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乾燥蕎麦

私は割と蕎麦が好きである。外出先で昼飯食う時に蕎麦屋があると問答無用で蕎麦を選択する程度には好きで、立ち食いチェーン店の中では小諸そばが一番好き。あそこの冷やしたぬきそば大盛りで一夏を過ごした事もある(偏食過ぎィ!)

そんな男がふと、小諸七兵衛の記事を見たのである。

我が家の近くでも売ってるが、マツコの番組で知名度上げたんか。ふむふむ……と読んでいくと「おびなた」の蕎麦も好評らしい。

戸隠の会社さんだ。我が家は東京文化圏に生まれ育った老母と私の2人世帯なので、蕎麦は更科系統で細麺が好み。同じもん食ってるから嗜好も似て来るんかね?

我が家で常食しているのはこちら。近所のスーパーで取扱があり入手が容易なのである。決してベストでこれがサイコーでは無いが、僅かに高額と言っても乾燥蕎麦だから差額は高が知れている。数十円程度高くとも美味い方がよかんべよ……という話をスーパーの蕎麦売り場でしたのだが、これが口コミで広まったのか以後欠品発生する様になった。自縄自縛ってーか、なんつーか……(苦笑)

で、私がそばもんにハマって乾燥蕎麦の茹で方に工夫を凝らし、上記の蕎麦茹でたら老母も納得。安売りのマイカルのPBから脱却しておびなたを常食する様になったと。

そのそばもんで紹介された茹で方がこれだ。

簡単に言えば、蕎麦をなぜ茹でるかといえば蕎麦に含まれる澱粉を糊化する為である。蕎麦打ちが難しいとか下手な手打ち蕎麦がブツブツ切れるなんてのも蕎麦への加水と均質な糊化が出来ない点に原因があり、実は蕎麦茹でるのも均質な糊化を目指すべきであるという部分が見えたら悟りが開ける。

上記の記事でも不完全ながら例示されているが、実は市販の乾麺茹で時間は短い(蕎麦屋みたいな大釜で大量の湯でやるのが基準になってない? 蕎麦入れると温度低下するの勘案してない気もする)
本来であれば茹で途中の蕎麦を一本取り、糊化して薄ら透き通った表面が見えてからザルに上げる方が蕎麦としては美味い。小諸蕎麦の茹でるマンも出来る人はタイマーに頼らず蕎麦本体を見て茹で上がりを確認している。また、まだ若い大盛り大好きマンだと乾燥蕎麦を茹でてたらふく食ったら胃にもたれたなんで経験がある方もいらっしゃると思うが、あれ加水が十分ではなく生煮えになってるのを大量に食うとなりやすいやで。まぁ、アホほど食えば適切に茹で上がった蕎麦でも胃もたれするが(南無南無)

幼き頃、スパゲティの茹で方でアルデンテが至高みたいな言説が流行り、アホだった頃の幼き私もアルデンテをやる為随分工夫を重ねたが、イタリア人とか「好きな硬さでいいっしょ。俺らもアルデンテとかしないし」言ってるの見てガビーンとしたりなどした。
その苦酸をそばもんでまた味合わされたワケよ。蕎麦にはコシが必要だ、伸びた蕎麦は美味く無い……と思い込まされていた私の前にこいつが現れたと。

「蕎麦の煮過ぎは恥じゃない」

ガビーン。私はラララ科学の子であり実践派だ。試しにきっちり糊化するまで茹でてみた。

あらやだ、こっちの方が蕎麦屋で食う蕎麦に近い!


恐るべき事に態々私は蕎麦を不味くするやり方で蕎麦を食っていたのであった! ちゅるちゅるすすって食う蕎麦はサイコーだ。喉越し滑らか胃もたれもしない(まぁ、加齢により馬鹿食いしなくなったというのもあるが)

蕎麦に関する伝統的かつ科学的な解説に関してはそばもんを読め。伝統は科学に裏打ちされていた(蕎麦好きならあれは実用書としても使えるやで!)

勿論、蕎麦はプロ(店出してるという意味ではなく、伝統を知り科学としても体得してる人々)が作って茹でた奴の方が美味い。残念ながら蕎麦はセミプロってーか、分かってない人の教授を受けてイミフなムーブをする「手打ち」や「10割」が跋扈する魔界でもある。

下手な手打ちは製麺所に劣る。


我々はどんな蕎麦が美味く、上質であるかを下手したら知らんのだ。引きぐるみの粉使えばそらぁ蕎麦の香りは高まるが、それと引き換えになるものもある。果たして我々は正しくお蕎麦を評価しているだろうか? 巷間に広まる言説に騙されていないか? ガンプラに限らず我々は上質とは何かを知らず、分かりやすい評価軸を恣意的に「何者かに与えられ」、どーしょーもないもん、単に高額なだけのものを上質と思わされていないか。

乾燥蕎麦、それはガンプラで言えば素組みたいなもんだ。誰でも出来るしそれなりに出来る。改造やフルスクラッチは手打ち蕎麦かもしらん。それを上手く出来るなら更なる上質を目指せるが、下手な改造やスクラッチは脱サラおじさんがアホな手打ち蕎麦講座を受講して下手なまま10割手打ち蕎麦を出すのに似る。勘違い改造や頭大丈夫かフルスクラッチは素組にすら劣る事がある。

先ずは基本であるとか、オーソドックスを知るという事はほんとーに大切なんだなぁと思うのだ。乾燥蕎麦もまともに茹でられない奴は手打ち蕎麦とか無理無理だし、蕎麦つゆ賞して「鰹節の香り高い」とかやってまうのはいかんである。調和し、馴染み、バランスが取れたもの……これは調和しているが為に特徴を掴み辛く、良所を言語化し辛い。バランスを崩して尖ったものは突出しているが故にアホでも着目点(美点とは限らない!)に気付き、沢山の評価(的外れな物を大量に含む)を得やすい。わしゃあ汚れ塗装やウェザリングを超絶いい感じで施して「馴染んでいる」が故に目立たず、ウェザリング失敗だとか次回はもう少し目立つ様にしたいという言説見るたびに天を仰いでいる。目立たない……それこそその技法の究極の出来なんじゃない?
プラモにおいて、加工した場所がモロバレってのは一般的に「下手」なんだと思うぞ。加工箇所が中々見抜けない……そう言ったものが「精緻な模型」というものだ。

これからの季節、暑さ故に蕎麦や素麺茹でる機会も増えるであろう。もし興味があるならそばもん読んで蕎麦の何たるかを学び、美味い蕎麦を茹でてガツーンと食って見るのも良かろう。中々美点を「ことば」には出来ないが、五感がコレだ!と気付くもの。言語化の修練積まねば只々「美味い」で終わってしまうもの。安易に言葉で美点を連ねる言説には用心せぇ。美点ではなく分かりやすくアホでも気付く「変異」を列記しただけになってはいないか。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!