理想のコップ

気持ちとはとても単純なもので

気まぐれで軽くて脆くて

それでいて私という人間の舵を握っていて

時に本当に望んではいない方向へ

体を連れて行ってしまうものだ


私は今日も朝から

スタートダッシュで見事に躓き

日の当たらない方へ方へ

そして思い描いた理想のコップに

6割くらいしか水が溜まらない1日を過ごした


女は分かっている

お酒に溺れてハメを外し

人様にほどほどの迷惑をかけて

好きな人に好きだと言う

その感情がたとえ

その瞬間だけのものだったとしても


本当は分かってる

程よくバカなふりをして

程よく賢くいい子のふりをする

女はいつだって分かってる

それでもどうにもならないのが女である

それでもどうにもならないのが私である


矢印が重力に負け

下へ下へと向いてしまうのは

とても簡単なことで

気持ちよくない感情とは

放って置くとどこまでも落ちていきやがる


今日はそんな私の

卑屈でひねくれた天邪鬼な矢印が

自ら少し上を向いてくれた日だった

いややっぱり

上を向かせてもらった日だ、な

卑屈でひねくれた天邪鬼な矢印とは

おっしゃ、元気出せ!君ならいける!

信じろ!前向け!Trust Meeeeeeeee! 

系の言葉に出会うと

もう二度どこっちを向いてくれない

私の困った感性の賜物である


普段影を好む私は今日だけは強さを見た

あんなに繊細でいて力強く

凛として儚い女に

私もなれるのかな

もしかしたらなれるかもしれない、

とまで思わせてくれた素晴らしいライブだった


音楽に縋りついてもたれかかって

生きてはきたけど

音楽に救われた、とか

背中を押してもらった、とか

あんまりなくてそういうの


私にとっての音楽って今までは

マイナスをゼロにしてくれるものであって

決してゼロをプラスにはしてくれなかった

生み出す側になってそれは変わったんだけど


でも今日は1リスナーとしてお客さんとして

初めてマイナスをプラスに

持って行かれたライブだったな

ライブハウスが好きだ、と大声で

叫ぶようなライブキッズ時代は

今までなかったんだけど

やっぱり私はずーっと

ライブハウスが大好きです


とても軽くてでも力強い気の迷い、

とても些細なことの重なりで

今夜だけまた乗り越えられた

明日になったらまたその

軽くて力強い気の迷いに

翻弄されるんだろうけど


私がたまたま歌った日の夜だけ

誰かのその微かでいて色の濃い気の迷いが

少しだけ滲んで晴れますように

こんな経験をしてしまったら

歌うこと、伝えること

もっとやめられなくなっちゃったな!

私の人生、夢を見させてもらってる

もっとまっすぐに

もっとでっかい夢を

もっともっと見ていたい


明日は目指せ

コップの7割、まずは朝起きてね!










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