幸福感と言う幻想

以前読んでいて、あまりにも自分に当てはまりすぎて笑ってしまった記事があります。

残業時間が月60時間を超えると「幸福度」が急上昇

と言う内容の記事でした。
研究によると、人は残業が多く成る程、幸福感が下がって行きますが、60時間を超えた時点で幸福感は急上昇するのだそうです。

東京大学の中原淳准教授は「残業時間別の幸福度」のグラフについて、月60時間の残業時間を超えると、幸福感が急激に上がっていることを指摘した。
残業が60時間を超えている人は「幸福度が高い」「就業満足度が高い」といった会社への愛着が高い特徴が見受けられるという。
中原准教授は「ランナーズハイみたいなものがあると思う」「熱心に仕事をしているので、ハイ(高揚している状態)になっている」と指摘する一方で、残業への麻痺状態が続けば「心身の健康を害する」と警鐘を鳴らしている。

20代の頃、コンスタントに月100〜120時間くらい残業していたのだけれど、本当に毎日仕事が面白かったのです。

だけど体力的についていけず、燃え尽きて退職。

離職直後から、占いとか癒しとかスピリチュアルに傾倒していったので、上の記事は、とてもよく分かります。

結局、20代の頃に頑張った以上の時間を、癒しに使うことになりました。

もちろん、無意識的な選択で、当時は自分の心身が疲れてるとも気づいていませんでした。
気づかないまま、占いやアロマセラピーやスピリチュアルなヒーリングなどに夢中になりました。

壊れていた心のバランスを取り戻すために必死だったのかもしれません。

そう言えば、脳科学の研究でもこんな実験があるのだそうです。
同じ作業を2つのグループにしてもらい、一つのグループは高い報酬、もう一方には低い報酬を支払う。

すると、意外にも、低い報酬のグループの方が、仕事に対する愛着や幸福度が高くなるのだそうです。

なぜかと言うと、低い報酬を受け取るグループの人たちの心の中では、「自分はこの仕事が好きだから低賃金でもやるんだ」と言う条件づけが起こっているとのことでした。

この2つの研究結果から察するに、幸福感も無意識的に脳が作り出す条件づけから起こるってことです。

上の記事で「残業への麻痺状態」と言う言葉を使われてますが、この「麻痺状態」と言うのは他のあらゆる状況でも起こり得るものだと思います。

自ら好んで戦場に行く人とか、
DVの夫から離れらない人とか
思想や宗教に異常にハマってしまうとか・・・

もっと緩い範囲で大きく意味を広げれば、「会社への麻痺」「情報への麻痺」なんかもあるでしょう。そして、自分では麻痺してることに気づかないのです。
気づかないまま状況に合わせて脳が作り出した自分のストーリーにしがみつきます。

そのストーリーは、麻痺状態ゆえに作り出した幻想の幸福感を感じるものかもしれません。

ただ、人間には心のメカニズムとして当然のように備わっている機能だと分かっていれば、自分が何に縛られているのか、楽しい時も時々立ち止まって、確認することができるように思います。

幸福感というのは、当たり前すぎて気づいてないだけで人にとってデフォルトの状態。

なので、何かに凝り固まってる時に感じる対象のある幸福感は、自分を縛っているとき、とも言えるのかもしれません。

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