで、私高校生活とっても楽しかったです。
修学旅行で行く先々に先生がいて先生の写真がたくさんあるんです。
それに四季を観に行った時、あんなにも熱く語ることができたのは後にも先にも先生1人です。
もうずっと昔の生徒かもしれないけど、それでも先生の存在にたくさん救われました。

ありがとうございます。
絶対先生は幸せになります。


(ほら、長くなった。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?