言葉を綴るのこと。
頭の文字列写真は自作の
2話目から再録した。
とある小説サイトの昨年度大賞作の中の練りの悪いザラザラとした食感の芋羊羹じみた熟れてない一文を、あっちが無断引用だなんだとイチャモン付けられないように語句のみ置き換えて再構成したものだ。これだけに留まらず、あちこちにこのレベルの駄文が散りばめられている。これがブンガクだのショウセツだのを取り扱うサイトで大賞獲るとか、私はいつのまにか異世界転生したのだろう?
さて、これから「通常、国語センスが並より秀でていて、上記文章見たら少なくとも違和感、優れたるものなら問題点指摘も可能で勝手に改稿までしちゃう人」には不要の長広舌を披露する。既に先の2話目で
普通はこうじゃね? という改稿提案はしてある。
1週間後に以降は有償公開になります。
1.この文の主題は何ですか?
その場に居合わせた人々の意思を無視して、「剣は勝手に輝き、その光も勝手に消えた」というのがこの文の主題でありますな。それを時系列に沿って逐次記載する「小学2年生の日記記法」で書いたらこんなんになる。これで文章に躓かずにスルスル読める人は多分文字を咀嚼せずに丸呑みすることを読書と勘違いしているのだろう。喉越しで味わうのは蕎麦やビールだけにしておきたい所だ。
2.主題を際立たせるには
文頭の「ベッセル」の挙動など斟酌しないという意味で「ベッセル『には』お構いなしに」と書いているが、通常「には」お構いなしにみたいな文になる場合、行為主体者は当該人物の挙動を認知した上で捨て置いている。
左の剣士が大上段に振りかぶる様には気もかけず、ベッセルは右の魔獣の首を薙いだ。返す剣で無造作に左の剣士の上段を一瞥もせずに弾く。
認知しており、対策が出来るから「〜にはお構いなしに〜」となるのだ。「〜などお構いなしに〜」だとこうなる。
魔獣は迫る矢などお構いなしに眼前の剣士に迫る。剣士の刃のような長大な刃こそ脅威。弓なりに飛んだ矢は金毛に刺さる事すらなく地に落ちた。
まるでパラパラと降る小雨を気にせぬが如く……というニュアンスを出す場合、「には」ではなく「など」を普通は選ぶだろう。
次、「剣が輝き、やがて光が収まる」シーン。
普通はこう書かれたら「剣が輝いて(その)光が収まる」と解釈する。その他に光の要素が無いからだ。しかし剣の輝き以外に何か光の要素があると、「剣が輝くことに呼応して、他の光源が収まった」と解釈出来てしまうし、他の光源が描写されて居なくても勝手に行間を読んで他の光を想像しちゃう人もいるかもしれない。誤読を防ぐためには「その光」として「剣の輝きと光」が同一であると明示する必要がある。
次に「剣が」と「剣は」であるが。「剣が」とした場合、剣自身の主体性というか行為主体性が強くなる。これに対して「剣は」の場合、無機質な、主体性や意思を感じさせない「情景描写」に留まる。
例えばこれが意思ある武器……インテリジェンスソードや獣の槍なら「剣が輝いた」で良い。剣はその内在する意思により輝いたのだ。しかしここでは「何や知らんが勝手に光って勝手に光が収まった。訳わかんね」なのだから
とするのが妥当だろう。
この様な語の選択を、実は熟達した日本語話者はほぼ無意識で感覚的に行っている。「が」と「は」の違いみたいな微妙なニュアンスの違いを熟知しているからだ。言われりゃそーだな程度にしか理解はしていないが、脳内の言語領域で語義に合致した物を選択し、不適合な語に対して違和感を感じる。そして日本語に余り熟達していない人々は脳内言語領域が仕事をせずに、この違和感をスルーしてしまう。ネイティブなのに。そしてこの雑な解釈を理詰めで日本語学んでる……例えば私の知り合いの台湾人で、日本語科を優秀な成績で卒業した林さんみたいな人に指摘されてしまう訳よ。「その意味だと〜ではなく、〜では無いですか? なんで「が」ではなく「は」を選びますか? 例外処理なんでしょうか……?」
ガチやぞ(涙) 私は幸か不幸か台湾人企業内で「日本語の上手い人(ネイティブというだけではなく、ちゃんとニュアンス掴んで語を選ぶ人」扱いされてたんで、ガチの語学として日本語を学んだ非ネイティブ日本語話者から散々質問されて「なぜ、こうなるか」を散々語ってきた。別に日本語研究の学者でも無いのに! (正直言って、語学という意味では私も外国で日本語を学んだ人々には太刀打ち出来ない。品詞分解とかロジカルな部分では奴らネイティブ日本語話者を遥かに上回る知識を持っておる! ただ、ニュアンスという「日本で生活してないと身に付かないもの」だけは、長年日本で生活してるおかげで僅かながらに彼らを上回っていたに過ぎない)
そんな中で上記のタト文を読んでると、明らかに語のニュアンス掴むレベルでタトの日本語能力は海外で日本語学んでる非ネイティブに劣るレベルで、酷い。これが文章サイトで大賞取るとか何の冗談か。これが台湾や上海、ベトナムの日本語を学ぶ学生の作品なら称揚もしよう。だけど……お前、これ、商業出版数冊やってる人間の文章ちゃうぞ? マジでか? 選者日本語ネイティブじゃねーの? どゆこと?
何考えてんだ、カクヨム。
方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!