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水戸巡検のまとめ~自分で企画した巡検~(2)事前準備

(1) 企画背景からの続き

ここでは、当日までに行った準備について紹介していきたい。

巡検の案を考えるのは自由だが、巡検の準備は簡単ではないと考える。任意参加ではあるものの、参加者全員が時間や費用を出して実施するものであるから、一定のクオリティは要求されるだろう。当然ながら事前準備には手間がかかる。

まず、企画・行程作成・現地解説等の担当者は、まず訪問地域についての知識を得る必要がある。そのために地理学の書籍・論文などを調査することになる。今回参考にした文献は以下の通りである(図書、雑誌論文の順に)。

斎藤 功・石井英也・岩田修二編 2009. 『日本の地誌 首都圏2』 朝倉書店
寺阪昭信・平岡昭利・元木靖編 2003. 『地図で読む百年 関東2』古今書院
平岡昭利編 2017. 『読みたくなる「地図」 東日本編』 海青社
岩間信之・田中耕市・佐々木緑・駒木伸比古・齋藤幸生. 2009. 地方都市在住高齢者の「食」を巡る生活環境の悪化とフードデザート問題―茨城県水戸市を事例として―. 人文地理 61:139-156.
兼子 純・山下 亜紀郎・豊島健一・高橋珠州彦・川瀬正樹・高橋伸夫 2002. 水戸市中心市街地における商業地域構造と地域活性化. 地域調査報告 24:1-31
久保倫子 2008. 水戸市中心部におけるマンション購入世帯の現住地選択に関する意思決定過程. 地理学評論 81:45-59
佐藤大祐・ 杜 国慶・川瀬正樹・松原真裕 2002. 水戸市郊外地域における都市機能の展開と土地利用の転換. 地域調査報告 24:57-83

図書については日本の主要都市を対象とするのであれば多くの地域で利用できるだろう(シリーズで日本全国揃っている)。鹿行巡検の事前調査のときも図書3点は事前に読んでいる。

論文については、CiNii検索で フリーワード「水戸」 刊行物名「地理 -要旨」で見つけたものが多いが、過去の大学院の野外実験の報告書「地域調査報告」(現在の「地域研究年報」)も参考にした。特に郊外については佐藤ほか (2002)で詳説されている。「地域研究年報」については鹿行巡検の事前調査でも参考にしている。

なお、事前に基盤地図情報のデータをダウンロードし、ArcGISを利用して道路、建物、河川、等高線、町丁字界の情報を入れた白地図を作成し、当日配布した。これにより野外で、景観や土地利用など気になったことを地図にメモもできる。土地利用調査も行うのであれば尚更だろう。出典の明記などの条件をクリアすれば、参加者に配布してもライセンス上の問題もないだろう。地理院地図の利用手続きの規定改正により、作成した白地図をここでアップするのに事前申請不要となったため、参考としてここでも一部公開する(基盤地図情報を加工して作成したもの)。

基盤地図情報のデータを用いた白地図の作成のうえでは、橋本雄一編 2016. 『四訂版 GISと地理空間情報 ArcGIS10.3.1.とダウンロードデータの活用』古今書院 の第3章を参考にしている(なおこの本は現在五訂版が発行されている)。あとはArcGISの基本的な操作法がわかれば作成できるだろう。

(3) 当日の様子 に続く